今季国内女子ツアーで活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第13回は元世界ランキング1位の申ジエ(韓国)をフォーカス。今季は平均ストローク1位(70.2920)と抜群の安定感を誇ったジエのスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に解説してもらった。
【連続写真】縦振り&フットワークが安定感を生み出す
今年もツアー2勝を挙げ、賞金ランキング5位と活躍したジエさんですが、国内女子ツアーでは最もボールと体の距離が近い選手です。そのため、無理に上体の前傾姿勢をつくらず、自然体に近い状態で立っています。ボールと体の距離が近い分、スイングは自然と縦振りになります。バックスイングではグリップエンドが真下を向いて、クラブヘッドが上を向く形をつくっていますが、それだけ縦に振る意識が強いのでしょう。その後で左肩を入れることで上体を十分に捻転しています。
スイング中、カカトに重心を乗せると、クラブヘッドが体から遠いところを動くドアスイングになりがちですが、ジエさんは10本の指にしっかりと重心を乗せていますね。これもクラブを縦に振れる要因です。体重移動は必ず目標方向に対して行い、体の開きを最小限に抑えています。
ダウンスイングでは、右ワキをこれ以上ないぐらい締めていますが、同時に右腕をうまくたたむことで、クラブを縦に振る準備をしています。ボールとの距離が近いにもかかわらず、インパクト前後で窮屈感がないのも、右腕のたたみがあるからです。また、このたたみが、フォロースルーで右腕をしっかり伸ばすことにもつながっています。
写真で見ると、フットワークをそれほど使っているように見えないかもしれませんが、実際は違います。ジエさんの場合、上体に力を入れていないことが最大の特徴であり、フットワークを使わなくなると、上体に力が入るため、その特性を生かせなくなります。先ほどの腕のたたみも力が入っていないからこそできる技です。狭い空間でクラブを縦に振れなくなるだけに、フットワークがスイングの肝だといえるでしょう。
ジエさんの球筋はほぼストレートに近いといえますが、それも縦振りが影響しています。ボールに横の回転を与えにくいため、左右へのブレを抑えられるからです。本人のイメージとしては、クラブをバックスイングで立てて、フォロースルーでも立てる感じでしょう。飛球線後方から見ると、スイングプレーンに沿ってクラブを動かしていることが分かります。壁に向かってスイングしても気にせず振り切れると思いますが、少しでもよけいな力が働くとヘッドが遠くにいくので壁に当たります。力を入れない縦振りがジエさんの生命線だといえます。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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