「間違いなく僕自身の映画だ」 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督インタビュー

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 『スター・ウォーズ』シリーズ最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が、いよいよ12月15日より公開される。2015年公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のその後を描いた本作では、伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーとめぐり逢ったレイが知ることになる驚くべき真実、カイロ・レンがダース・ベイダーを受け継ごうとする理由、さらには、レジタンスを率いるカイロ・レンの母親レイアと、ポー、フィン、BB-8らレジスタンスたちの新たなるミッションなどが明らかにされる。

 メガホンを取ったのは、『LOOPER/ルーパー』のライアン・ジョンソン監督。今回リアルサウンド映画部では、『エピソード9』の後に控える新三部作の監督を務めることも発表されているジョンソン監督に、本作についての自信や、前作『フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムス監督とのやりとり、そしてこれまで手がけてきた作品との違いなどについて語ってもらった。

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■「最も意識したのは作品のトーン」

ーー作品の完成度、そして出来栄えについて、現在の心境を教えてください。

ライアン・ジョンソン(以下、ジョンソン):正直に言って、本当に誇らしい作品に仕上がったと思っているよ。と同時に、みんながどう思うのか恐い気持ちがあるのも事実だね。スタッフ・キャストと一緒に作品作りに励んでいた何年間は、ただ仕事に埋没していればよかったけれど、いまは「世界中の人々がこの映画を観る」という気持ちにも襲われているから、かなりナーバスな気持ちにもなっているんだ。でも、どちらかと言うと、ワクワク感のほうが強いかな。

ーー大の『スター・ウォーズ』ファンとして、そして一人のフィルムメーカーとして、この人気シリーズの新作を手がけるにあたって最も意識したことは?

ジョンソン:1番考えていたのはトーンだね。自分が「これこそ『スター・ウォーズ』映画だ!」と思えるような、素晴らしい『スター・ウォーズ』映画を撮りたかったんだ。TIEファイターやXウイングのデザインや美術などのルックをどうするか……ということももちろん大事だけれど、そういうことではなくて、良質な『スター・ウォーズ』映画にはその作品独特のトーンがある。それが今回僕が最も意識したポイントなんだ。例えるなら、オペラとバブルガム・ミュージックの真ん中あたりを目指したという感じだね。それに、今回の『最後のジェダイ』は3部作のちょうど真ん中に当たる作品。この作品の中で、物語が少しずつダークで強烈な方向へ進んでいくのはわかっていたけれど、同時に『フォースの覚醒』にあった、楽しさやユーモアは保持したいと考えていたんだ。ただ重いだけの映画にはしたくなかったからね。

ーー内容面でも興行面でも大きな成功を収めた『フォースの覚醒』を手がけ、今回の作品の次につながる『エピソード9』の監督を務めることが決まっているJ・J・エイブラムスとは、作品の方向性を話し合うことはあったのでしょうか?

ジョンソン:いくつかのとても重要な会話を行ったのは事実だよ。ただ、僕が『最後のジェダイ』の作業を始めた頃、すでに『フォースの覚醒』の撮影は行われていたから、J・Jはものすごく忙しくしていたんだ。結果的に、J・Jとラリー(ローレンス・カスダン)、マイケル(・アーント)が共同執筆した『フォースの覚醒」の脚本を読んで、いくつかの会話を交わしながら、J・Jは『最後のジェダイ』の監督を引き受けた僕の背中を押して励ましてくれたよ。ただ、そのあとに何が起こるのかは自分で考えなければいけなかったから、自分自身が納得できるような、キャラクターたちを生かせるストーリー作りを目指した。前作や次作との繋がりはまるで会話のようで、例えるならリレーみたいなものなんだ。今回の3部作でいえば、J・Jから僕がバトンを受け取って、またJ・Jに渡す。バトンの受け渡しは共同作業になるけれど、そのあとは自分たちで走り出さなければいけないんだ。

ーー『スター・ウォーズ』シリーズ史上最長の2時間32分という上映時間も話題になっています。

ジョンソン:正直、僕が長くしたかったわけではないんだよ(笑)。できる限り短くしたつもりなんだ。でも、実際に映画を観てもらうと2時間半という長さを感じないと思うよ。とてもいいペースで話が進んでいくからね。編集でそのペースを掴んだあとは、各々のキャラクターに必要な時間を考えていったんだ。尺を短くするのであれば、それぞれのキャラクターに対して、必要な時間よりも短い時間しか与えられなくなってしまう。各々のキャラクターのストーリーがとてもよかったから、全部残そうとした結果、少し長めの上映時間になったというわけなんだ。

ーー旧三部作の主人公ルーク・スカイウォーカー、そして続三部作の主人公レイたちに加え、今回はローズ・ティコ(ケリー・マリー・トラン)やDJ(ベニチオ・デル・トロ)など、また新たなキャラクターも登場しますね。

ジョンソン:『スター・ウォーズ』シリーズはアンサンブルではあるけれど、重要なのはメインのキャラクターをどう描くか。『最後のジェダイ』は、レイやフィン、そしてポー・ダメロンの物語でもある。他のキャラクターたちは、彼らを支えるようなかたちでストーリーに関わってくる。ルークの場合はレイの物語をサポートするキャラクターだし、ローズやDJはフィンの物語のために登場してくるキャラクターなんだ。今回登場する新キャラクターは、大きな道を切り開いていくための小さな道と言えるね。

ーー『スター・ウォーズ』シリーズという大きなフランチャイズ作品に初めて参加してみて、これまでの映画作りと違うと感じたことはありましたか?

ジョンソン:口にすると変な感じがするんだけど、『BRICK ブリック』や『ブラザーズ・ブルーム』、『LOOPER/ルーパー』などこれまで僕が手がけてきた作品と、今回の『最後のジェダイ』が違うという感覚は僕にはまったくないんだ。確かに『スター・ウォーズ』という大きなフランチャイズ作品ではあるけれど、ルーカスフィルムは最初から僕のパーソナルな部分を見出してくれて、彼らのサポートがあったおかげでいい作品を作ることができた。これまで僕が手がけてきたインディーズ映画とまったく同じ感覚だったんだ。これまで一緒にやってきたプロデューサーで、今回も製作に参加しているラム(バーグマン)とも、「まるでインディーズ映画みたいだ」と現場で顔を合わせながらよく話していたよ。映画作りのプロセスにとても深い親密さがあったのには、正直僕も驚いたんだ。ここまでの大作なのに、こんなにスタッフ・キャスト一丸となって、親密に作業をしていくんだとね。だから僕はこれまでの作品と同じように、自分が作りたかった映画を撮っただけで、大きな差はまったくないんだ。『最後のジェダイ』は『スター・ウォーズ』映画ではあるけれど、間違いなく僕自身の映画でもある。

(取材・文=宮川翔)