目薬があふれない21世紀型点眼器(米国眼科学会のプレスリリースより)

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目薬を差す時、必ず薬液が目からこぼれ落ちる。一般的な点眼器だと、目の中に残るのは2〜3割で、残りは無駄になる。特に不思議に思わない人が多いだろうが、実はこれが健康被害をもたらしていた!

――というわけで、2017年11月に開かれた米国眼科学会学術集会で、ほとんど無駄なく点眼できる新しい点眼器が発表された。眼科学会の歴史を変える画期的な開発だという。

目薬が鼻から体内に侵入すると不整脈の元に

米国眼科学会の11月13日付プレスリリースによると、従来のスポイト式の点眼器は、人間の目が実際に保持することができる液体量の4〜5倍の量の液体を落とす。すると、薬液が目からあふれ落ちる。これは薬液が無駄になるばかりか、目の周囲に付着すると、湿疹やかゆみ、異物感、ドライアイの原因になる。また、あふれた薬液が鼻涙管を通って体内に侵入すると、薬液の成分によっては、心拍数を早めたり、逆に遅くしたりして不整脈を引き起こす場合もあるという。そこで、無駄なく必要な量だけを正確に目に落とす点眼技術が求められてきた。

今回発表された点眼器は「マイクロドージング」(超微量薬剤投与)という新しい薬液落下法を用いている。開発したのは、ニューヨークのマウントシナイ眼科耳鼻科総合病院の研究者たちだ。従来の点眼器の約4分の1の量を、まばたきより早い、1000分の80秒のスピードで目の表面に正確に滴下できる。このため、まばたきが減り、有効成分が薄まったり、薬液が流出したりすることが防げるようになった。薬液の無駄が75〜80%減った。

鼻涙管を通じて患者の血液に侵入した薬液の量を測ると、従来の点眼器よりはるかに低いレベルだった。このため、副作用を起こす割合が従来の点眼器だと66%もあったのに対し、新点眼器は8%と低かった。

研究チームは、プレスリリースの中でこうコメントしている。

「今回開発した21世紀型点眼器は、点眼器が登場して100年の歴史の中で、画期的なものです。臨床試験を進め、2020年までに市販化を目指します」