『刑事ゆがみ』ゲスト重視のドラマ作りで高評価 浅野忠信のブランド力が鍵に

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 浅野忠信と神木隆之介のバディ感が面白いと話題を呼んでいるドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)。視聴率は伸び悩んでいるものの、視聴熱(KADOKAWA発行『ザテレビジョン』がSNSや独自調査を集計し、今熱い番組・人物・コトバからテレビの流行に迫る新指標)は今期の中でもトップクラスを誇るほど、視聴者から絶大な支持を得ている。

参考:浅野忠信が事件の犯人に!? 『刑事ゆがみ』最終回のキーとなる3つのポイント

 ではなぜ、熱狂的なファンを獲得しているのか。その理由の一つに、毎週の放送回に登場しているゲスト俳優の豪華さもさることながら、彼らに通常の刑事ドラマとは異なる役回りを与える、独自の作風が挙げられるだろう。『刑事ゆがみ』は、犯人が誰か、どんなトリックが使われたのか、という推理を軸にした物語ではなく、なぜその人間が犯行を犯してしまったのか? という動機にスポットが当てられているのが大きな特徴で、回によっては事件の被害者や加害者を演じる、ゲスト俳優の視点で物語が進む場合もある。

 同作のプロデューサーを務める藤野良太氏は、その狙いを次のように語る。

「『刑事ゆがみ』は、起こる事件に対して、“登場人物の中で誰の感情が最も動くか”を重視していて、たとえば、第7話だと菅能(稲森いずみ)目線で物語を展開しています。ドラマを作る過程で、変化する人としない人を決めるんです。どんな作品でもヒーローってあまり変化しないんですよね。だから、基本的に弓神(浅野忠信)は変わらない存在として描いています。弓神と触れることで、羽生(神木隆之介)が変化(成長)してゆく、というのが「刑事ゆがみ」の縦の物語。各話で起る事件に対して、犯罪を犯す人物の葛藤はもちろん、それと対峙することで、弓神や羽生や菅能の心が動くのが「刑事ゆがみ」の横の物語です。その心の変化こそが、『刑事ゆがみ』の面白さだと思っています」

 こうした作風から、どんな俳優がゲスト出演するかは本作にとって重要な課題だ。しかし、キャスティングにおいて苦労したことはほとんどなかったと、藤野氏は振り返る。

「主演の浅野忠信さんと演技がしたいという役者さんが多くて、お声がけすると、ゲストの皆さんは喜んで出演してくださいました。映画とドラマって、明確な境界線はないとはいえ、やはり違いはあると思うんです。映画界で世界的に活躍してきた浅野さんとのテレビドラマでの共演は、演技をしている人間、特に国内のテレビドラマを主戦場に活躍されている役者さんにとって、刺激があって魅力的なのは間違いありません。ちなみにオダギリジョーさんは『刑事ゆがみ』を見て下さって、その時に直感で”きっとオファーくるだろうな”って思っていたらオファーがきたと仰っていました(笑)」

 実際、ゲスト俳優たちは、浅野に対して大きな信頼を寄せているようだ。第5話に出演したリリー・フランキーは「浅野さんの包容力というか人間力が素晴らしくて、演技しながらも普通に“弓神に笑わされている”状態でした」、第6話に出演した新田真剣佑は「震えました。神木君は以前も一緒の作品に出演しているのでとても楽しみでしたが、浅野さんは今回初めてお会いしました。日本だけでなく、海外の作品にも出られており、俳優として非常にすてきだなと思っておりました。なので、久々にこんなに緊張する現場に立ちました」、第7話に登場したりょうは「“浅野忠信主演!”というだけで何か面白いことになるんだろうなと期待しておりましたので、お話をいただき光栄です」とそれぞれコメントを寄せている。

 さらに、ゲスト俳優に合わせた脚本作りも、彼らの魅力を引き出すことに一役買っていると、藤野氏は語っている。

「台本を作る時点で、すでに(役者を)頭に思い描いて当て書きしているケースもあれば、キャラクターを作ったあとに、役に合う方にオファーするケースもあります。心掛けているのは、キャラクターに合うキャスティングをするのはもちろん、出て下さる役者の“新しい一面”を引き出すことができないかをいつも意識して作品を作るようにしています。第6話の新田真剣佑さんは、ドラマの製作が決まった当初から“どこかでご出演いただきたいです”というお話をしていたので、彼をイメージしながら台本を作りました。第9話の二階堂ふみさんも、こういう役で出演していただいたら、きっと物語がより味わい深く膨らんでいくんだろうなと思い、だいぶ前からお声がけしていました」

 主演を務める浅野の魅力が豪華なゲスト俳優たちを引き寄せ、彼らにスポットを当てることでこれまでにない刑事ドラマとなった『刑事ゆがみ』。最終回に登場する、オダギリジョーは本作をどんな風に締めくくるのだろうか。

(戸塚安友奈)