最高裁がNHKの受信料制度を「合憲」判断 日本の通信・メディアの未来に絶望するしかない理由

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テレビを設置しただけで、視聴する意志がなくともNHKとの契約義務が生ずるなどとした「放送法64条」は、憲法が保証する「契約の自由」に反するのではないかを問うた裁判で、最高裁大法廷は6日これを「合憲」とする判断を下しました。既得権益が守られたNHKは胸をなでおろしているかもしれませんが、NHKの経営内容や電波行政のあり方を検証すると、日本の通信・放送・メディアには絶望するしかない現実が見えてきます。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が解説します。

国民の電波を使ってボロ儲け
NHKのあり方は本当にこれでいいのか!?

 最高裁判所の大法廷と言えば、最高裁判所長官が裁判長となり9人以上の裁判官が出席して審理を行う法廷で、年1回程度しかお目にかかりません。

 今回の裁判は退任間近の寺田逸郎長官をはじめ日本の法曹界を代表する(はずの)15名の最高裁判事による「良識」が、NHKの受信料制度を「合憲」と判断したわけです。まあ、公共放送とされるNHKに不利な判決が出ないことは、最初からわかっていましたが――。

 こういう機会ですからNHKの決算内容を見てみましょう。平成28年度決算では事業収入7016億円のうち6758億円が受信料となっています。しかし、事業支出では589億円の「契約収納費」が計上されています。

 つまり、NHKは受信料を支払わない視聴者を朝から晩までサラ金の取り立て並みに追い回すために、じつに589億円ものコストを支払っているのです。

 また、事業支出には3210億円の国内放送費と248億円の国際放送費が計上されています。内訳は不明ですが、世界一潤沢な番組制作費を使って「国民のためになる公共番組」を制作していることになっています。

 さらに、事業支出には1174億円の給与や617億円の退職手当・厚生費が含まれています。一般会社の営業利益に相当する事業収支差金は80億円しかありません。

 NHKに限らず放送各社は、国の(正確には国民の)財産である電波を独占的に使用するため「電波使用料」を支払っていますが、その金額は2015年でNHKが21億円、民放各社が4〜5億円でしかありません。

 わかりやすく言えば、NHKは国民の財産である電波をわずか21億円で借りて、その国民から6758億円の受信料を589億円ものコストをかけて徴取し、合計1791億円を人件費・退職手当・厚生費に使っているということです。

米国では通信・放送・メディアの大再編
国民の電波を有効に使えない日本の悲惨

 ちなみに、国民の財産である電波を使っているのは携帯電話会社も同じです。携帯各社が営業利益に対していくらの電波使用料を支払っているのかを見てみますと、ドコモが営業利益9447億円(電波使用料201億円)、KDDIが営業利益9129億円(電波使用料131億円)、ソフトバンクが営業利益1兆259億円(電波使用料165億円)です。

 携帯電話各社の事業が必ずしも電波を使った事業だけではないとはいえ、国民の電波で大儲けしている度合いは携帯電話会社のほうがはるかに「えげつない」ことがわかります。

 さて本日の記事は、じつはここからが本題です。

 米国では携帯電話用の電波は基本的に8年を超えない期間で売り出され、オークション方式で使用者が決まります。2015年1月の入札では、電波使用料の総額は5兆円を超えていました。また、ケーブル・テレビ会社を軸として、携帯電話を含む通信インフラ会社と放送・映画などを含むメディア企業の再編が進んでいます。

【参考記事】米通信大手AT&Tがタイムワーナーを買収、世界の総合メディア企業は「新戦国時代」に突入か!?(2016年10月28日)

 トランプ政権では通信インフラ会社が、ネットフリックスやフェイスブックやグーグルなど「通信インフラにタダ乗りして大儲けしている企業」へのサービス提供を制限することが認められるはずです。そうなると通信・放送とメディアの大型再編はさらに進むことになるはずです(直近ではグーグルが、通販大手アマゾンの独自のネットツールからYouTube閲覧を遮断すると伝えられるなど、再編の輪が拡大していく気配もあります)。

 こうした中で、日本ではNHKの受信料制度に最高裁判所が合憲判断を下すなどしているわけです。世界から果てしなく引き離される「恐怖」を感じずにはいられません。

こうしてみると「電波」というものが、とてつもない利益を生み出せる国民の大切な「資産」であることがわかります。しかし、電波を破格で借り受けて事業を行っている通信・放送・メディア企業が、この資産を十分に活用できているか、あるいは国民に利益を還元できているでしょうか。規制に守られている日本の通信・放送・メディア企業では、健全な競争による成長など期待できるはずがありません。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』は、一般のマスコミが取り上げない既得権益の闇にも、容赦なく踏み込んでいきます。