スーパーカミオカンデジグソーパズル(写真提供:東京大学宇宙線研究所)

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日本酒「獺祭(だっさい)」の製造元・旭酒造(山口県岩国市)が「非正規店」で購入しないよう新聞広告で呼びかけたことを受けて、東京大学宇宙線研究所(千葉県柏市)が公式グッズの「スーパーカミオカンデジグソーパズル」を「高く買わないでください」とツイッターで訴えた。

元値の3倍以上で転売

「お願いです。高く買わないでください」――。2017年12月10日付の読売新聞朝刊には、旭酒造のこんな一面広告が載っていた。

同社は「登録制」のもと、獺祭の販売店を限定しており、一部の業者は、登録店で安価に購入して価格を釣り上げ「転売」するように。同社はこうした「非正規店」で獺祭を購入しないよう、先の意見広告で呼びかけたのだ。

広告はツイッターなどで反響を呼び、意外な方面にも波紋を広げる。東京大学の附属研究所「東京大学宇宙線研究所」(東京大学柏キャンパス)が11日、公式ツイッターで

「いまから研究所としてではなく、なかの人の個人的な見解として、つぶやきたいことが、文字通り、独り言としてつぶやきたいことがあります」

と前置きしたうえで、

「獺祭の『高く買わないで下さい』広告が話題ですが、スーパーカミオカンデのジグソーパズルも、ヤフオクや楽天メルカリなどのサイトで、元値の3倍以上で転売され取引されています」

と明かしたのだ。

スーパーカミオカンデは、物質を構成する基本単位の素粒子「ニュートリノ」を観測する装置で、研究所が岐阜県飛騨市で運用している。10月3日に装置の内部を300ピースで再現するジグソーパズルを制作したとツイッターで報告。柏キャンパスや本郷キャンパス、東急ハンズ名古屋店(名古屋市)などで販売した。

研究所のツイートによれば、正規の価格以上でこのジグソーパズルを転売する事例が相次いでおり、中には数十個、一気に転売された記録が残っていたという。

純粋にほしい人にパズルが届かなくなる

研究所は次のツイートで、

「『需要と供給の原理で価格が上がるのはしょうがない。消費者の判断で価格は決められるべき』という意見を見かけましたが、スーパーカミオカンデのジグソーパズルについては、製造母体が大学で営利目的でなく、価格を上げて必要以上の利益を得たり、販売ルートをむやみに広げたりできません」

と説明。

「そういう状況のなかで、数少ない商品を買い占めて価格を釣り上げ、利益を得ている人がいること、またそれにより、純粋にほしい人にパズルが届かないことが、なんとも歯がゆいのです。反応が怖いですが言います。高く買わないでください」

と訴えた。

その上で「ひとつ考えがあります」とし、

「もし現在の1500円よりも多く出していただける方がいるのであれば、クラウドファンディングの寄附のひとつのリターンとしてジグソーパズルを後日にお届けする、そんな仕組みならできるかもしれません」

とクラウドファンディングを呼びかけた。

支援へのリターン金額をめぐっては、ツイッターのアンケート機能で「5000円」「1万円」「1万5000円」「それ以上」のどれが妥当か質問した。トップは54%で、「5000円」だった。

ジグソーパズルは、柏キャンパスと本郷キャンパス、東急ハンズ名古屋店、名古屋市科学館のミュージアムショップ、岐阜県飛騨市の道の駅「スカイドーム」で買えるが、現在は売り切れ中。研究所は「クリスマス前の連休23日、24日ごろに店頭に並ぶ予定です」としている。