『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が期せずして大ヒットした理由

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ゴージャスなSFドラマにとどまらず、10代の子どもたちが抱える苦悩を描き出した、Netflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界:シーズン2』がティーンドラマの最高峰と言われる理由とは?

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が人気を呼んだ理由、それは一時代を築いたポップカルチャーへのオマージュの数々と、40代のギークたちの心をくすぐる80年代の要素が詰まったミックステープのような魅力かもしれない。あるいはシーズン1が演出してみせた、とうの昔に時代遅れとなった懐かしいスリル感かもしれない。超能力を持った子どもたち、政府のスパイ、悪に染まった科学者、無限の異次元空間、モンスター、迫真の演技を見せるウィノナ・ライダー等が登場する、この奇妙な物語の続きが単に気になるという人もいるだろう。もしくは『ウエストワールド』での自己の存在意義に対する懐疑心に、『ゲーム・オブ・スローンズ』におけるファンタジーと現実逃避感を加え、さらに『ホワイト・ノイズ』で割ったかのような『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が、2016年に社会現象となるほどのヒットを記録したことで、誰もがアップサイド・ダウンにおけるデモゴルゴンの恐怖や、大人の男の魅力を放つデヴィッド・ハーバーの虚ろな視線に夢中になっているからかもしれない。

動機はどうあれ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン2をイッキ見した人々の誰一人として、同作が極めて優れたティーンドラマになっているとは予想しなかったに違いない。ザ・ダファー・ブラザーズによる、予想外の大ヒットを記録したNetflixオリジナルドラマの続編(80年代を舞台とする同作のシリーズ化を誰が予想しただろうか)では、過去のポップカルチャーへのオマージュの数々はそのままに、SF・ホラー・スピルバーグのコラージュという側面がより鮮明になっている。新キャラクターも加わる(バーブが去り、ボブが登場)本作では、70年代の映画へのオマージュが随所に見られる。『グーニーズ』を思わせる箇所もあれば、『Dr.刑事クインシー』がアンダーグラウンドのクラブを訪れるエピソードに登場したような、頭を抱えたくなるパンクロッカーも登場する。時代を感じさせるヘアスタイル、クラシック作品へのオマージュ、レーガン時代の描写で彩られながらも、本作の根底にあるのはともすればトラウマになりかねない思春期に、痛みを伴いながら成長していく少年たちの物語だ。本作にはスティーヴン・キングとニルヴァーナを混ぜ合わせたかのような魅力がある。

※現代っ子たちの習慣を考慮すれば、同作の公開からがしばらくたった今、ファンの大半が全エピソードを見終えていると筆者は推測している。ここから先はネタバレを含むため、そうでない人は先にドラマを全話見てほしい。

インディアナ州ホーキンスで繰り広げられた物語から約1年、4人は思春期の真っ只中を迎えている。1984年を生きる彼らは『ゴーストバスターズ』やディグダグ、DMX等に夢中だ。とはいえ、超常現象に巻き込まれる子どもたちを演じる役者たちが皆そうであるように、本作の主役たちは皆驚くほど大人らしさを増している(ルーカス役のカレブ・マクラフリン、そしてマイク役のフィン・ヴォルフハルトは、この12カ月の間にそれぞれ15cmほど身長が伸びたようだ。またダスティン役のガテン・マタラッツォは前歯が生え揃っている)。アップサイド・ダウンに幾度となく迷い込み、闇の世界をうろつく影のモンスターの恐怖に怯えるウィルは、4人の中でもひときわ大きな苦悩を抱えている。それでも、芽生え始めた自意識が助長する周囲の女子に対する戸惑いと、日没とともにグレムリンへと変貌を遂げる、エイリアンの接合体のような姿をしたダスティンの「ペット」に対する恐怖心は、4人全員に共通している。