羽田空港がスタッフロボ数種を試験採用。2018年1月より警備から案内、荷物運びなど期間限定で見習い

羽田空港の管理会社・日本空港ビルディング株式会社は、空港内サービスの担い手にロボットの導入を目指す「羽田空港ロボット実験プロジェクト」の実証実験を2018年1月に実施すると発表しました。

政府の日本経済再生本部が進める「改革2020」のうち「先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現」に向けた取り組みとして、ロボットの技術検証を目的に羽田空港が2016年に設立した「Haneda Robotics Lab」が実施する実証実験。同ラボによる実証実験は今回で2回目。2017年9月から10月にかけて実施していた公募によって選ばれた7事業社が参加します。

2018年1月から1カ月間行う実証実験では、国内線第一ターミナル2階の出発ロビー南ウィングにおいて、警備、物流、翻訳のカテゴリで1社につき1機種、計7機種を運用する予定。12月12日に開催されたプレスレビューでは、本実験に参加するロボットが紹介されました。

【ギャラリー】Haneda Robotics Lab 2017 (23枚)

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綜合警備保障(ALSOK)の警備ロボット「Reborg-X」は、空港利用客の案内と警備(監視)が兼任可能。自走機能のほか録画機能、顔認証機能などを有し、各種センサーの搭載により照明の落ちた施設内の巡回警備も可能なほか、人や障害物に接近した際にはただちに移動を停止する衝突回避機能も備えています。不審者を発見した際には映像とともに警備センターへの通知を行います。

案内時には多言語による通話も行なえるほか、顔認証機能とタッチパネル液晶を使った各種コンテンツの提供にも対応します。全国で9台が導入済みとのこと。

また本機は富士急ハイランドの潜入アトラクション「絶望要塞2」において、アトラクション内の警備ロボット役としても採用されています。


自走装甲車両メーカー、アルテックの運搬ロボット「OTTO100」は、最大積載量100kgの小型搬送ロボット。製造はカナダのClearpath Robotics社。今回の実証実験では、運搬業務の支援を担当します。

ステレオカメラとセンサーを内蔵。障害物や人を自動的に回避して走行し、ルートを事前設定することなく運搬業務が行えるほか、緊急停止ボタンも搭載。荷物の運搬時にはカートやシェルフなどのオプションを設置可能です。最高速度は2m/秒。工場などでの導入実績があるとのこと。


NECネッツエスアイの運搬ロボット「Relay」は、お土産やグッズ類などの比較的軽量なものを運ぶ自律走行型デリバリーロボット。製造は米国のSavioke社。人から人にものを運ぶ役目を担い、目に触れる機会も多いことから、利用客がロボットに対してどのような反応をするかの検証も運用目的の一つとしています。

本体上部に容量21Lの格納スペースを備え、前方にはタッチパネル式の7型液晶ディスプレイを搭載。エレベーターを使ったフロア移動なども可能となっています。重量は40.8kg、外形寸法は92×51cm。米国のホテルなどで導入実績があります。


福岡県のロボット・スタートアップ、ドーナッツ ロボティクスの「cinnamon」は、自走機能とカメラを内蔵した小型コミュニケーションロボット。スマートフォンアプリ経由で、遠隔操作や映像・音声通話が可能です。今回の実証実験では、多言語案内などを担当するほか、AI会話の音声認識率向上のためのデータ収集を行う予定。

ホームロボットとして開発された本機は、見守り用途やAI会話機能などを搭載するほか、血圧計で計測したデータ(血圧、血糖値)を管理し、かかりつけ医との通話による遠隔診療を行えるなど、医療補助ツールとしての側面も持っています。外形寸法は22×37.2cm。

cinnamonは1台につき10万円前後で購入可能(月額使用料あり)で、2018年春頃から公共施設と企業への納品を開始予定。その後で一般向けにも販売するとしています。


Web制作会社のティファナ・ドットコムが手がけるAI接客システム「KIZUNA」は、マイク内蔵の大画面タッチパネル液晶をインターフェースとして、音声とテキストで利用者の質問に回答します。実証実験では、日本語、英語、中国語、韓国語の4言語を切り替え可能で、空港内設備や店舗へ案内するインフォメーション業務の実験を行います。

キャラクターを用いた音声認識・多言語対応のほか、決済機能やSNS連携機能、性別や年齢層、感情に合わせた対応の変更、有人オペレーターへの対応引き継ぎなどが可能ですが、今回はシンプルな音声認識と多言語対応に絞った運用になる見込みです。

同システムは、2016年晩秋頃に発表。直近では、日本点字図書館の窓口やイトーヨーカドーの無人窓口などにも採用されています。


ロボットメーカー、タケロボの「ロボコット」は、マイクとタブレット端末をセットにしたマスコット型対話ロボット。IBMの機械学習プラットフォーム「Watson」と翻訳アプリケーション「Smart Interpreter Service」を用いたリアルタイム翻訳・対話機能による施設案内などを通して、同時翻訳の検証を行います。

タブレットに表示したボタンとマイクからの音声を併用して、ユーザーの欲しい情報を的確に提供するコンセプト。OSはWindowsベースで、3つあるUSB端子を使った機能拡張も可能です。重量は約4kg。


電通ライブが用意した「ヒアラブル・デバイス(プロトタイプ)」は、屋内位置測位機能を有するイヤホン型端末。9軸モーションセンサーやジャイロセンサー、マイクなどを内蔵しており、装着した職員の配置状況を通知可能。実験では位置トラッキングと併せて、音声によるハンズフリー業務支援の実験を行います。


スマートフォンと連携する運用を想定。多種のセンサー類とマイク、イヤホンを内蔵する多機能性を有していますが、一般向けに製品化する予定はいまのところ未定です。製品説明を担当したスタッフは、可能であれば、今後のバージョンアップでリアルタイム翻訳機能なども追加したいとのことです。


Haneda Robotics Labによる実証実験の背景には、空港のサービスレベルの低下を防ぐ意図があります。今後、旅客需要とサービスニーズの拡大が予想される中で、必要となる従業員数の増加に対して労働者人口が減少することから、業務の一部をロボットが担う基盤を整えることで、そのギャップを埋める方向性です。

日本空港ビルディング社は、人間の仕事の一部をロボットに任せることで、少ない人数でも十分なサービスレベルの維持が期待できるとともに、従業員の負担を減らし、労働環境の改善が見込める効果があるとしており、2018年以降も実証実験を続けるとの意向を示しています。

今後は自律的に動くロボットを日常的に運用するための基盤として、無線通信環境などのプラットフォームを構築しながら、2019年のロボット本導入に向けて、これまで実証実験で試験導入してきたロボットの選定・検討も併せて進めていく方針です。