井手口は今や代表の主力。その違いを北朝鮮戦で見せてくれた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 北朝鮮、中国戦と2試合を終え、国内セレクションは残り1試合、最終戦の韓国戦を残すのみとなった。これまでの2試合で、どの選手がロシアW杯の選考レースに生き残ることが出来ているのか。また、最終戦でメンバー入りを果たす可能性がある選手は誰なのか、整理してみたい。
 
 北朝鮮戦で「生き残り」となるハリル・リストに名を残すプレーを見せたのが、中村航輔、伊東純也、井手口陽介だった。
 
 井手口は、今や代表の主力選手のひとりで、選考どうこうというレベルにはない。実際、その違いを最後に見せてくれた。アディショナルタイム、同じボランチの今野泰幸が攻撃参加していたが、ここは勝負どころと自らも上がる判断をし、前に行った結果が劇的なゴールにつながった。そうした読み、判断力と決定力を持っているところを改めて証明し、「持っている」と監督や選手に知らしめ、自らの評価をさらにひとつ高いところに押し上げた。
 
 中村は、相手の決定機を再三、阻止し、GKとしての存在感を示した。「いつも通りできてよかったです」と、いつも通り言葉は少ないが自分のプレーに対する自信とこの試合でのプレーへの満足感が感じられた。現時点での第1GKは川島永嗣だが、今シーズン安定感を欠いた西川周作、チームの不調により失点が増えた東口順昭の間にすっと入り、第2GKのポジションを獲得しそうな勢いだ。このまま調子を維持し、ロシアW杯メンバーに入れば10年南アフリカ大会直前に川島がいきなりレギュラーになった時と同じことが起きても不思議ではない。
 
 伊東は、停滞気味の右サイドで果敢に仕掛け、持前のスピードを活かして突破、クロスを上げるなど攻撃のエッセンスになった。この評価を得て、第2戦目となる中国戦のスタメンを勝ち取ったが、北朝鮮戦ほどのインパクトを残せなかった。抜いた後のクロスの精度やフィニッシュが少ないことなど、今は最終リストのギリギリにいる感じだ。韓国戦で結果を出して生き残りにダメ押しができるかどうか。
 中国戦で、評価を高めたのが今野泰幸、小林悠、三浦弦太の3人だ。
 
 今野はボランチはもちろんセンターバック、サイドバックもできるし、戦術的理解度も高い。来年35歳になり、年齢的に02年日韓大会の中山雅史、秋田豊、10年南アフリカ大会の川口能活、稲本潤一らベテラン枠として精神的な役割を果たした選手にもなれそうだ。
 
 また、今野はいじられ役で盛り上げる役割としても必要な存在。もっとも、今野本人は「今回は派手なことしてやろうと思わない。普段の自分のプレーをするだけ。監督の要求に応えられる選手が良い選手だと思うし、それが勝ちにつながると思うんで、そこに応えられるようするだけ」と欲はないが、冷静に自分のプレーをしているところが、より今野の個性を際立たせている。
 
 小林悠は、スペースがない北朝鮮では窮屈にプレーしていたが、中国戦は見違えるようにイキイキとしていた。初戦の硬さが取れ、慣れてきたものあるが中国が比較的前に出てきてくれたおかげで間にも裏にもスペースがかなりあった。そこを突くのが小林の真骨頂である。北朝鮮戦のような強引なシュートが減り、うまくスペースを使い、何本もシュートを放った。代表初ゴールも小林らしく、しっかりとこぼれ球を狙っていたからこそ生まれたゴールだった。
 
 ただ、手放しでは喜べない部分もある。何度もあった決定機を決められなかった。W杯では決定機なチャンスがそう何回も訪れるわけではない。少ないチャンスのなかで、いかに決められるか。ストライカーとしての質が問われる。それでもこの日の活躍は、ハリル・リストに名を残す材料になった。韓国戦、決定機を活かしてゴールを奪えば、ロシアW杯メンバーの最終選考に十分絡んでいくだろう。