トヨタとパナソニック、20年の時を経て電池で再び蜜月!?
EVやPHVなど車種と用途により、電池の特性は全く異なる。カスタマイズ品に近いため、競合他社の参入が増えても数年で価格が急落しコモディティー化する可能性は低いという。
車載電池の増産にパナソニックが投じる資金は、総額3000億円規模。プラズマテレビに巨費を投じて失敗した過去を引き合いに、投資リスクを指摘する声は多い。
ただ、現在の増産投資は協業先と負担を分担し、既存工場を再利用するなどの方法で投資を抑えている。中長期の購入を約束する顧客を選んだ上で生産ラインを増やしており、主要取引銀行の幹部も「投資の姿勢は慎重」と評価する。
「この企画案を殺してはいけない、とことんやろう。それで駄目なら、売れなかった時は責任を取ろう。いや自分は首をかけてこのRAV4を開発しよう」。1995年1月の松下電器産業(現パナソニック)経営方針発表会。森下洋一社長は当時話題を集めていたトヨタの小型レクリエーショナルビークル(RV)「RAV4」の開発主査の苦労話を引きながら、「最後にはきっちりと『初の商品』を生み出していくトヨタの企業風土、開発魂を松下電器にも根づかせよう」と訴えた。
97年2月、東京プリンスホテルで森下氏とトヨタ社長の奥田碩氏ががっちりと握手を交わした。松下電器、松下電池工業とトヨタの三社が共同出資で「パナソニックEVエナジー」を設立、車載用のニッケル水素蓄電池の開発に取り組むことになった。
設立披露の式典で、森下氏が「地球環境問題の高まりでEVが注目される中、そのキーデバイスであるバッテリー事業の社会的な使命は重い。世界のEVメーカーに役立つ会社に育てたい」と新会社への熱き思いを語れば、奥田氏も「EVのカギを握る高性能バッテリー事業を最高のパートナーとスタートできた」と答え、両社の蜜月(みつげつ)ぶりをアピールした。
20年の時を経て再び両社は蜜月関係を築くことになるのか。