パナソニックの津賀社長(左)とトヨタの豊田社長

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 トヨタ自動車とパナソニックは13日の15時30分から都内で共同記者会見を開く。出席者はトヨタの豊田章男社長とパナソニックの津賀一宏社長で、内容は電気自動車(EV)向け車載電池での提携とみられる。それぞれの電池事業を巡る現状と因縁とはー。

 トヨタが開発した世界初の量産型ハイブリッド車(HV)の初代「プリウス」が、10日で発売から20年の節目を迎えた。トヨタは現在37車種のHVを、世界90カ国・地域以上で販売している。累計販売台数は1100万台を超え、年間販売は約140万台に達する。20年かけて磨いたHV技術はプリウス以外の車種への展開のほか、プラグインハイブリッド車(PHV)や燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)とも共有する。

 一方、世界各国で排ガス規制やHV以外の代替エネルギー車普及に向けた規制が強化されつつあり、トヨタには“向かい風”が吹く。今後はHVに続く環境車としてPHVやEV、FCVを本格的な普及商品として育てる必要性に迫られる。

 「モーターやインバーターの改良には限界もある」(トヨタの技術幹部)中、次世代エコカーを普及させる鍵となるのは電池の革新だ。トヨタの安部静生常務理事は「20年間培ってきたHVシステムや部品は基本的にそのまま使い、変化が大きい電池の開発に注力する」と話す。

 10月下旬の東京モーターショーでトヨタのディディエ・ルロワ副社長が20年代前半の実用化目標を明言した全固体電池。電動車両の航続距離を伸ばし、充電時間の大幅な短縮にもつながると期待される。同電池の試作品はすでに完成し、技術者200人以上の体制で量産に向けて開発を急いでいるという。

車載電池はコモディティー化しにくい
 1年前、パナソニックの津賀一宏社長は車載電池事業の成長について「かなり前から読み切っている」と自信を見せていた。その後、欧州、中国、インドなどの各国政府がEVなど環境対応車の比率を高める方針を打ち出し、津賀氏の読み通りの展開となった。車載電池事業は旺盛な需要を受けて順風満帆に進むが、死角はないのか。

 パナソニックは車載用リチウムイオン電池(LIB)のシェア4割を持つ世界首位。今後、米国、中国、日本で増産投資を拡大し、電池を中心とする車載用の環境領域部品を急成長させる。

 6月から米ネバダ州でEVメーカー・テスラ向けに車載用電池の生産を開始。年内には中国・大連市の新工場で日系メーカー向け電池の生産を立ち上げる。一方、日本では既存の工場に加え、19年度から兵庫県姫路市の液晶工場でも電池の生産を始める。高まる需要を見据え、18年度の売上高は16年度比88%増の7500億円と野心的な目標を掲げた。

 ただ、車載・産業機器事業を担当する伊藤好生副社長は計画通りに生産を拡大しても引き合いに対する供給能力は「圧倒的に足りない」と話す。増産に総額3000億円規模を投じるが、さらに膨らむ可能性が高い。

 パナソニックは民生用のLIB事業に見切りを付け、車載・産業用に足場を移した。韓国のサムスンSDIやLG化学などの攻勢から民生用の価格が下落し、コモディティー化したためだ。ただ車載電池についても競合相手が投資を拡大しており、民生用と同じ轍(てつ)を踏むのではないか、という不安は社内外に根強く残る。

 これに対し、伊藤副社長は「車載電池のコモディティー化は、ここ数年は起きない」とみる。車載電池はカスタマイズの要請が強く、民生用のような大量生産が難しいためだ。そうなれば急激な価格下落は起こりにくい。

 日本、米国、中国で車載用リチウムイオン電池(LIB)の増産投資を続けるパナソニック。伊藤好生副社長は急拡大する車載電池の市場動向について「今後、すみ分けが進む」と読む。