「学閥おじさん」に悩まされていませんか?(イラスト:筆者作成)

会社がつらい、辞めたい……。そう思う人は、仕事そのものというより、職場の人間関係で行き詰まっていることも多いかもしれません。
自分自身に原因があるとは限りません。会社のあちこちに生息する「困ったおじさん、おばさん」に追い詰められていることも。
そんな恐るべき現場を数多く見てきたのが、元外資系OLでコラムニストのずんずんさん。この連載では、そんな彼らの生態を解き明かし、対策も考えていきます。

社会人になってはや幾年……学生時代なんて遠い昔の思い出……と言いたいところですが、

おやおや? おかしいな? 

なんでこの人、ずっと学生時代の話をしているの?

そんな人、いませんか? 口を開けば、

え? なに? 大学受験の時の模試の点数?

センター試験の点数? 高校の時の運動会の話?!(今さら!?)

社会人になってなんでそんな話をするの?と困惑していると、いつのまにかにおじさんたちが集まって、同じような話をして盛り上がっている。そして自分は、気づくと独りぼっち……そんな経験はありませんか?

そのおじさんたちは、もしかしたら、学閥おじさんかもしれません。

今回は、困ったおじさん、エントリーナンバー2番、

「学閥おじさん」

について取り上げていきます。

出身校を過剰にアッピールする人たち


ずんずんさんによる新連載。この連載の一覧はこちら

学閥おじさんとは、出身校を過剰にアッピールするおじさんです。

アッピールするだけならいいのですが、このおじさんは、同じ出身校同士でやたら集まり、派閥を組み、ときに集団で圧力をかけてくるやっかいなおじさんです。

この学閥おじさんたちは、それぞれの学閥ごとの個性を持っており、そのノリについていけない学閥以外の者たちはゆっくりと、中心から外されてしまうのです……。

そんなおじさんたちに気づかない間にハブられて、辛酸をなめたことはありませんか?

私の友人Iさんも、そんな辛酸をぺろぺろなめた1人でした。

友人のIさんは某有名二流私立大学を卒業し、ちょっと働いた後、アメリカのアイビーリーグのビジネススクールに行き、

華麗に学歴ロンダリング

を成功させました。その後帰国し、当時上場間近といわれていたIT系のイケイケベンチャーに就職しました。

このイケイケベンチャーはなんせイケイケベンチャーゆえ、資金調達を成功させ、採用を積極的に行っておりました。そのため、Iさんも採用されたのですが……いざふたを開けてみればびっくり。その会社の管理職は某大学卒業者によってほとんど占められていたのです。

とはいえ、彼はアイビーリーガーです。某M会(言ってしまった……)に負けるわけがありません。ここで、友人と学閥おじさんのしようもない心理戦が始まったのです……。

アイビーリーガーとバレたばかりに…

それはある日のことです。オフィスで仕事をしていた彼に学閥おじさんが話しかけてきました。

この学閥おじさんとはほぼ初対面だったのですが、開口一番、学閥おじさんは、

「君の大学はどこなの?」

と聞いてきました。なんだこいつ?と思いつつ、友人は

「大学はXXですが、大学院はアイビーリーグです」

と、どや顔で答えました。

すると、おじさんは大きな声でオフィス中の人間に聞こえるように、

「XXかぁ。じゃあ今度の会社のM会の飲み会には誘えないな〜

と言ったのです。友人は一瞬おじさんの言ったことが理解できず、ぽかんとしましたが、

何言ってるんだ? こいつ? ミンチにすんぞ?

と瞬間的に殺意の波動を出してしまいましたが、彼はまだ年若く「え……そうっすか……? へへ……」とへらへらと笑うことしかできませんでした。

しかしこのときの発言が後々の災難を引き起こすとは、Iさんは思いもしなかったのです……。

Iさん抜きで行われた飲み会で「あいつちょっと生意気だよな」という話が出たのです。それが「海外経験はうちの社風には合わないのでは?」となり、「重要な会議にはあいつは呼ばないでいいよな」と超展開が行われたのです。

こ、怖い……!

その結果、Iさんに情報が回ってくるのはいちばん最後になり、会議や打ち合わせで何も知らないIさんは恥をかくこともしばしば……。そのうち、Iさんには自分の専門とは違う英語の翻訳といった仕事ばかり回ってくるようになり……不満を募らせたIさんは、結局その会社を辞めてしまいました……。

そう、学閥おじさんは徒党を組み、Iさんを外していったのです。アイビーリーガーであったIさんですら、学閥おじさんたちに負けたのです。ビジネススクールも学閥おじさんの取り扱い方法を教えてくれはしませんでした。

学閥おじさんに「飲み会に誘えないなぁ」と言われた時、Iさんはなんと言うべきだったのでしょうか。正解は、

「そんな〜。そんなこと言わずに誘ってくださいよ〜☆」

と言うべきだったのです。しかし、Iさんは年若く、学閥おじさんが何を言っているのか理解できなかったのです……。

学閥おじさんは、別に自分が高学歴であることを鼻にかけている嫌な奴というわけではないんです。学閥おじさんは純粋に出身校を愛しているだけなんです。ありていに言うと、嫁より母校を愛しているんです。

言いすぎで編集さんのストップがかかりそうですが、大丈夫なはずです。
ワイフ(妻)より母校を愛しているんですから、奥さんの話より出身校の話のほうが多くても何も問題がないはずです。

おじさんの学閥に所属していない者がやるべきことは、その愛を理解することです。

Iさんのように、「俺の出身校のほうがすごいよ? ドやあ!」などしてしまうと、学閥おじさんは気分を害してしまいます。すると、学閥おじさんは結束力を高め、あなたを排除しようと動き出してしまうのです……。

学閥おじさんに対抗する方法

こんな学閥おじさんに対抗する手段は2つあります。

1つは、学閥おじさんに巻かれること。

もう1つは、オフィスのはぐれ学閥おじさんを探すことです。

学閥おじさんに巻かれるとは、文字どおり、おじさんの学閥に取り込まれることです。自分は学閥に属していなくても、学閥おじさんたちの深い母校愛を理解すればいいのです。おじさんたちが母校の話をしたとき、

「まじすごいっす」

「尊敬するっす!」

「自分なんて大したことないっす!」

大体この3パターンで対応しておけば、なんだか会話が成立します(注:実際にはもう少し丁寧な言葉を使いましょう)。

次ははぐれ学閥おじさんを探すことです。このはぐれ学閥おじさんは、社内の学閥には属していますが、どこか一匹狼ふうのおじさんです。このはぐれ学閥おじさんは、はぐれ者であるがゆえ、学閥風を吹かさず、その媚びず属せずの姿勢が、学閥内外で一目置かれているクールガイです。

このおじさんと仲良くなれば、学閥といざこざを起こしたとき、「お前、それは違うんやで」と優しくアドバイスしてくれる神的存在になるかもしれません。はぐれ学閥おじさんを仲間にしたとき、おじさんは学閥とは何かをそっと教えてくれるはずです。

「学閥を知るものが学閥を制す」。といったところで今日は失礼します☆