払いすぎても税務署は教えてくれない

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 今や富裕層だけではなく、一般家庭にも降りかかる相続税。税務署から通達された通りに払うしかないと思ってはいけない。なぜなら、相続税を支払った人の多くは“過払い”の可能性があるからだ。

 そうした過払い金を取り戻してきた“還付金請負人”が、余計に払わなくて済む申告方法を指南する。

 相続財産に占める「土地」の割合は約4割で、最も大きいウエイトを占める。不動産鑑定士と税理士から組織される「フジ総合グループ」は相続税に特化した専門事務所だ。同グループ代表の藤宮浩氏(不動産鑑定士)が言う。

「土地評価には様々な“減額ポイント”が存在しますが、相続税に明るくない税理士は見逃しがちです。また、現地調査や役所調査をしないと気付けない減額要因は、特に見落としが起こりやすい。

 土地評価額を高く見積もって申告してしまうと、過払いとなってしまう。一度相続税を納めた後で、土地評価額に納得がいかなかったり、“減額ポイント”の存在を知った人からの問い合わせが増えています」

 一度納めた相続税は5年以内であれば更正の請求(還付手続き)が可能だが、年間400件を超える相続税還付案件を手掛ける藤宮氏によると、相談者の約7割が相続税を納めすぎていると判定されるという。

「それだけ相続時の土地評価額が適正でないケースが多いということ。それは、土地評価に精通した税理士が極めて少ないからです」(同前)

◆過払いは指摘してくれない

 相続する土地には評価額が減額され得る要素がある。「広大な土地(土地が広すぎて売却が難しくなる)」、「不整形地(土地の形が悪い)」、「傾斜地」、「土地と道路に高低差がある」、「墓地や火葬場などが隣にある」、「土地の上を高圧線が通っている」、「電車や飛行機の騒音がある」などだ。

 その他にも、将来的に隣接する道路が拡張することが決まっている土地や、人に貸していたりする土地は減額の対象となる。

「これらのポイントに当てはまる土地の相続人が、単純に土地の面積に路線価を掛けた金額で相続税申告をすると損することになります。例えば上空に高圧線が通っていると30%あるいは50%評価額を下げられます」(前出・藤宮氏)

 自身が所有している土地の特徴を掴んでおくことで、税理士の計算法に疑問を持ったときに質問することができる。土地の状況を把握するには、公図(*注)、路線価図、住宅地図等の図面が必要不可欠だ。

【*注/土地の形状や地番、道路、水路や隣接地との位置関係がわかるように作られたもの。これによって土地の境界や建物の位置がわかる】

「逆に言えば、それらの付属書類が税理士の作成した申告書に付いていなかった場合は、きちんと計算されているか確認してみることも必要。土地評価には図と照らし合わせながら現地調査や役所調査を行なうことが必須なのです」(同前)

 還付額はケースバイケースだが、平均すると納めた相続税の1〜2割が戻ってくるという。土地は金額が大きいので数百万円から数千万円単位で戻ってくることが多いと藤宮氏は語る。

 すでに相続税を納めてしまったものの、「払いすぎ」のポイントに心当たりがある人は、土地評価額の再調査をすべきだという。

「申告税額が実際より少ないと判断されれば税務署に修正申告を求められるのですが、相続税は相続人の自己申告制となっているため、申告額が高すぎる場合は何も言ってくれないことが多いです」(同前)

※週刊ポスト2017年12月22日号