先制点の小林(11番)を祝福する山本(20番)。(C) SOCCER DIGEST

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 E-1選手権の日本代表対中国代表は、終盤に小林悠と昌子源の代表初ゴールが飛び出して2-1で勝利した。まあ、試合内容には波があって、なんとか勝利を掴めたけど、ワールドカップに出ない国に勝って喜んでいるようじゃダメだよね。

 
 試合を振り返ると、前半からよくボールは回っていた。ワールドカップ予選のUAE戦以来の先発となった大島僚太が、中盤でボールを散らして攻撃にリズムを与えていたね。ただ、その大島が負傷交代になったあたりからペースが掴めなくなって、中国の反撃を許すようになってしまった。
 
 前回の北朝鮮戦で中村航輔がビッグセーブで救ったのと同じように、今回も相手の決定機をGKの東口順昭が好守を見せて凌いだ。ピンチを防いだ後は膠着状態になって、そのまま引き分けになってもおかしくない展開だったけど、ここで再び流れを引き寄せたのが残り15分で投入された川又堅碁だったね。
 
 相手もへばってきたところで、日本は最前線に確固たる軸ができたために再び押し込めるようになった。川又のフィジカルの強さ、空中戦の強さは、あの終盤の時間帯にかなり効果を発揮していたよ。そして川又の頑張りを起点にして生まれた小林の得点は、難しい角度からねじ込んだファインゴールだったし、昌子のゴールも何年に1回出るかどうかという物凄いシュートだったね。しかも、ふたりともこれが代表初ゴール。マスコミには、いいニュース材料を提供してあげたんじゃないかな。
 
 ただ、前述したように、このレベルの相手に勝ったくらいでは何の評価にも値しないし、勝って当たり前。中国はワールドカップに出ないうえに、リッピ監督も若手中心で臨むと明言していたくらいだ。こういう相手に苦戦しているようでは、ワールドカップメンバー入りを懸けた「サバイバル」を勝ち抜くことはできないんじゃないかな。
「サバイバル」という意味では、この試合でワールドカップ出場に向けて前進したと言えるような活躍をした選手はほとんどいなかった。前回の北朝鮮戦で持ち前のスピードで良い突破を見せていた伊東純也も立ち上がりこそ勢いはあったけど、ちょっとチームの約束事に縛られ過ぎていて、なかなか仕掛けていくような場面がなかったし、代表デビューとなった土居聖真も即席チームのなかで周りとうまく連係がとれていないようだった。
 
 目に見える結果を残したという意味では、唯一小林は幾らかのインパクトを与えられたと思うけど、やっぱりこの相手に対してパフォーマンス全体を考えると十分じゃない。川又も2試合連続で得点に絡むプレーはしているけど、FWとして求められるのはなんと言ってもゴールだ。
 
 結局、この2試合で一番目立っていたのは、GK陣だったということだよ。中村や東口のファインプレーに助けられたし、先に得点を許していたらどうなっていたか分からない2試合だったわけだから。
 
 改めて分かったのは、日本の選手層の薄さ。この2試合で「俺がレギュラーになるんだ」と強烈なアピールをした選手はいたかな。誰と誰を比べてどっちがいいという話ではなく、強豪国との対戦が決まったワールドカップの舞台で、しっかり活躍できそうな選手がいたのかどうかが問題だ。
 
 そうした観点で見ると、海外組も含めて今の日本代表というチームには突き抜けたタレントがいない。いったい誰が中心になってこのチームを引っ張っていくのか、不安になるよ。
 格下を相手に苦戦しながらも、なんとか掴んだ2連勝とはいえ、次は優勝が懸かった日韓戦だ。舞台は整ったと言えるよね。
 
 おそらく、土曜日に行なわれる最終戦は、日韓戦ということもあって満員になる。ルヴァンカップや天皇杯もそうだけど、「決勝戦だけは満員に」というのは、この国にとって大きなメンツにかかわることだからね。きっとテレビの視聴率もこれまでの2試合よりずっといいはずだよ。
 
 だけど、この大会は勝って当たり前、負けたら何にも残らない。仮に満員の観衆の前で韓国に負けたとしたら、一気に日本代表への期待感は萎んでしまう。「来年のワールドカップはダメじゃないか」というネガティブな雰囲気が生まれるよ。
 
 この大会は、「国内組の最後のテスト」なんて言われているけど、韓国だってベストメンバーで臨んでいるわけじゃない。そういうチームに負けて、ワールドカップの舞台で活躍なんか期待できないよ。
 
 来年の本大会へ良い流れを持ち込むためにも、なんとしてでも優勝で大会を締めくくってほしいね。