ハリルホジッチ監督(左)は試合後の会見で、昌子(右)のスーパーゴールを弄って笑いを誘った。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1サッカー選手権]日本代表 2-1中国代表/12月12日/味の素スタジアム
 
「私にはクリアに見えたし、絶対に入らないと思っていた(笑)」
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が試合後の会見でそう弄ったのが、昌子源のスーパーゴールだ。
 
 88分、縦パスをカットして前を向いた背番号3は、敵陣センターサークルを超えたゴールまで約40メートルの位置で右足を一閃。ボールは揺れながら前に出ていた相手GKの頭上を抜け、ゴールネットに突き刺さった。プロフットボールの世界でもなかなかお目にかかれない驚愕弾だ。
 
 昌子にとっては9キャップ目での嬉しいA代表初得点。しかも、その後にPKで1点差まで詰め寄られたことを考えれば、決勝弾とも言える値千金のゴールだった。
 
 このゴールが決まった直後にはベンチ前で大喜びしていたハリルホジッチ監督だが、距離が距離だっただけに期待値は低かったと振り返った。
 
「私はシュートを狙ったというより、クリアに見えた。絶対に入らないと思っていたし、偶然にも素晴らしいゴールが決まったね(笑)。まあ、それは冗談として、軌道が揺れるようなシュートだった」
 
 そう語った指揮官は、日本代表を率いて以来、常に選手たちに積極性を求めてきた。今大会もシュートへのトライを推奨していたという。
 
「ミーティングでは20〜30メートルのシュートを狙いなさいと指示していた。『シュートを打て』、『シュートを打て』と何度も言っている。もちろんすべてが入るわけではないが、今日は17本を打った(※公式記録は15本)。ただ、昌子にはそういう指示は出していなかったよ(笑)」
 
 再びそう弄ったハリルホジッチ監督だが、キャプテンの長谷部誠をはじめ海外組が不在の今大会は腕章を託すなど、昌子には大きな期待を寄せており、賛辞も惜しまなかった。
 
「(中国戦前日の)12月11日は彼の誕生日だった。祝福してあげてほしい」
 
 昌子のミラクルゴールもあり中国を下した日本は、12月16日にE-1選手権制覇をかけて宿命のライバル韓国と激突する。ハリルホジッチ監督が再び誰かを笑って弄れるように、何よりも勝利を期待したい。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)
 
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