秋春制へのシーズン移行案否決を説明する村井満チェアマン

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 Jリーグは12日に開催された理事会において、22シーズンより検討していた秋春制へのシーズン移行案を否決した。

 秋春制へのシーズン移行は、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長から提案があり、Jリーグも1年をかけて議論を重ねてきた。

 同日、会見した村井満チェアマンは「移行しない理由」として9つの項目を挙げて説明。「いろんな角度から検証してきたが、日本はまだまだサッカーの途上国。ファン・サポーターの皆様と一日でも長く、ちゃんとした試合を継続していくことを原点として意思決定をした」と話した。Jリーグとしては今後、18年5月をめどに、日本サッカーの強化と普及に向けたビジョンと施策案を発表することにしているという。

村井チェアマンが説明した「移行しない理由」

1、移行しない方が、リーグ戦実施可能期間が1か月以上長い。

2、移行するとシーズン終盤の4、5月にAFCチャンピオンズリーグのグループステージ終盤やラウンド16が入る。出場4クラブだけがリーグ戦最終局面を厳しい日程で戦うことになる。

3、移行しても1月に移籍する選手は減らない可能性が高い。また夏のウインドーならば移籍金が少なく済むとは言い切れない。

4、シーズン末に決勝が集中することは世界基準で違和感がない。

5、「雪国に相当設備のスタジアム等が整備されるだろう」という期待を前提とした移行を、経営リスクととらえるクラブ経営者が多い。

6、移行期の0.5年または1.5年での収益確保は、Jリーグ54クラブそれぞれの課題で難易度が高い。

7、現シーズンは学校年度と完全ではないが、ほぼ揃っている。移行して半年ずれてしまうマイナスは大きい。

8、企業との期ずれも、企業側でヒアリングしたところ、修正は難しいとの見方が多い。

9、移行カレンダーの1、2月に計4試合予定されているルヴァン杯は、検証したところ他の期日にプロットできない。Jリーグはルヴァン杯を全国のホームタウンで通年開催したいと考えており、移行カレンダーではルヴァン杯が成立しておらず、Jリーグの考えではカレンダー自体が成立していない。

 会見に同席した原博実副理事長も「代表の強化が重要なのはよく分かる」と理解を示した上で、育成面では学校カレンダーと一緒になっていた方がいいと強調。「欧州もサッカーがありきじゃなくて、世の中の流れ、文化がシステムに合っている。大会カレンダーのそのものを変えれば上手くいくという考え方ではなく、大きな視野を持ってやっていきたい」と力説した。

(取材・文 児玉幸洋)
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