今野は中国戦でハードな守備と正確な繋ぎという武器をしっかり発揮した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1サッカー選手権]日本代表 2-1中国代表/12月12日/味の素スタジアム
 
「素晴らしい内容の、素晴らしい勝利だった。すべての選手を称賛したいと思う」
 
 試合後会見でご満悦だったヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、今大会のキャプテンマークに関する舞台裏を明かした。
 
 国際Aマッチウィークではないため海外組を呼べない今大会は、キャプテンの長谷部誠をはじめ、吉田麻也、長友佑都、川島永嗣など経験豊富なベテラン勢が不在。さらに招集された中では2番目の43キャップを誇る清武弘嗣が、12月6日の練習中に頭を強く打ったため、大会前に戦線離脱した。そんな中でキャプテンは昌子源が担っている。
 
 しかし、ハリルホジッチ監督は当初、チーム最年長の34歳で、中国戦で92キャップ目ともっとも国際経験豊富な今野泰幸に腕章を託する腹積もりだったという。
 
「最初は今野にキャプテンをやってもらうと思っていた。しかし彼は、『俺なんかがキャプテンでいいのか……』と考えてしまうような、とても謙虚な男でね。ディスカッションしたが、結局は『監督が求める通り試合中はしっかり喋るから、キャプテンは他の人間にやってほしい』と言ってきたんだ」
 
 こうしてキャプテンを固辞した今野だが、ハリルホジッチ監督の信頼はガッチリ掴んだようだ。指揮官はこう語る。
 
「今野は素晴らしいパフォーマンスを見せた。ディシプリン(規律)が素晴らしかったし、守備も良かった。アンカーとしてしっかり攻撃もオーガナイズできていた。私は完璧主義者だから、左だけじゃなく右をもっと使ってほしいと思っていたが、いずれにしても素晴らしかった。UAE戦(17年3月のW杯予選)の今野が戻ってきたね。今度もこの調子を続けてほしい」
 
 実際、12月9日の北朝鮮戦、今日の中国戦と2試合連続でフル出場した今野は、いずれの試合でも際立ったプレーを披露している。攻撃では安定したパスワークで組み立てを機能させれば、常に絶妙な位置に動いて味方にパスコースを提供。守備では対人の強さはもちろん、デッドスペースを素早く埋める気の利いたディフェンスが光った。救世主的な働きを見せたUAE戦のパフォーマンスをたしかに彷彿とさせる。
 
 来年6月のロシア・ワールドカップ開幕時には35歳を迎えている今野だが、自身3度目の檜舞台に着実に前進していると言っていいだろう。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)