中豪の対立がエスカレートしている。オーストラリアのターンブル首相は9日、中国語を交えて故・毛沢東主席による中国の建国宣言をパロディーのように使い中国を批判。中国側も猛反発した。写真はキャンベラ。

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中国とオーストラリアの対立がエスカレートしている。直接のきっかけは、オーストラリアのターンブル首相が5日、外国勢力による政治介入を防ぐために、外国からの政治献金を禁止すると発表したことだった。9日にはターンブル首相が中国語を交えて故・毛沢東主席による中華人民共和国の建国宣言をパロディーのように用いて中国を批判。中国側もターンブル首相を改めて批判するなど、「舌戦」はエスカレートしている。

ターンブル首相は5日の時点で「中国の影響について懸念すべき報告がある」などと述べ、政治介入を防ぐべき外国勢力として中国を想定していることを示した。

中国外務省の耿爽(グン・シュアン)報道官は8日の定例記者会見で、ターンブル首相の発言と同発言を支持したオーストラリア議会を「オーストラリアの一部メディアの無責任な報道に、無原則に迎合するもの。中国に対する偏見に満ちている」などと批判した。

ターンブル首相は9日、耿報道官の発言を受け、「現代中国は1949年に建立された。当時の中国には『中国人民站起来了(ジョングオ・レンミン・ジャンチライ・ラ)』との言い方が発生した。これは『中国人民は立ち上がった』を意味し、主権の表明であり、誇りある言い方だ」と、中国語を交えて語った。

ターンブル首相ははさらに、「ならば、ここでわれわれも言わねばならない。『オーストラリア人民は立ち上がった』、『澳大利亜人民站起来了(アオダーリーヤー・レンミン・ジャンチライ・ラ)』だ」と述べ、自国政治における中国の影響力行使を阻止するのは、自国の主権問題との考えを示した。

「中国人民站起来了」は、故毛沢東主席が1949年9月21日、中華人民共和国政府の在り方を決めるために開催した全国政治協商会議第1回全体会議で述べた発言で、同年10月1日に北京市内の天安門上で述べた「中華人民共和国が成立した!」の言葉と並び、「新中国」の到来を象徴する宣言と受け止められている。

毛主席については、その後の無謀な政策推進や陰湿な権力闘争に対する批判はあるが、中国共産党も多くの一般中国人も、中華人民共和国を発足させたのは偉大な功績と認めており、建国宣言については「歴史的名文句だ」と受け止めることが一般的だ。また、現在の習近平国家主席は毛沢東主席を敬愛しており、それだけに毛沢東時代の共産党の権威を取り戻すべく、権力集中を進めているとの見方もある。

中国および習近平政権の神経を逆なでるようなターンブル首相の発言に、中国側は改めて反発。共産党機関紙の人民日報は11日付で、「オーストラリアは中国に対して、事実を知ることから出発せよ」と題する論説を掲載。「政治屋が事実と異なるメディアの報道に見境なく迎合し、『対中関係に境界線を引く必要がある』と表明さえした。偏見に満ちた言行は中豪関係の正常な雰囲気を壊し、下手な『二人羽織』が両国の相互信頼と協力の基礎に打撃を与えた」などとして、ターンブル首相を非難した。

また、中国外務省の陸慷(ルー・カン)報道官は同日午後の定例記者会見で、「オーストラリアの指導者の発言に、中国は関心を持っている。オーストラリア側の一部の人に対して、自らのイメージと中豪関係を損ねるような発表はやめるようお勧めする」など、直接の非難は避けつつも、不快感を示した。(翻訳・編集/如月隼人)