飛躍の1年を経て――馬場ふみかは、自身も知らない新たな自分を探求していく

馬場ふみかと言えば、月9ドラマ『コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)で演じた、クールな看護師姿が記憶に新しい。そんな彼女が、映画『リベンジgirl』で演じるのは、『コード・ブルー』のときとは対照的な超ぶりっこ女子。ドラマのイメージとは180度異なる役柄だが、彼女の根底にあるのは「自分も知らない新しい馬場ふみかを見せたい」という思い。飛躍の1年を経て、来年はよりさまざまな役に出会うだろう。そのたびに「どんな馬場ふみかが見られるのか」と期待せざるを得ない。

撮影/川野結李歌 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

万里子を演じるにあたり、マネージャーがモデルに?

12月23日から公開される映画『リベンジgirl』は、性格以外はパーフェクトなヒロイン・宝石美輝(桐谷美玲)が、政治家一家のサラブレッド・斎藤裕雅(清原 翔)に失恋したことをきっかけに、選挙秘書の門脇俊也(鈴木伸之)と共に総理大臣を目指すという恋愛コメディです。台本をご覧になった印象はいかがでしたか?
すごく爽快で、アツい大人の青春物語だなと感じました。失恋からはじまっているものの、美輝が総理大臣になるために一生懸命に頑張る姿が描かれていて、とても素敵な女の子のお話だなと思いました。
本作で馬場さんが演じるのは、美輝と同じミスキャンパスグランプリを競った仲であり、女子アナとしてお天気キャスターを務めていた仲手川 万里子です。
台本を読んだイメージだと女の子らしいというか、すごくぶりっこな印象を受けますが、実際はただのぶりっこではなくて。いかに、相手が自分と気持ちよく接することができるか、相手が自分に好感を持ってくれるか、というのを考えて行動している頭のキレる子だなと思いました。
演じてみてどうでしたか?
普段の自分とかけ離れていますし、これまで私が演じたキャラクターのなかでも万里子ほど女の子らしい子はいなかったので、またひとつ新しい挑戦ができました。
ご自身とかけ離れているからこそ、参考にされた方がいらっしゃるんでしょうか?
マネージャーです。
意外と身近に!
仕事をしているときはそうでもないんですけど、しゃべっているときはすごくキャピキャピしていて。普段のマネージャーのしゃべり方を参考にしました。近くにモデルがいてよかったなと思っています(笑)。

ただのぶりっこじゃない、頭の回転の早さを意識した

頭がキレるというお話がありましたが、美輝が“イタイ性格”ゆえの一匹狼だとしたら、万里子は考え抜かれたコミュニケーション能力で男女関係なく周囲と関係を築いていくタイプですよね。しかし、見た目やしゃべり方は、かなりブリブリのぶりっこ。ただのぶりっこに見せないようにするのは、とても難しそうなのですが。
難しかったですね。でも、ちゃんと考えてやっているんだというのが垣間見えるシーンがあったので、そこは万里子の頭のよさをしっかり見せるように意識しました。
垣間見えるシーンというのは、万里子が美輝から選挙の手伝いを頼まれるところですね?
はい。そのシーンは万里子というキャラクターにとって、すごく大事な場面だと考えていました。そこでいかに「可愛さだけでここまでやってきたんじゃない」という一面を見せられるかで、万里子の印象はかなり変わってくると思っていて。頭の回転の早さを見せるようなしゃべり方にするなど、気をつけました。
加えて、万里子は、美輝の選挙を手伝う前は女子アナとして活躍していました。
女子アナ時代のお天気コーナーの撮影も難しかったです。緊張しました。
どういった部分が難しかったんでしょう?
やっぱり、ドラマや映画でカメラに向かって可愛さをアピールすることはなかったので「これで合っているかな…?」って緊張しながらやっていきました。あとは、一応アナウンサーなので話し方を意識して。けっこう大変だった記憶があります。
アナウンサーを演じるために参考にしたものなどはありますか?
お天気コーナーの映像などを見て、どういうふうにやっているのか研究しました。アナウンサーさんも人それぞれで、可愛らしいしゃべり方をする方もいればハキハキとしゃべる方、よくしゃべる方もいるので、いろんな方を見て勉強しました。

マイペースな共演者&スタッフ陣…撮影現場の裏側

撮影現場はどんな雰囲気でしたか?
けっこうみなさんマイペースで、ほんわかした雰囲気だったなと思います。話す内容も「今日はすごく寒いね」とか「風邪ひかないように気をつけようね」とか、そういうことがほとんどでした。
桐谷さんとの共演はいかがでしたか? 女優としても、モデルとしても同じ雑誌『non-no』(集英社)出身の先輩ですね。
やっぱり同じ雑誌出身で、こうして女優として活動しているのでとても身近な先輩で。一緒のシーンも多かったので、桐谷さんのお芝居に対する姿勢や、現場での立ち居振る舞いは注意して見てました。
そういうのは背中で見せるタイプの方なんでしょうか?
そうですね。「この先輩についていきたいな」って思わせる方です。でも普段はふんわりしていて、とてもマイペースな方なんですよ。それこそ、三木(康一郎)監督もマイペースというか。すごく話しかけやすくて相談もしやすい雰囲気を出してくださって、ありがたかったです。
監督と相談しやすいというのはとてもいいですね。実際、どんな相談をされたんですか?
万里子は、身振り手振りが多くてリアクションひとつひとつも大きかったので、「ここはこういうふうにやってみたいんですが、どうでしょうか?」という話をしました。三木監督のなかにも万里子のリアクションのイメージがあって、私のほうでやってみたものと合わせて、「どっちがいいかな」とディスカッションしたところもありました。
可愛い身振り手振りなども、マネージャーさんをご参考に?
はい(笑)。普段から見ているので、そういうところから盗んでやってみました。
万里子が美輝に自身のコミュニケーション術を教える場面がありますが、馬場さんは人とコミュニケーションをとるのは…。
私は下手なんです。だからこそ万里子に教えてもらった感じですね。たとえば、初対面の方と仕事の話はできるけど、そこから一歩踏み込んだ話はできない…。昔よりはよくなりましたけど、まだ人見知りですね。
人見知りなんですか?
そうなんです。昔は、それこそ取材でも全然しゃべれないくらい。でも、取材もたくさん受けさせていただくうちに、徐々にしゃべれるようになってきたというか。年齢を重ねてちょっと大人になったからか、初対面の方とも、昔と比べたら少しずつ話せるようにはなりました。
馬場さんがコミュニケーションをとるうえで、大切にしていることはありますか?
そうですねー…。大切にしているというよりクセなのかもしれないんですけど、私は話すとき、相手の目をじっと見ちゃうんです。たまに見すぎちゃって、共演者の方や友達にびっくりされることがあります(笑)。
見すぎ! って?
はい。でも、何でそんな目を見つめちゃうんだろう…。今、自分で考えるとわからないですね。何でだと思いますか?(笑)
(笑)。相手の話をしっかり聞こうとされているのでは…? インタビューをしている身としては、目を見て話してくれるってすごくうれしいことです。
本当ですか! なら、よかったです(笑)。
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