好調を維持する田中の2試合連続ゴールが中国戦の決勝点に!写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1選手権女子]日本 1-0 中国/12月11日/フクアリ

 11日の中国女子代表戦は、高倉ジャパンにとって4回目の国内試合だった。4月のコスタリカ戦、10月のスイス戦、E-1選手権の韓国戦、そして中国戦。その4試合すべてで得点を挙げている選手がFW田中美南(日テレ・ベレーザ)だ。
 
 中国戦での得点は、なでしこジャパンがE-1選手権優勝に王手をかける、貴重な決勝点となった。
 
 20分、右サイドの阪口からパスを受けたMF中島依美(INAC神戸レオネッサ)が、中央でゴールに向かってドリブルを開始するのに合わせて、田中が中国のDFマー・ジュンとDFウー・ハイイエンの間に走っていくと、ペナルティエリア内に進入する直前に田中の足下にラストパスが送られた。
 
「依美さんが絶妙ないいパスをくれたので、本当に流し込むだけでした」
 
 田中はボールに追いつくと、ダイレクトで迷いなく左足を振り抜き、ゴール右下へ。逆を突かれた中国のGKジャオ・リーナーは、倒れそうになりながらも残った左足で田中のシュートを防ごうとしたが、もう次の瞬間にはゴールネットが揺れていた。
 
 代表であっても、なでしこリーグであっても、数年前から田中が常に掲げる目標は、至ってシンプルなものだ。
 
「1試合1得点」
 
 これはストライカーとしては高くもなく低くもない目標である。しかし達成していくのが相当に難しいことは、ここに書くまでもない。
 
 田中は下部組織の日テレ・メニーナに所属しながら、2011年にベレーザのトップチームデビュー。背番号19を付けてプレーしていたが、2013年からは伝統の背番号9というエースナンバーを託された。
 
 ボールを受けてからの素早いターンや、相手最終ライン裏に抜けるスピードを生かして、直近の3シーズンは、日テレのリーグ3連覇に貢献。以前はパフォーマンスにムラがあったが、シュート成功率を徐々に上げていき、2年連続でプレナスなでしこリーグ1部の得点王を獲得した。
 
 得点王を初受賞した昨季は、田中自身が「周りの味方選手に獲らせてもらった得点王」と話していたが、今季は「前のシーズンと比べると優勝に貢献できたかなと思える得点王」と変化してきた。リーグ戦で最も多く得点を取った選手に贈られる得点王という『ものさし』は変わらないが、獲得した本人からすると、ふたつの得点王は違う趣のあるものだった。
 今季は18試合で15得点であるため、「1試合1得点」の目標は達成されなかったが、節目の重要な試合でしっかり結果を残してきた。リーグ開幕戦のちふれASエルフェン埼玉戦、リーグ中断前のアルビレックス新潟レディース戦、リーグ中断明けの浦和レッズレディース戦、そして優勝決定試合のI神戸戦。そのいずれの試合で得点という結果を残し、エースとしての仕事をまっとうした。
 
 ちなみに、筆者が日テレの練習場で田中のシュート練習を見る限り、シュート成功率はまだまだ上げる余地があるようだが、これは彼女の伸びしろとしておこうと思う。
 
 結果を残し続ける田中を、高倉麻子監督も高く評価をしている。
 
「彼女が得意なポストプレーや、シュートに持って行く形を試合で発揮しながら、少しずつ自信を深めていっている。それと同時にストライカーとして点を取るんだという強い気持ちも感じる。今日の中国戦でも点を取って、ストライカーの仕事をやってくれた」
 
 しかし、中国戦後の田中の口から出てきたのは、反省の弁がほとんどだった。
 
「守備がうまくはまらなかったし、マイボールを簡単に失ってしまい、相手のカウンターを受けてピンチも招いていた。そういうミスを、チームとしても個人としても減らしていかないといけない。落ち着きどころを作れなかったのは反省」
 
 なでしこジャパンが中国戦で得点を決めたのは、20分の田中の一発のみで、時折チャンスは作ったが、試合を主導する理想的な90分とまではいかなかった。
 
 第3戦の北朝鮮女子代表戦は、なでしこジャパンが優勝を狙ううえで、勝つしかない優勝決定戦となった。引き分けでは優勝を逃すということは、最低でも1得点は必要になる。
 
「1試合1得点」
 
 田中のシンプルな目標は、プレッシャーのかかる次の一戦でも達成されるか。
 
取材・文●馬見新拓郎(フリーライター)