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●インテルの2017年10大ニュースは?

インテルはこのほど、都内で記者説明会を実施し、2017年の総括と今後の展望について説明した。

冒頭、江田社長は2017年のトピックとしてインテルのサウンドロゴが音商標として認定されたことに触れ「言語以外の多様なブランド発信手段というユニークな商標を得たことはうれしい」と喜びを表現した。

サウンドロゴが誕生した当時は、Pentiumプロセッサーが登場し、プランドイメージをどうやって伝えていくか考えたそうだ。覚えやすくシンプルなメロディーによって信頼・信用とイノベーションを表現したという。その後も「インテル入ってる?」やCentrino、ウルトラブックのキャンペーンを通じて信頼されるイノベーション企業という発信ができたと振り返った。

2017年はドローンに関して説明会を行ったほか、ハウステンボスで小型ドローン「Intel Shooting Star」によるショーを実施した。江田氏は「夏の風物詩として定着させたい」とコメント。また、IoT/自動運転/AIが進化した年でもあったという。

このほか、オリンピックワールドワイドTOPパートナーとしてIOCに協力し、2024年までインテル製品をオリンピックに投入することを発表している。まずは平昌オリンピックで韓国キャリアのKTと協力して、5G提供するほか、平昌でのe-Sports大会も予定している。

○新CPUを相次いで投入した2017年

2017年はハイエンドデスクトップ向けのIntel Core Xシリーズに加えて、メインストリーム向けにも第8世代Coreプロセッサを展開。日本市場はハイエンドを中心に盛り上がっていると肌感覚で感じるとした。CPUに関しては「今後も革新的な製品を投入してリーダーシップを確立したい」とアピールする。

将来に関してはすべてがネットに繋がるインテリジェントライフへの取り組みや、AI医療が広がるとするほか、2030年までに自動運転車が市場の1/4になるという予測を述べた。江田氏は「日本では高齢化に伴う移動手段として進展するのではないか」とコメント。

5Gに関しても日本では2020年に本格的商用を目指す方針があるほか、アジア市場が5Gの導入や開発で世界をリードするという。

●力押しのできるハードウェアをソフトウェアが後押しするAI市場

続いてインテル アジアパシフィック・ジャパン担当 HPCディレクターの根岸史季氏がAIへの取組に関して説明。AIは第一次、二次ブームを経て現在の第三の波が来ている。今起きている改革の波はソフトウェアのイノベーションにあり、従来にはなかった「力押しのできるハードウェア」に「ソフトウェアのイノベーション」が合体しているという。

インテルは2017年2月にApache Spark向けのディープラーニングライブラリオープンソースライブラリ「BigDL」の発表を皮切りに、7月には処理に必要なXeonスケーラブルプロセッサを発表。AIの究極はビッグデータ処理にあり、データを効率的に処理して知見を生み出すために最適なのがXeonであると述べた。

さらにエッジデバイスとして、USB接続のMovidius Neural Compute Stickや、ニューラルネットワークチップNervanaのチップを発表するなど、多元的な取り組みを行っている。これらの使えるハード・ソフトの発表に加え2〜5年後に効果を発揮するであろう製品を投入したと自信を見せた。

AIの中でも現在注目が集まっているディープラーニングは多層構造のニューラルネットワークを使っており、トレーニングに時間がかかる。一方、開発全体で言えば学習時間は短く、データの取得、ラベル付、学習に最適なモデルを検討するところに労力がかかるという。

現在ディープラーニングがうまく機能している応用例として、画像認識や音声認識を挙げ、医療における画像認識ではMRI画像を見て(悪性)腫瘍があるかどうかが分かるようになってきており、期待されていると紹介した。

●創薬コンソーシアムも立ち上がり、AI創薬が日本で加速?

説明会には、ゲストとして理化学研究所(現在は京都大学医学部付属病院に出向中)の種石慶氏がAI創薬について説明した。新薬の開発には医薬品メーカーが数万の化合物をライブラリとして持ち、これに対して生体内のたんぱく質10万種類から病気治療に見合った組み合わせを見つけるところから始まる。

この候補を実際の細胞や、モデル動物、そして臨床試験をへて承認が得られるとやっと新薬として認められるのだが、これには長い開発プロセスがあるというのは言うまでもない。

製薬業界が抱える共通の問題として、研究開発費が増える一方で新薬承認数は横ばい、つまり新薬の開発コストが上昇している事が挙げられる。新薬として承認されるのは平均すると2.5万の候補からたったの1つで、開発コストは1,200億円以上と膨大な上、開発期間も10年以上と長い。

また残された創薬テーマは実現が困難なものが多く、最適な組み合わせを見つける事自体が難しい上に、製薬会社のライブラリ化合物から候補が見つかるという保証もない。臨床試験の最終段階で問題があると判断されればそこまでにかけた費用は無駄になると創薬がハイリスク、ハイリターンな世界であること強調する。

そこで期待されるのが計算創薬というもので、計算機上でバーチャルに薬を作成し、相互作用を計算。シミュレーションだけで推測することで物理的な実験を削減するというものだ。2012年のMERCKによる分子活性値予測コンテストでディープラーニングを導入したチームが優勝したことをきっかけで機械学習を利用した創薬応用が期待されるようになったという。

製薬業界やITベンダー、スタートアップを対象としたLife Intelligence Consortiumを2017年10月に発足。89の企業・団体が参画した。非競争領域ではモデル開発を行い、原則としてその成果を公開。その結果を競争領域に持ち込むことで促進を行うとともに、日ごろIT業界と付き合いのない製薬会社と技術のあるITベンダーやスタートアップを結びつける。

なお、創薬AIの各ステージを短縮する方法論を提供するので、実際に創薬AIが市場に出る際にすべてのステージでAIが使われるとは限らないそうだ。