広告主にとって休暇シーズンは、マーケティングや広告効果が冷え込む厳しい時期だ。休暇シーズンを乗り切るため、パブリッシャー各社はポップアップショップとイベントを用意して、集客を図る。

クリーク(Clique)、ポップシュガー(PopSugar)、ドミノ(Domino)といったライフスタイル関連のパブリッシャーの多くが、年末までのあいだ、休暇をテーマにしたポップアップショップやイベントを開催する。クリークの美容関連サイトのバーディー(Byrdie)は、12月1日にバーディービューティーラボを開店した。この約185平方メートルの広さの店では、バーディーとノードストローム(NordStrom)の開発した化粧品を買えるだけでなく、有名メイクアップアーティストによる美容講座を無料で受けることができる。

また、数ブロック先のソーホー地区にあるホーム・デポ(Home Depot)では、ドミノが約280平方メートルのポップアップショップを開く。同店では無料ワークショップへの参加や、ドミノの編集者が選んだ商品を買える。さらに12月9日、ポップシュガーはブルックリンのセントアンズウェアハウス(St. Ann’s Warehouse )でオールド・ネイビー(Old Navy)協賛の展示、デック・ザ・ホールズ(Deck the Hauls)を開く。ここでは特製のギフトボックスが販売される。

パブリッシャーの思惑



こうしたポップアップショップやイベントが開催されるのは、マーケティング投資が購買に結びついていることを示し、より効果の大きい広告プログラムを絞り込みたいと、パブリッシャー各社が考えているためだ。

「我々は常に実験的なマーケティングを行ってきたが、こうしたイベントの需要は大幅に増えている」と語るのは、ポップシュガーで最高売上責任者(CRO)を務めるジェフ・シラー氏だ。同氏は「数を減らして、より大規模で質の高いものが求められている」と指摘する。

こうした体験型の店やポップアップショップが開かれるのは、小売店がAmazonやオンライン小売業者からかつてないほど大きなプレッシャーを受けている証左でもある。クレジットスイス(Credit Suisse)の調査によると、今年だけでおよそ8000の小売店舗が閉店に追い込まれる。小売店は消費者にリーチしようと必死だ。

体験型マーケティングを行うエージェンシー、ファクトリー360(Factory 360)のビジネスパートナー、ガブリエラ・ネベス氏は次のように述べた。「以前、ポップアップショップはブランドイメージやPRのためだけの存在だった。だが、いまや規模も大きくなり、ブランドもポップアップショップで売り上げを伸ばそうと考えるようになっている」。

売上以外のメリット



ごく最近まで、ポップアップショップといえばエージェンシーや制作会社のものだった。だがパブリッシャーは、エディトリアルコンテンツを作ることでイベントのリーチを増やせる。それによって、体験型マーケティング分野で予算上の優位性を作り出しているのだ。

たとえばドミノは、デザイナーのシンシア・ローリー氏とインスタグラマーのパトリック・ジャネール氏をポップアップショップに招いてワークショップを開くことで、エディトリアルコンテンツを生み出している。ドミノはディスプレイ広告も打ち出しているが、それ以外にもこうすることで自社についての記事を書いてもらえるというわけだ。ドミノは昨夏もハンプトンズで、アメリカン・エキスプレス(American Express)とともにポップアップショップを開いている。

またポップシュガーのイベント、デック・ザ・ホールズも、同社からオールド・ネイビーが買い取った広告イベントだ。このイベントではポップシュガーのギフトの展示や説明が行われており、また動画やソーシャルメディアの宣伝には、購入リンクが貼られている。

ポップシュガーの現在の最大の広告主は、小売業界だ。小売業者にとってブランドとの協賛や、このイベントのようなトラッキング可能なうえに消費者の購入までのプロセスが完結したリンクを提供できるのは魅力的だ。シラー氏は次のように分析する。「(コンシューマー製品)ブランドはプログラマティック広告に流れている。だから小売ブランドは、もっとブランドと協賛したいのだ」。

画像は2017年にブルックリンで開かれたドミノのポップアップストアの様子

MAX WILLENS(原文 / 訳:SI Japan)