神戸市にある理研の研究所内に設けた温湿度を調整する設備(被験者2人は集中力を要するタスクを実施中)

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 ダイキン工業は仕事や勉強を続けても疲労を感じにくい空調を2021年にも製品化する。年内に理化学研究所(理研)と共同で、オフィスや住宅といった室内の温湿度が人の疲労や集中力に与える影響を探る実証試験を始める計画。生産性と省エネルギー性を考慮し、科学的根拠のあるエアコン設定の指標を政府に提案する考え。ダイキンはこのノウハウを製品に取り入れる。

 政府は夏のクールビズ期間に、28度Cの空調温度を推奨している。この設定温度に対して政府内から「暑い」「根拠がない」などの意見が出ている。これを踏まえ、ダイキンと理研は実証を通じ2―3年かけて疲労と関連する生体データを分析する。ダイキンは、実証で培った空調制御の技術について特許を申請する。新製品の詳細は実証の進捗(しんちょく)を見ながら詰める。

 実証のため、理研ライフサイエンス技術基盤研究センター(神戸市中央区)に温湿度を制御する空間を設けた。夏と冬にそれぞれ延べ300人の被験者に心拍センサーを付け、ビデオ鑑賞などでリラックスしたり、逆に集中力が必要な作業をしたりさせる。心拍の変化から、疲労の度合いと関連する自律神経の状態を把握する。

 実証の1年目は、同じ衣服を着用するといった条件を整え、温度と自律神経の関連に特化して分析を進める。2年目は服装を自由にし、湿度も変更するなど条件を複雑にする。冬の暖房時は、暖かくて眠くなり、仕事の効率が落ちるといった条件を探る。同センターの渡辺恭良センター長は「エアコン設定を26度Cにしたら生産性が高まり、消灯時間が早くなって、むしろ省エネになるかもしれない」と見通している。