米アマゾン・ドットコムには、外部業者を活用し、顧客の取り込みを図る事業がいくつもある。例えば、外部業者向けの出品・出店事業や、出品業者に代わって在庫を管理したり、配送、返品対応などを引き受けたりするフルフィルメント事業だ。

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アーティストの作品を即配

 その中には、同社が2015年に立ち上げた、ハンドメイド製品を取り扱う「Amazon Handmade」もあるが、同社はこのほど、ここで扱う商品を、注文から最短1時間以内で届ける「Prime Now」で販売すると発表した。

 Amazon Handmadeは、世界各国のアーティストや職人が制作した作品を販売する同社eコマースサイト内のサービスだ。

 取り扱っているものは、宝飾品や置物、バッグ、靴、衣服、家具、絵画、版画、文房具、パーティー用品などさまざま。サービス開始当初の取り扱いアイテム数は約8万点だったが、アマゾンによると、これが今では数十万点に増えている。またアーティスト・職人の数は、当初は5000人という発表だったが、今では30カ国以上で数千人が登録している。

期間限定サービスだが、競合には脅威

 一方のPrime Nowは、同社の有料プログラム「Prime」の会員が、専用モバイルアプリを使って商品を注文すると、最短1時間以内で商品が届くサービス。

 今のところ、Amazon HandmadeとPrime Nowを組み合わせたこの新サービスは、ワシントン州シアトルや、ニューヨーク州マンハッタン、カリフォルニア州サンディエゴ、ミネソタ州ミネアポリスといった米国の一部の都市に限定しており、その提供期間もこの年末のホリデーシーズンのみと限定的。

 しかし、eコマースの巨人であるアマゾンが、この分野の販売で攻勢をかけてきたことは、1年で最も販売が伸びるこの時期において、ライバルに大きな打撃を与えるだろうとの見方が広がっている。

右肩上がりで伸びるハンドメイドのeコマース

 ドイツの調査会社、スタティスタによると、ハンドメイド製品のネット販売は、米エッツィー(Etsy)が最大手。

 その、10年前における年間取り扱い金額は、わずか2600万ドルだったが、その後、右肩上がりで伸び続け、エッツィーの取り扱い額は、昨年(2016年)は、28億4000万ドル(約3224億円)に達した。プロのアーティストや職人が、自分の作品をネット販売するこうした仕組みは、巨大な市場になりつつあるようだ。

 一方で、エッツィーの四半期ごとの売上高(アーティストへの支払い後の実質収入)を見ると、毎年10〜12月期が、ほかの四半期に比べて30〜50%伸びている。ハンドメイド製品は、クリスマスシーズンに最も売れる商材。ここをアマゾンが、狙ってきたというわけだ。

 なお、Amazon Handmadeにおける販売手数料は、販売価格の15%、あるいは、1商品当たり1ドル。このうち、どちらか高い金額をアマゾンはアーティストから受け取っている。

 アマゾンには、このほか、ハウスクリーニングや住宅の修繕、水道工事といったサービスをプロに依頼できる「Amazon Home Services」、デジタルコンテンツを外部業者から定期購入する「Subscribe with Amazon」などもある。こうして同社は、外部業者を活用し、売り上げ拡大を図っている。

筆者:小久保 重信