新機能満載のニュースアプリが登場した(写真:日テレNEWS24のHPより)

日本テレビ放送網(日テレ)は12月11日、iOSおよびAndroid向けの新アプリ「日テレNEWS24」をリリースした。この新アプリは、テレビ報道の長所をそのままに、短所とも言える時間軸からの制約を取り払うことで、新たな価値を提供するというもの。実際にダウンロードして使ってみると、確かに従来の新聞報道やニュース集約サイトなどとは異なる特徴を体感できた。

インターネットを活用したサービスと、テレビ放送の特徴を組み合わせ、さまざまなシステムを提案してきた日テレだが、その経験を活かした日テレNEWS24アプリは、テレビ報道のあり方、視聴スタイルを大きく変える転機になるかもしれない。

スマホに最適化した報道専門チャンネル

現在、民放キー局大手は報道専門チャンネルを運営している。日テレはCS放送で「日テレニュース24」を放送しており、TBSも「ニュースバード」を運営している。テレビ朝日も電波を用いた放送ではないが、サイバーエージェントとの合弁会社である「abemaTV」のAbemaPrimeを通じてニュースのネット配信を行っている。フジテレビはネットでテキスト記事、ライブ配信、動画を伝える「ホウドウキョク」を運営している。

つまり24時間、常にニュースを配信し続ける報道チャンネルは存在しているともいえる。しかし、持っているからといって、24時間ニュースを観てもらえるのか?と言えばそうではない。なぜなら、チャンネルを合わせた瞬間に、自分が興味を持つニュースを配信しているとは限らないからだ。

報道局サイバー戦略部長の宇佐美理氏は「ワンセグでモバイルでも映像が楽しめるようになれば、みんな観てくれる。そうした幻想もかつてはあった。しかし放送は時間軸を視聴者が自分でコントロールできない。移動中に映像から情報を取り込もうと思っても、興味のないコーナーを観せられるのは苦痛でしかない。今回のアプリでは、その苦痛を取り払うことを狙った」と話す。

「日テレNEWS24」アプリでは、過去のニュースアーカイブをジャンルごとに分割し、文字へと書き起こした原稿とともに映像も閲覧できるようになっているが、これは以前からウェブ上で展開されているサービスをアプリとして整理しただけに過ぎない。

しかし上記「ニュース」とは別に「ライブ動画」「気象・防災(地震、津波、台風の最新情報にアクセスできる)」が用意されている。このうち、ライブ動画を選ぶと現在放映中の「日テレNEWS24」のストリーム映像が映し出される。

ニュースの”頭出し”ができる


ニュースの頭出しも簡単にできる(画面キャプチャー画像)

これだけならば、単なるライブ映像を送出しているだけなのだが、「日テレNEWS24」アプリではライブ送出する映像を自動的にインデックス化している。途中から再生されたニュースについては放映開始時へとワンタッチで頭出しをしたり、時間軸を遡ってさまざまなニュースの“頭出し”をできるようになっている。

ライブ放送中のニュース番組は、報道内容ごとに簡潔なタイトルでリスト表示されるほか、ニュースの見出しが視認できる縮小画像を自動生成。並べられた縮小画像を一覧するだけで、自分が興味を持っている内容かどうかを判断できるよう工夫されている。

宇佐美氏は「24時間ニュースを流し続け、それをウェブやアプリに同時送出すれば、いつでもどこでも場所の制約を受けずに報道映像に接することは可能。しかし、時間軸からの制約は逃れられないため、これでは”知りたい”という視聴者のニーズを満たせない。今回の新アプリでは、そこを解決すること力を注いだ」と話す。

とはいえ、日テレはこれまでもニュース映像のネット配信には力を入れてきた。むしろ、注目すべきは、あらためて”ライブ”に力を入れた点かもしれない。

「ネットで自由に映像を観たいのであれば、ビデオ・オン・デマンド(VOD)でもいい。とはいえ、自分が観たい動画を探してタップするのは煩わしい。一方でテレビの報道番組には、特別な目的意識がなくとも情報を整理して捉えられるように”編成”がされている。番組の最初に重要なニュースがあり、そこから重み付けなどから編成の順番が決められている。ライブでは、単に流しているだけでも新しい気付きがあるよう制作している」(宇佐美氏)

常に時間軸に制約を受けてきたテレビだからこその番組制作ノウハウを活かしている、というわけだ。受け身で映像を観ている中で気付きを得るテレビならではのコンテンツの作り方と、自ら積極的にコンテンツを探すネット的な操作。その両方を実現したのが今回のアプリと言えるだろう。

そのコンセプトを、もっともよく表している機能がある。それはニュースのシェア(共有)機能だ。放送されているニュースを観ながら、特定トピックについて何か発言したい。そう感じて発言しても、それを見た人は同じニュースを観ることができない。

”放送とはそういうものだから仕方がない”が従来の常識だったが、このアプリを用いれば発言を見たフォロワーに対してトピックを伝える映像のスタート地点に誘うことができる。

「ネットの良さ、放送の良さ、それぞれにある良さをかけ合わせ、より価値あるニュースを自由に楽しんで欲しい」(宇佐美氏)

系列局も含む形で前進できるか

なお”放送”という枠組みで考えるとき、ニュース報道のネットワーク系列が別途存在する。たとえば日テレの場合「NNN」のブランドで、系列の地方局も含めた報道ネットワーク化が行われているが、今回のアプリは名称からもわかる通り日テレのCS番組を元にした単独配信だ。

これに関して宇佐美氏は「ネットワークに参加している地方局にも承知していただいた上でサービスを提供している。地元に密着したニュースや情報のニーズは大きいため、将来的には、今回の仕組みを各地方局が提供するアプリへと組み込んで使ってもらえるようにしたい」と話す。

系列局も含む形で前進していけば、ニュースアプリとしての価値は一層高まることになるだろう。