新スピードスター伊東は中国戦でより輝く!? 先発出場に意欲「持ち味はもっと出せる」

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代表デビューを飾った中国戦は結果を出せず 「常に1対2の状況になってしまった」

 柏レイソルが誇る新スピードスター“IJ”ことFW伊東純也は、バヒド・ハリルホジッチ体制の日本代表定着へ抜け出せるか――。

 9日に行われたE-1サッカー選手権・北朝鮮戦(1-0)で代表初キャップを刻んだ伊東。試合後の会見で指揮官から名指しで称賛された数少ない存在だが、自らのストロングポイントである俊足を、マルチェロ・リッピ監督率いる12日の中国戦でこそいっそう発揮できると考えている。

「チャンスには少し絡めたので。全然ダメってわけじゃないけど……仕掛ける部分の意識は出せたかなと」

 北朝鮮戦の出来について聞かれた24歳は、こう切り出した。0-0で迎えた後半11分にMF高萩洋次郎(FC東京)に代わって送り出されると、主戦場の右サイドを任される。ボールを持った際の仕掛けによって、それまで停滞していた攻撃にリズムを与えた。もっとも、本人は「とはいえ、結果は出していないので」と口にし、こう続けている。

「相手が引いていたんで、(相手マーカーと)常に1対2の状況になってしまったのは難しかったです。そこでも打開できればいいんですが」

「中国は隙やスペースが生まれるかなと」

 伊東の歯切れが悪かったのは、本来の良さを出し切っていないからだろう。

 今季のJ1リーグ戦、ゴールを決めてフル出場を果たしたFC東京戦(第11節)、ベガルタ仙台戦(第19節)ではチーム最多となるスプリント回数(時速24キロ以上)30回を記録。スプリント回数の多さは、ここ一番での爆発的スピードを蓄えている証左とも言える。北朝鮮戦ではその瞬発力を生かす場面が数えるほどだけだっただけに、中国戦には期するものがある。

「前への意識を増やして、裏への飛び出しを出せればいいかなと。北朝鮮戦は相手が引いていたとはいえ、(チーム全体が)そのあたりの意識が少なかった。中国は北朝鮮ほど引いて守らないと思うし、隙やスペースが生まれるかなと」

 かつてイタリアをワールドカップ優勝に導いたリッピ監督が率いる中国は、積極的な戦いを選択すると見られている。そのプラン通りになれば、伊東にとっては願ったりかなったりだ。

「長い時間プレーできれば、自分の持ち味はもっと出せる」

 今季はリーグ戦全34試合に出場し、32試合でスタメン、フル出場は23試合を数える。長時間プレーしても陰ることがないそのスピードは、日本、中国ともに中2日で臨む過密日程の中でさらに輝くかもしれない。

【了】

茂野聡士●文 text by Satoshi Shigeno

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images