相手にわかってもらうにはどう話したらいい?(写真:xiangtao / PIXTA)

営業、交渉力などの研修講師として5000人以上を指導してきた大岩俊之氏による連載「入社1年目の営業」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

話しがバラバラだと、相手に伝わらない


アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

こんにちは、ロールジョブの大岩俊之です。営業マンのみなさんは、普段から相手に伝わりやすい言葉の組み立てなど、意識されていますでしょうか? 同じ会話の内容でも話しの組み立て方しだいで、うまく相手に意図が伝わったり、伝わらなかったりしてしまうものです。

私が営業マンだった時代、お客さまに言葉を伝える際、「伝え方」「しゃべり方」など、いろいろと試行錯誤して工夫してきました。元々、私は話し好きで、身振り手振りで話を伝えようとする感覚タイプです。仲の良いお客さまとは、多少言葉が足りなかったとしても、話しが少しズレていたとしても、お互いの空気感でなんとなく言葉を感じ取っていました。

自分では、話しは上手な方だし、人に伝えることは問題ないと思っていました。それが、思いがけない時に、自分の伝え方の工夫が足りないことを知ることになりました。

初めてお会いしたお客さまや、担当者が全く面識のない上司を連れてきた時、または購買部門、設計部門、品質管理部門などが一度に集まって商品採用会議などをする場面では、私の説明が「伝わっていない」と感じることが多くなってきたのです。

空気感が分からない、あまり親しくない相手の場合は、私の話の組み立て方しだいで、話の内容が「伝わったり」「伝わらなかったり」してしまうのだということを知ったのです。営業マン時代、人前でプレゼンする機会はほとんどなかったため、上達するのには時間がかかりましたが、今思うと、ある時コツをつかんでから、一気に上手くなった気がします。

それは、人に話を伝えやすくするのに、ある2つの法則に沿って話しを組み立てるだけで、大きく変わるということでした。

その法則とは、どんなものなのでしょうか?

この2つの法則を使えば、相手に伝わる!

みなさんに紹介したい2つの法則とは、「PREP法」と「ホールパート法」です。

「PREP法」とは、文章を分かりやすく表現するためのものですが、相手に話を伝えるのにも役立つ「話の組み立て方」です。

PREP法
Point(結論)
Reason(理由)
Example(事例、具体例)
Point(結論)

という構成になっています。英語の頭文字を取ってPREP法と呼んでいます。

これを「私のマイブームは?」というテーマに沿って、PREP法で作成してみます。

Point(結論)
私のマイブームは、スイーツ写真を撮り、Facebookにアップすることです。
Reason(理由)
仕事以外の側面である、スイーツ好きを知ってもらうのと、たくさん「いいね!」や「コメント」をもらうと嬉しいからです。
Example(事例、具体例)
有名店の定番スイーツなどから、季節ごとに旬のパフェ(秋は栗)を紹介したり、新しくオシャレなカフェを開拓したりして、お店の紹介もするようになりました。
Point(結論)
これによって仕事での会話の幅も広がり、お客さまとの話のきっかけづくりができるようになりました。

というようになります。このように話しを組み立てると、分かりやすくなりますね。

次は、「ホールパート法」です。これは、プレゼンなどではよく使われている方法です。

このホールパート法とは、最初に話の全体像「Whole」を伝えてから、話の各部分「Part」を説明していく方法です。最初に、全体像を伝えることで、話を聞く人は、理解しやすくなります。

同じく「私のマイブームは?」というテーマで作成してみます。

全体像「Whole」
私のマイブームは、3つあります。1つ目は、スマホでスイーツを上手に撮影すること。2つ目は、人気が出そうなスイーツを探すこと。3つ目は、スイーツをFacebookにアップして、「いいね!」や「コメント」をもらうことです。
話の各部分「Part」
1つ目のスイーツ写真撮影ですが、スマホでは細かい撮影の設定ができないかわりに、光が入る位置、スイーツの位置、後ろのぼかし具合を考えながら撮影するのが楽しいです。
2つ目の人気が出そうなスイーツを探すことですが、ファミレスで新商品が出ると、いち早く食べてみたり、おしゃれなカフェで、お店それぞれが工夫を凝らしたスイーツを堪能しています。
3つ目のFacebookにスイーツ写真をアップすることですが、投稿してからの友人の反応を見るのが楽しみです。目新しい新商品や季節のスイーツ対しては、みなさん反応がいいです。

こんな感じになります。たくさんのことを紹介したい時に、ホールパート法で話を分割してみると、わかりやすくなります。

2つの法則を、ビジネスで上手に取り入れるには

では、この2つの法則を、ビジネスに沿った内容を取り入れて説明していきます。

私がパソコンメーカーで働いていた時、あまり専門用語が詳しくないお客さまに商品説明をする際、苦労した事を例に出してみました。

販売員があるパソコンの機能や利点をお客さまに説明する場面ですが、何も工夫をしないと、このように、言葉を伝えるだけになってしまいます。

「このパソコンは、CPUがcore i7といって処理が早く、メモリも12GBあり、申し分がありません。HDDも1TBありますので、何でも保存できます。ワード、エクセル、パワーポイントソフトや年賀状ソフトがついており、便利です。保証やサポートも通常1年ですが、3年もあるので安心ですよ」

正直、このような説明では、何を言っているか分からない人が多いのではないでしょうか。

これを、「PREP法」と「ホールパート法」を組み合わせて、分かりやすく文章の組み立てをしてみます。対象は、幼稚園から小学校低学年のいる家族に向けての会話です。

まず、ホールパート法で全体像を示します。その後、パートごとに、PREP法の「理由」と「具体例」を付け加えます。

全体像「Whole」
このパソコンは、3つのオススメしたい点があります。1つ目は、他の製品と比較して性能が高いこと、2つ目は、ソフトが充実していること、3つ目は、保証期間やサポートしてくれる期間が長いことです。
話の各部分「Part」
結論
1つ目のオススメしたい点は、性能が高いことです。
理由と具体例
性能が高いというのは、広い机で作業したり、モノを入れる箱が大きいというようなイメージです。性能が低いと、使用していくうちに、お子さんの運動会を撮影した動画の処理などに時間がかかるようになり、パソコン自体の動きが遅くなるなど、使い勝手に影響が出てきます。加えて、保存できる写真や動画の数にも限界が出てきます。

結論
2つ目のオススメしたい点は、ソフトが充実していることです。
理由と具体例
ワープロソフトのワード、表計算ソフトのエクセルだけではなく、プレゼン用ソフトであるパワーポイントも最初から搭載されています。最近は、自宅で簡単な講座やセミナーを開いたりする方もいますので、パワーポイントがあった方が役に立つかもしれません。この3つのソフトがあれば、自宅で仕事をすることもできますしね。

結論
3つ目のオススメしたい点は、困ったときにサポートしてくれる期間が長いことです。
理由と具体例
パソコンは家電の中でも壊れやすいものなので、万が一故障したときに、通常は1年ですが、3年まで無料修理が保証されます。何か分からないことがあった場合、気軽にサポートセンターに問い合わせすることもできますので、安心して使えます。

こんな感じに組み立て直すことで、相手に伝わりやすい内容となるのです。

バラバラになっている内容を、PREP法やホールパート法でまとめることで、とても分かりやすく伝えることができます。ぜひ、試してみて下さい。

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