「モリカケ問題」と似たような構図との指摘も(写真:時事通信フォト)

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 助成金詐欺の疑いでスーパーコンピューター開発会社「ペジーコンピューティング(以下、ペジコン)」の社長・齊藤元章容疑者(49)らが、12月5日、東京地検特捜部に逮捕された。経産省が所管する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるベンチャー企業への助成事業で虚偽の実績報告書を提出し、水増し請求した疑いだ。その結果、ペジコンは上限5億円にほぼ近い約4億9900万円を手にしている。

 齊藤氏はとくに麻生太郎・副総理と親しいなど政権に近いと見られており、5月25日に開かれた参議院財政金融委員会では、麻生氏が将来的に金融業界を変える存在としてペジコンを紹介したのである。こうしたところから、政権に近いために優遇を受けているのではないか、と「第3のモリカケ問題」といった指摘も出ている。

 さらに齊藤氏のビジネスパートナーにも“政権との近さ”が窺える。“安倍首相に最も近い記者”と呼ばれた元TBSワシントン支局長の山口敬之氏の名前が挙がっているのだ。

 山口氏はペジコンの顧問の名刺を持っていた。さらにTBSを退社する2か月前の昨年3月に一般財団法人「日本シンギュラリティ財団」を設立し、代表理事に就任している。その財団の理事には齊藤容疑者のほか、ペジコンの役員が名を連ねている。

「シンギュラリティ(特異点)」とは、人工知能の発達が急激な技術の成長を促し、人間文明に計り知れない変化を引き起こすという仮説で、齊藤容疑者が主張し続けてきたことだ。

 昨年10月、内閣府が主催する経済財政諮問会議の「2030年展望と改革タスクフォース」で齊藤氏は委員に抜擢され、このシンギュラリティを連呼していた。会議に出席した委員が匿名を条件にこう明かす。

「齊藤さんによれば、シンギュラリティに到達すれば、1台のコンピューターだけで人類の英知を超え、食糧問題、エネルギー問題も解決し、労働も不要になって、人類は種々の問題から解放されるというのです。しかし、“だからスパコンに投資しろ”という主張にも聞こえた」

 山口氏に齊藤氏との関係について問い合わせたが、締め切りまでに回答はなかった。財団法人の住所を訪れると、山口氏の母親を名乗る女性が、「ここは(山口氏の)実家です。財団? 私は何も知らないんです」と話すだけだった。

 麻生氏に齊藤容疑者との関係について問うと、事務所を通してこう回答した。

「国民生活の安全・安心や国際競争力確保のための先端的な研究に不可欠な研究情報基盤であるスーパーコンピューターの開発に携わってこられた方だと承知しております」

 安倍首相のゴルフ仲間が理事長を務める加計学園は、「国家戦略特区」で獣医学部の新設事業者に認定されたが、審査の過程が不透明だと指摘された。安倍昭恵夫人が名誉校長を務めた森友学園が、国有地を約8億円も値引きされて購入した問題は、先の国会でも野党から追及を受け続けた。

 麻生氏に“賞賛”されているペジコンが、これまでNEDOから受け取った助成金はプロジェクト5件、約35億円にものぼる。ここでも「モリカケ問題」と同じく、安倍政権に近いところにカネが動くという構図が指摘される。元経産官僚でかつてNEDOの担当課長だった古賀茂明氏が言う。

「元NEDOの担当課長としては、“こんなベンチャーに35億円は随分出したな”というのが率直な感想です。霞が関では財務大臣が国会で名前を出すほどの企業だから、忖度があったのでは? と見るのが当然。今後、地検の捜査で今回の助成金決定の経緯はもちろん、他の助成金はどうだったのか、という点も調べられるかもしれません」

 税金が不潔な使われ方をしていれば、ますます国民の怒りは収まらない。

※週刊ポスト2017年12月22日号