マツダが新しいシーケンシャル・ツインターボ・システムの特許を申請
マツダと言えば、かつてのロータリー・エンジンから次世代の圧縮着火エンジンまで、そのエンジン技術の歴史には興味深いものがあるが、このほど米国特許商標庁に申請された特許を見ると、内燃機関について同社はまだまだ奥の手を隠し持っているようだ。ただ、ここでご紹介する内容は、特に目新しいコンセプトではない。シーケンシャル・ツインターボは、同社が3代目「RX-7」に採用していたものだが、最近はあまり目にすることがなくなっている。今回、新たに特許申請されたシーケンシャル・システムは従来のものよりも優れた点があるようだが、何よりもクルマ好きの心をくすぐるものであることは間違いないだろう。

とりあえず、シーケンシャル・ツインターボ・システムが他のツインターボ・システムと違う点をざっとおさらいしておこう。多くのツインターボ・エンジンは、2つのターボが一緒に作動することで1つの大きなターボのように機能するもので、同じサイズで同時にスプールアップする。これがシーケンシャル(連続性・続発性)セットアップだと、低回転時には小さい方のターボチャージャーがまずスプールアップして素早いスロットル・レスポンスを導き、回転数と排気圧が上がるとバルブが開き、大きい方のターボチャージャーがスプールアップして、高回転に更なるブーストを与える。

これがつまり、上の図が示す基本的な内容である。大きなフラップが大い方のターボチャージャーの排気インレットを遮断し、排気をすべて小さい方のターボに送り込む。回転数が上がり排気量が増えると、このフラップが開いて大きい方のターボをスプールアップするということのようだ。



面白いのはこれらのターボチャージャーの組み込まれ方で、従来のシステムよりもコンパクトになっている。図で見ると、ターボは2つとも同じユニットに収まり、同じ排気パイプにつながっているので、エキゾースト・マニホールドがシンプルでコンパクトにできる。事実、圧縮空気の吸入パイプも共用できるので配管が少なくて済み、使用部品が少なくなり、ひいては不具合が生じる可能性がある箇所も少なくなるのだ。

システムを小さくすると数々の利点がある。採用できる可能性が広がり、エンジンベイの小さな小型車にも搭載できる。また、軽量化は燃費や運動性能から見ても重要なポイントだ。そして、使用する部品が少なくなるとシステムのコストを抑えられることになり、より多くの車種にこのシステムを応用することができるようになる。少なくとも、マツダにとっては収益の向上につながるだろう。もちろん、従来のシーケンシャル・ターボと同じく、スロットル・レスポンスを改善しつつ大きなパワーを引き出すという利点も見込める。

ただ、現時点ではいくつか疑問が残る。例えば、マツダはなぜ、可変ジオメトリーを採用するツインスクロール・ターボで同様の効果を得るのではなく、ツインターボ・システムに取り組もうとしているのか。ターボチャージャーは1個で済ませる方が、2個よりも軽く、安価になるはずだ。おそらく、2個のターボを使う方がより幅広い回転域で効果的なブーストを得られるということかもしれない。そしてもう1つの疑問は、これをマツダはどのエンジンに採用するつもりなのかということだ。次期型「アクセラ」にこれを装備した高性能バージョンが登場するのを期待したいところだが、あるいは「ヴィジョン・クーペ」をベースにしたラグジュアリー・セダンに使用されることも考えられる。これらの疑問は時が来れば答えが分かるだろう。この開発の行方を注意深く見守ることにしよう。

By JOEL STOCKSDALE

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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