今年2017年、スカイラインは生誕60周年を迎えました。クリッカーでも、13世代に渡る長いモデルチェンジの歴史について、「モーターファン別冊 歴代スカイラインのすべて」から紹介してきました。

ネットを通じて感じたのは、多くのクルマ好きが「スカイラインらしいスカイラインは、R34まで!」と考えていること。そこで等身大インプレ第10弾では、いつものレンタカー店にラインアップされている「R34スカイラインGTターボ」を試乗することにしました。

試乗の前に、ネットで中古車価格を調べたらビックリ仰天! 登場から20年近く経過した中古車なのに、なんと軒並み100万円台で販売されており、程度次第では200万円を超えているではありませんか!

「GT-Rじゃないに、高値安定!?」と自問自答しつつ、「こうなったら、人気の秘密を堪能しちゃおうじゃないの!」と気合いが入った次第。

また筆者は、R32スカイラインGTSタイプSの5MT仕様に新車から25年間愛車として乗り続けておりました。本当にR32が大好きで、長くコンディションを維持するために「新車以上改造未満」をモットーに、ボディ剛性強化や車高調ショック交換、ブッシュ・マウント交換等、いろいろ見えないところに手を入れていました。

R32とR34は、エンジン型式やプラットフォームが同系列なので、個人的にも両車の違いを見極めたいところであります。

レンタカー店で受け取ったR34スカイライン GTターボの5MT仕様は、鮮やかなブルーメタリックの2ドアで、大型のリアウイングが迫力を演出。ただオドメーターは、なんとなんとの18万km超。社外車高調サスと大口径マフラー、17インチの偏平タイヤが装着されていますが、エンジンやシートはノーマル状態のようです。

キーを受け取って運転席に乗り込んだ瞬間、かつての愛車R32の感覚がよみがえってきました。両車ともプラットフォームを共用しているために、お尻とペダル、ステアリングとシフトノブの位置関係が限りなく近しいのですネ。メーターや吹き出し口の位置も、ほぼ変わりません。操作したら、クルマに慣れる前に体が覚えていたという感覚でした。

実際、レンタカー店の敷地から道路までの数メートルを運転しただけで、体がクルマに馴染んでいたのは本当に不思議な感覚でした。ただ店舗から出る小さい段差で、ボディが「ガタンゴトン」と音を立てて揺れた時はさすがにガッカリ。いかにも使い古したタクシーに乗っているような感覚だったので、正直「24時間もレンタルしたのは失敗だったか!?」と思いました。

気を取り直して、街中に繰り出します。エンジンは2500ccもありますから、2000回転まで回さずにシフトしても十分流れに乗れます。R32は、低回転のトルクが細かったからネ。ただ低速の荒れた路面では、経年劣化を積み重ねた中古車らしくガタゴト感が続くのです。ショックを交換しているとはいえ18万km も走っているのだから仕方がないと、半ば自分に言い聞かせていました。

ところが、すぐに悪い印象が一変しました。たまたま信号待ちの先頭になったので、ターボパワーを試そうとアクセルを踏み込んでダッシュをかけると、ボディとサスペンションがぐっと力をためるようにして、エンジンパワーを路面に伝えていきます。

しかも路面コンディションは変わらないのに、ガタゴトするどころか、ボディとサスペンションが段差をいなしながら力強く加速していくのです。まさにアクセルオンによって、R34GTターボの本領を垣間見た思いがしました。

出発早々、この全く異なる特性には興味津々で、先程までの経年劣化に侵された様子がまるで嘘のよう。こうなったらあらゆる走行シーンで検証するしかありません。そこで例によって、箱根ターンパイクまで遠征することにしました。

高速とターンパイク編に続きます。

(星崎 俊浩)

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