社交場でもあるサウナ

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湯船にゆったり浸かる風呂が好きな日本人には、いまひとつ人気がないサウナ。以前からダイエット効果が期待できるといわれてきたが、サウナに頻繁に入ると高血圧の予防につながるという研究がまとまった。

「サウナ大国」フィンランドの東フィンランド大学などの研究チームが、高血圧症専門誌「Am J Hypertension」(電子版)の2017年11月号に発表した。

一家に1つ以上のサウナ浴場があるフィンランド

フィンランドはサウナの発祥地として知られ、人口約570万人の国内に約300万か所ものサウナ浴場がある。各家庭にサウナがあるのはもちろん、地域ごとに社交場となる共同サウナがあるのだ。東京都港区にある駐日フィンランド大使館にも、建物の中にサウナ浴場があり、訪れた人々と大使館職員が一緒にサウナに入り、「サウナ外交」をしている。その様子が同大使館の公式ツイッターによく登場する。そんなお国柄だけに、後に紹介するが、フィンランドではサウナの健康効果の研究が盛んなようだ。

「Am J Hypertension」誌の論文要旨によると、研究チームは42〜60歳の高血圧ではない健康な男性1621人を対象に、サウナに入浴する頻度と高血圧の発症リスクの関係を約25年間、追跡調査した。対象者を、(1)1週間に1回以下しかサウナに入らない人(2)1週間に2〜3回入る人(3)1週間に4〜7回入る人、の3つのグループに分けて発症リスクを比較した。調査期間中に251人が高血圧を発症した。その結果、次のことが明らかになった。

(1)サウナに入る頻度の高い人ほど高血圧になりにくい。週4〜7回のサウナ浴の人は、週1回以下の人に比べ、高血圧の発症リスクは56%低かった。

 (2)同じく週2〜3回のサウナ浴の人は、週1回以下の人に比べ、発症リスクは24%低かった。

研究リーダーのヤリ・ロッカネン博士は論文の中でこう語っている。

「以前からサウナによく入る人は心臓病になりにくいことが知られていたが、そのメカニズムはよくわからなかった。そこで、今回、心臓病の大きな危険な原因の1つである高血圧との関係を調べることにした。サウナ入浴が心血管機能にいい影響を与えていると思われるが、さらに研究を深めたい」

「サウナには幸福感とリラクゼーション効果が」

実は、ロッカネン博士は「サウナが認知症を予防する」という驚きの研究を2016年12月に英オックスフォード大学の老年学専門誌「Age and Ageing」に発表しているのだ。それによると、研究手法は今回とまったく同じだ。42〜60歳の健康な男性2315人をサウナ浴の頻度に応じて3つのグループに分け、認知症の発症リスクとの関係を約20年間追跡した。その結果、ほとんど毎日サウナに入浴する人は、週1回以下の人に比べ、軽度の認知障害になるリスクは66%低く、アルツハイマー病になるリスクは65%低いという結果が出た。

この時もロッカネン博士は、論文の中で「サウナ入浴と記憶疾患とを結びつけるメカニズムがあることが確認できたが、その解明にはさらなる研究が必要だ」とコメントしている。なかなか理由を明かすには慎重なのだ。しかし、この研究を報道した科学ニュースサイト「Science Daily」(2016年12月16日付)の取材にはこう語っている。

「これまでの研究では、頻繁にサウナに入ると、血流がよくなり、心臓突然死のリスクを下げることが分かっています。同様に、サウナはまだ知られていないメカニズムによって、心臓血管の健康と脳によい影響を与えるのでしょう。サウナ入浴中に経験する幸福感やリラクゼーションが重要な役割を果たしているのかもしれません」

それなら、日本の温泉や銭湯も同じに思えるが......。