目立った活躍はなかったものの、地に足がついた後半のパフォーマンスには手応えを得たようだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1選手権]日本 1-0 北朝鮮/12月9日/味の素スタジアム

 緊張しているのが手に取るように分かった。北朝鮮戦で代表デビューした、室屋成のことだ。
 
 追加招集ながら先発に抜擢された右SBは、「緊張は感じないタイプなんですが、前半は固くなっているなと自分でも思った」。その言葉通りにプレーはぎこちなく、周囲と上手く噛み合わない。「高い位置に入って裏のスペースを突く」という狙いも、「相手が守備を固めてくるぶん、自分が高い位置に入り過ぎて詰まってしまう状況が生まれていた」。

 極めつけは、42分のコントロールミス。この日、初めて日本が綺麗なサイドチェンジから攻撃を仕掛けたが、室屋のボールタッチが大きくなり、あえなく相手にカットされてしまった。前半のパフォーマンスは、「固くて全然よくなかった」と本人が認めるほど散々な出来だったのだ。
 
 しかし、ここから室屋は修正する。後半に入ると、やや後方にポジショニングをシフト。シンプルにボールをつなぎつつ、機を見たアーリークロスで攻撃に変化を付けた。精度はいまひとつだったものの、ノッキング気味だった前半と比較すれば、格段に攻撃は流れていた。
 
 室屋はこうした自身の変化に手応えを得たようだ。「前半は良くなかったけど、後半は上手くバランスを見ながらできたんじゃないかと思います」。そう振り返った後、決勝点につながったワンプレーにも触れた。
 
「監督からはもっと前に奪いに行っていいと言われていました。自分が前に出て奪ったボールから得点が入ったので、監督が言っていることを上手く実践できたと思います」
 
 前半の反省を活かして後半に修正し、チームの勝利に貢献した。「いつもなら90分間慌てたままだったかもしれないけど、後半になって自分のプレーをできるようになったのは、成長した部分」と言うように、プレーの幅が広がったのは紛れもない事実だろう。
 
「デビューなのでこんなものかな」と開き直る姿勢も、ある意味で頼もしい。代表でのキャリアを歩み始めた若武者は、次の試合で、さらに進歩した姿を見せてくれるかもしれない。