国連軍が公開した脱走時の映像(YouTubeより)

 11月13日、板門店のJSA(共同警備区域)を越えて、韓国へ亡命を試みた北朝鮮兵士の素性が明らかになってきた。脱走時、北朝鮮側から40発の銃撃を受け、手術後も意識不明の状態が続いていた兵士の第一声は、次のようなものだったという。

「あぁ、痛い! ここが本当に韓国ですか?」

 彼の名前はオ・チョンソン(24)。板門店の後方にある非武装地帯を警備する民警中隊所属で、幹部の運転兵として軍に8年間服務中だったという。病院関係者によると、俳優のヒョンビン似のイケメンだというオ氏の身長は170センチ、体重は60キロほど。北朝鮮の青年の平均身長より5、6センチ高い。

「彼と握手した主治医は『空挺部隊の隊員のような引き締まった筋肉を感じた』と語っています」(現地記者)

 オ氏の父親は人民軍中佐で憲兵出身と伝えられた。いわゆるエリート層である証拠に、“白い靴下”を履いていたという。

「物資不足の北朝鮮では一般兵士の大半は、靴下ではなく、丸めた布を代用するのが普通です」(同前)

 一方で、オ氏の体内が多数の寄生虫に蝕まれ、胃の中には少量のトウモロコシしかなかったことも伝えられた。

「北朝鮮では、エリート層といっても、高級幹部以外は、生活に余裕はない。大学教授でさえ月給をほとんど受けとっていません」(同前)

 オ氏は朴槿恵前大統領が失脚し、文在寅政権が誕生したことを知らず、大統領制について説明すると「本当に国民の投票で大統領が選ばれるのか」と驚いたという。

 そのオ氏は韓国への憧れを隠そうともしない。

「彼は、韓国のガールズグループ『少女時代』のファンで、病院で彼女たちの曲の“オリジナル・バージョン”をリクエストしたそうです。北朝鮮でもアメリカのドラマを観ていたようで、病室では韓国の芸能番組などを熱心に観ています。最近では『チョコパイが食べたい』とも語ったそうです」(同前)

 韓国のチョコパイは、南北交流の象徴だった北朝鮮の開城工業団地(現在閉鎖中)の労働者の間で大人気だった。

“黄色い風”(北朝鮮側で資本主義を指す言葉)は、JSAを易々と超えている。

(朴承萊)