“違い”を作ったスピードスター伊東純也が「最低限の良さは出せた」と手応え! W杯行きへの課題は?

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[E-1選手権]日本代表 1-0 北朝鮮代表/12月9日/味の素スタジアム
 
「辛勝」という言葉が相応しかった北朝鮮戦でヴァイッド・ハリルホジッチ監督が名指しで褒め称えたのが、スーパーセーブを連発したGKの中村航輔、そして途中出場して試合の流れを変えた伊東純也だ。
 
 伊東に柏レイソルでチームメイトの中村と同じく初キャップの機会が巡ってきたのが、スコアレスで迎えた56分。高萩洋次郎との交代でピッチに立ち、右ウイングのポジションに入った。
 
 すると、Jリーグ屈指とも謳われる持ち前の爆発的なスピードを活かした突破で次々にチャンスを演出する。60分に右サイドをえぐってクロスを上げれば、直後には同様の形からCKを獲得。その後も右SBの室屋成との絡みながら好機を作り、78分には粘りのプレスで敵からボールを奪い、再びクロスまでもっていった。
 
 そして、ハイライトが89分だ。中村の素早いスローイングから自陣右サイドでボールを受けると、敵3人を相手に自ら仕掛けて敵陣深くまで攻め入ってクロス。再びCKを獲得した。
 
 ゴールに直接的には絡めなかったが、この日もっとも可能性を感じさせたアタッカーは、間違いなく伊東だった。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も試合後、「初招集だったが、ボールを持てばチャンスを作れる、違いを作れると証明した。仕掛けて抜き切る能力を評価したい。とくにウチは1対1で勝負できる選手が少ないからね」と手放しで称賛した。
 
 伊東自身も試合後、少なからず手応えを感じていた。投入時を「裏に抜けたり、サイドで持ったら自由にやっていいと言われていたので、自分のできることをやろう、とにかく点に絡もうと思っていた」と振り返り、さらにこう語った。
 
「サイドで受けたらとりあえず仕掛けようと意識していたんですが、相手ディフェンダーが2枚いて完全に抜き切るってことはできなかった。でも、何回かコーナーキックは取れたし、最低限はできたと思います。自分の良さを少しは出せたかなと」
 
 中村の素早いスローイングからの高速カウンターは、「レイソルでも航輔がボールをキャッチした瞬間にいつも狙ってます」という柏でも十八番の形。「今日も声を出してボールをもらって、本当は最後までいければよかったんですけど、相手を押し込んでコーナーキックまではいけた。航輔も俺を探していたって言ってました」と、2人の中ではほとんど狙い通りだったことを明かしている。
 
 もちろん、課題もある。本人が「(代表デビュー戦で)緊張はなかったですけど、ちょっと固かった部分はあって、いつも通りとはいかなかった。もっとできたとも思います。やっぱ結果には繋がってないんで」と振り返った通り、とりわけクロスはCKを取ったとはいえ上げきれないシーン、上げても中央のチームメイトと合わないシーンが何度かあった。
 
「チャンスはあったんですけど、最後のところで合わなかった。まだ数回しかこのチームでは練習ができていないんで、(仲間と意識を)合わせるのはもちろん難しい。ただ、どこに入ってきてほしいとかは伝えているので、続けていけば得点に繋がってくると思います」
 
 また、この日はほぼ縦一辺倒で、右サイドから中央に切れ込むもうひとつの武器がほとんど出せなかった。その点に関しても、「今日は中に仕掛ける場面が少なかった。レイソルでもやっている形だし、右サイドから中に入ってのワンツーだったりシュートだったりを、日本代表の中でもさらに増やしたい」と課題のひとつに挙げた。
 
 もっとも、代表デビュー戦にも全く臆せず持ち味の片鱗を発揮し、「(代表戦でも)自分の力は通用すると思ったので、今後も自信をもってやりたい」と頼もしいコメントも聞こえた。
 
 最近のハリルジャパンでスーパーサブの役割を主に担ってきたのは、浅野拓磨(シュツットガルト)、乾貴士(エイバル)という海外組の2人。まだわずか40分たらずのプレータイムなうえ、相手も格下だったが、ハリルホジッチ監督のコメントを考えても、少なくとも伊東が彼らと争う“資格”を得たのは間違いない。ロシア・ワールドカップに向けた23人枠争いに割って入る可能性は、この日のパフォーマンスで確実に上がっただろう。
 
 12月7日の中国戦、16日の韓国戦でも、このスピードスターから目が離せない。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

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