女性は50歳頃から脳が急速に衰える。脳活で老化をストップ!
年齢とともに脳の神経細胞が集まる部分が委縮することで記憶力や判断力が低下。脳老化を防ぐ方法をご紹介。

もの忘れから認知症に…。予備軍のうちに食い止めたい

人の名前が出てこない。さっきまでやろうと思っていたことが思い出せないなど。もの忘れは誰にでもあることですが、「最近、なんだかもの忘れが多い」と思うと、「このままボケてしまうのでは…」と将来の認知症が気になりますね。

認知症にはなっていないものの、もの忘れが増えてきた状態は「認知症予備軍(MCI)」といわれ、厚生労働省の推計によると、65歳以上の高齢者のうち、認知症は462万人、MCIは400万人いるのだとか。MCIは放置すると、高い確率で認知症になる一方、MCIのうちに手を打てば、認知症に移行するのを防ぎ、正常な状態に戻すこともできるといわれています。

MCIはすでに50歳〜60歳代から起こります。MCIでは記憶力以外の「認識する」「理解する」「判断する」といった脳の機能は正常に保たれているため、日常生活には支障はありません。しかし、「大事な約束を忘れた」「カードの暗証番号が思い出せない」といったことが何回かあると、加齢によるもの忘れであってもMCIとみなされます。認知症にならないためには、この段階で食い止めることが大切なのです。

女性は50歳ごろから、脳が急激に縮んで脳老化が加速

そもそも、なぜ記憶力が低下するのでしょうか。
東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生によると、脳は年齢とともに小さくなり、それにともなって記憶力が低下。特に女性は50歳頃から、脳細胞を保護する働きのある女性ホルモンのエストロゲンの分泌が少なくなることから、脳の認知機能を担う「灰白質」という部分が急激に縮み、脳の衰えが早くなるのだとか。ちなみに男性の脳は、女性のように急な変化はなく、一定のペースで萎縮し続けます。

脳老化をストップさせる4つの脳活テク

瀧先生によると、50代からの急速な脳老化は、普段のちょっとした習慣で食い止められるのだとか。例えば睡眠や運動、スキンシップ、音楽を聴いたりして心地よい気分になることも、脳を活性化する作用があることがわかっています。
最新医学でわかった4つの「脳活テク」をご紹介します。

1)たっぷり睡眠で認知症の原因物質を排出

認知症の原因のひとつは「アミロイドベータたんぱく」という有害なたんぱく質が脳にたまることです。これは本来は酵素で分解され、脳にとどまらないはずの物質。それが衰えた脳では分解しきれず、蓄積して神経細胞にダメージを与え、認知症の引き金になるのです。最近の研究では、十分な睡眠がこの「アミロイドベータたんぱく」の排出に役立つことが明らかになっています。目安としては6時間半、眠るようにしましょう。

2)ウォーキングで脳のエネルギー源を生成

ウォーキングなどの有酸素運動を行うと、脳細胞のエネルギー源「BDNF(脳由来神経栄養因子)」が体内で作られます。この物質には脳の神経細胞を成長させ、萎縮を食い止める働きがあります。他にも有酸素運動には、脳の血液量を増やしたり、アミロイドベータたんぱくの分解酵素を生み出すなどの効果もあるので、しっかり呼吸しながらのウォーキングを習慣にしましょう。週1回でも続けることが大切です。

3)「心地いい」ものに触れて脳の萎縮を遅らせる

音楽や香り、絵画など、自分が好きなものを聴いたり嗅いだり見たりする時に感じる「心地いい」という感覚が、脳の広い範囲を活性化することが知られています。中でも、欲求が満たされた時に働く「報酬系」が刺激され、それによって灰白質の体積が増えた例もあるそうです。昔聴いていた「なつかしい曲」など、昔好きだったものに触れれば、過去の記憶が引き出されて、さらに脳を刺激する作用が期待できます。

4)スキンシップで記憶脳「海馬」を成長させる

心地よいスキンシップは脳のストレスホルモンを減少させ、記憶をつかさどる脳の「海馬」に新たな細胞が生み出されるといわれています。「触れ合い」によるコミュニケーションは、言葉のやりとりとは違う経路で脳を刺激、活性化。スキンシップによって認知機能がアップしたという例も報告されています。家族やペットに優しく触れ、「大切に思っている」という気持ちが伝わるようなスキンシップを心掛けましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと