トヨタ自動車の「ハリアー」(提供=カーセンサー)

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 中古車情報誌「カーセンサー」(リクルートマーケティングパートナーズ)が毎年実施している「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。いわば、「人気の中古車ランキング」だ。

「2016-2017」の1位は、「SUV」(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)のなかでも価格がお手頃なトヨタ自動車の「ハリアー」だった。

 今、人気のクルマはどんなタイプなのか。また、中古車選びで掘り出し物を見つけるにはどうすればいいのか。日産自動車とSUBARU(スバル)で明らかになった「無資格者による完成検査問題」なども含め、「カーセンサー」編集長の西村泰宏氏に話を聞いた。

●トヨタ「ハリアー」、圧倒的支持の理由

――「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー2016-2017」でトヨタのハリアーが1位になりました。

西村泰宏氏(以下、西村) この1年で掲載された約6000モデルのクルマのなかから、中古車マーケットでのユーザー購入意欲に着目し、ランキングを作成した結果です。ハリアーは、もっともユーザーの関心が高かったといえます。20〜30代の方に圧倒的に支持されています。多くのユーザーが内装外のデザインに言及しており、ハリアーの上品で高級感のあるデザインが心をとらえています。

 ちなみに、前年は5位でした。ハリアーが順位を押し上げた要因は2つあります。ひとつ目は、SUVは世界的に人気があり、一般的にオフロード走破性が高く、一般道でも使えるクルマということ。どの自動車メーカーもSUVの販売に乗り出しています。

 たとえば、会社への通勤とバーベキュー大会など、オンとオフの両方に使える。それが人気を集めた理由です。デザインもワイルドとフォーマルを両立させており、高級感がありつつアクティブ感も失っていない。

 また、これまでは中古車市場でも高値安定でしたが、昨年12月時点で約333万円という価格帯まで落ちてきました。これが、2つ目の理由です。昨年12月の時点でデビューから3年が経過し、車検の時期を迎えることで手放すユーザーも増えたために価格が下がりました。ユーザーからすれば「あの、カッコよく憧れのハリアーが300万円台前半で買える」ということで、一気に購買意欲が高まった結果だと思います。

――前年1位だったマツダの「RX-8(初代)」は2位ですが、古いモデルにもかかわらず人気を維持している秘訣はなんでしょうか。

西村 ロータリーエンジンに尽きます。ロータリーエンジンが搭載された最後の車がRX-8(初代)なのです。そのため、すでに生産が終了しているモデルですが、スポーツカーファンを惹きつけています。価格帯が90万円台ということもあり、若いユーザーからも根強い人気を誇っています。

 ただ、生産は12年が最後で、中古車市場では10年以上経過しているクルマが多く、走行距離もほかのクルマと比べて長い。価格は安いですが、素人の方には買いづらいという欠点もあります。

――3位はスバルの「レガシィツーリングワゴン(4代目)」ですが、スバルには地域性もあるようですね。

西村 後部はワゴンで荷物を搭載することもでき、実用的で人気があります。14年まで販売されており、すでに3年がたっています。一般的にクルマを手放すタイミングは車検です。

 新車購入から、3年、5年、7年、9年目の時期にあたります。そのため、レガシィツーリングワゴン(4代目)も中古車市場でお手頃感が出てきたということでしょう。家族旅行などにも使えるため、継続して人気のあるクルマです。

 ちなみに、スバルといえば四駆です。そのため、寒冷地の北海道、東北、北陸で絶大な人気を誇っています。地域別ランキングでは、北海道、東北、北陸、甲信越でスバルのモデルが1位を独占する結果となりました。

●中古車選びで掘り出し物を見つけるコツとは?

――「2017-2018」の発表も間近ですが、今から来年にかけてのトレンドについてはいかがですか。

西村 SUVの人気は続いています。また、SUVと何かを掛け合わせて進化させたタイプも増えています。

 あとは、今年4位のトヨタの「ヴェルファイア」、5位のトヨタの「アルファード」。いずれも15年に登場した現行モデルですが、これまではモノが良すぎたために高すぎましたが、お手頃感が出てきました。この2つのモデルは、次の発表ではかなりいい線を行くと思います。

――中古車選びについて、掘り出し物を見つけるコツなどはあるのでしょうか。

西村 中古車を買うとき、「このくらいの予算のなかで購入しよう」と考える方がほとんどです。そのため、欲しいモデルが古くなり、値段が下がり、お手頃感が出た際に購入意欲が高まります。

 モデルチェンジは、ひとつのタイミングになるでしょう。マイナーチェンジとフルモデルチェンジがありますが、この時期を狙えば、より価格が下がる可能性が高いです。ただし、当然ながらモデルチェンジによって新たな機能が搭載されることになるため、その機能が自分に必要かどうかを考慮する必要があるでしょう。

 このタイミングは、ライバルにあたる他メーカーのクルマがモデルチェンジした際も同様です。ほしいクルマのメーカーとは違うメーカーのクルマがモデルチェンジした際、ほしいクルマの価格も下がる傾向があります。そういうタイミングを狙えば、掘り出し物を見つけることも可能でしょう。この方法が一番わかりやすく、コストパフォーマンスも高いと思います。

 ちなみに、「カーセンサー」では、このような情報をウェブサイトやメルマガなどで公開し、「今、何がお手頃感のあるクルマか」という情報提供を積極的に実施しています。「カーセンサー」の情報を活用して、ぜひ掘り出し物を見つけてほしいですね。

●日産とスバルの不正検査問題の背景

――自動車業界を揺るがす、日産とスバルの無資格者による完成検査問題については、どうとらえていますか。

西村 有資格者が完成検査を行うというのは、日本独特のルールです。この仕組みにより、日本の自動車の安全性は担保され、安全性の著しい低下も防げます。自動車メーカーにとっても信頼にかかわることなので、そもそも不備があるクルマを意図的にマーケットに出すことはありません。

 日産とスバルは日本販売分の出荷を一時ストップしていましたが、その間も外国向けには出荷していました。これは、輸出しているクルマは世界的な基準に照らし合わせても問題がなく、リコールの可能性が低いからです。

 ただし、心証の問題があります。法律的には有資格者による完成検査を義務化しているにもかかわらず、実態は有資格者のハンコを押して無資格者が完成検査をしていた……当然、ユーザーの印象は悪くなります。「この完成検査を無資格者がやればいい」となると、世論の批判が高まることも理解できます。

 ただ、本当に深刻に考えなければならないのは、「リコール隠し」や「不正ソフト使用」などといった、クルマの安全性や性能に直接かかわる問題です。

 どのように良いクルマをつくって販売していくか、自動車メーカーは体質が問われています。無資格者による完成検査問題は、個人的意見としては、クルマ全体の安全性が大きく揺らぐことはないと考えていますが、企業の体制・体質が問われる課題のひとつだととらえています。
(構成=長井雄一朗/ライター)