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もくじ

前編
ー 2.0ℓ直列4気筒 vs 4.2ℓV型8気筒
ー 維持コストはジャガー有利 類似点も
ー まったく異なるドライブトレイン
ー 内装 期待値の変動ゆえのR8劣勢
ー おまけ 4気筒エンジンについて少々

後編
ー ナビは当然F-タイプ 荷室容量も
ー F-タイプの2.0ℓ4気筒を検証
ー R8のV8 4000rpm以上は「一気」
ー 直4のF-タイプ V8のR8 どっち?
ー おまけ 5万ポンドで選ぶその他のライバル

ナビは当然F-タイプ 荷室容量も

まずはF-タイプのインテリアの話から。

しっかりとしたホールド性に優れた作りのシートにはレザーとアルカンターラに似た「suedecloth」という素材が使用され、R8よりもわずかに低く座らせる。

さらにはナビ機能付きの8インチ・タッチスクリーンがダッシュ深くに組み込まれており、アウディのダイアル・コントロール式6.5インチMMIシステムに比べ機能が豊富なだけでなく、その画面デザインもより洗練されている。

同様に、F-タイプの補助用5インチTFTカラー液晶もR8の小さなモノクロ表示とは比べるべくもない。一方、スイッチの品質は両者ほぼ同等である。

収納スペースはジャガーが有利だ。リフトバック・スタイルをもつトランクは長尺物も収納可能な300ℓの容量を誇り、パーセル・シェルフを取り外せばさらに108ℓの追加スペースが手に入る。

一方、アウディのフロント・トランクの容量は100ℓに過ぎないが、実用的な深さを確保している。

では、ジャガーに積まれたこのダウンサイズ・エンジンのできはどうだろう?

F-タイプの2.0ℓ4気筒を検証

ウォーミングアップの状態ではストールするかの様な気配を見せ、低い回転数ではかなりのエンジン・ノイズとマフラーに設置されたバッフルの開度によってはそれなりの排気音を響かせる。

2000rpm以下ではそれ程でもないが、6200rpmまで回せば十分な加速力を得る事ができ、派手な吸気サウンドがレーシーな雰囲気を醸し出す。アクセル・オフではエグゾーストから素晴らしいサウンドを響かせ、ダイナミック・モードを選べばさらに激しくなる。

明らかなターボ・ラグが存在するが、リッター当たり150psを発揮するエンジンに予想する程の遅れではなく、完全に制御可能なレベルだ。

8段オートマティック・ギアボックスのできは素晴らしく、ノーマル・モードでは適切なギア選択を行う一方で、スポーツ・モードではきっちりとエンジン回転数を使い切ることができる。

パドル操作の感触はZF製ギアボックスの電気制御された滑らかな変速に似て、機械的というよりはマイクロスイッチを操作するようなフィールである。

最も過激なモードでもダウンシフトの際には若干の遅れが感じられる一方で、アップシフトは電光石火の速さを見せる。回転は7000rpmまで許容するが、B級路のコーナーでライバルたちと張り合うような状況でさらなる加速を得ようとすれば、2.0ℓという排気量を意識させられることになるだろう。

R8のV8 4000rpm以上は「一気」

一方、R8ではいつでも必要なパワーを取り出すことができる。必要なのは回転を上げることだけだ。

エンジンが目覚めたときのサウンドはジャガーよりもそれらしく、回転数を上げるとさらなる刺激と雄叫びがやってくる。このV8エンジンはアイドリングからスムーズに回転を上げていくが、その真骨頂は4000rpmを越えてからであり、タコメーターの針は7000rpmまで一気である。

その間、エンジン内部の動きを五感で感じとることができ、F-タイプよりもより明確にその存在を意識することになる。

アルミニウム製シフトの操作は見た目通り素晴らしいメカニカルな感触を感じさせ、ギアチェンジの際には金属をハンマーで叩くようなサウンドを発する。しかし、オートマティック・ギアボックスのF-タイプに比べれば動きの遅い内部ギアのせいで、2段階のアクションが必要となるシフトは速い操作には向いていない。

われわれのテストコースにあった曲がりくねったコーナーでは、このシフトがドライビングの楽しみをスポイルしたが、非常に軽いタッチでもヒール&トゥを決める事ができるエンジン・レスポンスがその埋め合わせをしてくれた。

ジャガーは2.0ℓエンジンを積むF-タイプのステアリングに「フィーリングとフィードバック」を加えたと主張しているが、それでもステアリングを通してより素晴らしいコミュニケーションが行えるのはR8の方だ。

その油圧アシスト付きステアリングの操舵感はジャガーの電動アシストに比べて重いが、より多くのフィールと、その重量差にもかかわらず、より引き締まったボディ・コントロールとシャープな反応を示してくれる。

R8はF-タイプが知らない積極性とグリップ・レベルでコーナーを貪りつくし、そしてそこにはドライビングの素晴らしさが隠されている。

直4のF-タイプ V8のR8 どっち?

しかし、曲がりくねったテストコースではこのリア駆動のジャガーのハンドリングはより生き生きとして、その優れたコーナリング・バランスは、アウディが単にリア・タイヤの制御を失うような場面でも、このクルマであればその挙動を楽しむ事ができた。

そして、F-タイプの荷重移動のコントロール性に優れたボディの動きは限りない楽しみを与えてくれる。つまり、アウディのシャシーはより印象深いが、ジャガーのそれはより従順である。

その敏捷性を考えれば、19インチのタイヤを履いた両モデルとも乗り心地は良好であり、鋭い突起も上手くいなしてくれる。荒れた路面では幾分乗り心地が悪化するが、アウディのアダプティブ・ダンパーに設定されたふたつのモードのうち、「スポーツ」を選択しない限り、その乗り心地は「崩壊」と呼ぶようなものではない。

クルージング・スピードでのF-タイプのエンジンは十分静かと言えるものであるが、R8の方が路面や風による走行ノイズが小さい。どちらのモデルでもロング・ドライブを喜んでこなすことができるだろう。

そして、もしそのドライブが家へと向かうものであればアウディを選ぶことになる。

真に魅力的なF-タイプのエントリー・モデルと比べシャシーは扱いにくく、高級感も少ないが、そういった要素以上に、R8はドライバーに対してより多くの興奮と、よりあの時代を思い起こさせてくれるのだ。まさにわれわれにとってはユーズド・パフォーマンスカーのお買い得な1台である。

おまけ 5万ポンドで選ぶその他のライバル

2015年式コルベットC7スティングレー

C6よりも洗練度を増しているが、このモデルも依然として467ps 6.2ℓ「LT1」V8エンジンを積んだコストパフォーマンスの高い1台である。

左ハンドルしか選択できないが、GMヨーロッパが正規輸入した全てのクルマにはよりパフォーマンスとハンドリングを高めるためのZ51パックが装着されている。

2012年式ポルシェ911カレラS

現在では初期モデルであれば991世代のカレラSも5万ポンドで手に入れる事ができるが、走行距離は少なくとも64,000kmを越えているだろう。

どちらも7段のギアを持つマニュアルかPDKが選択可能だが、いずれもリアを駆動する400ps 3.8ℓ自然吸気エンジンを積んだモデルが候補となる。

1999年式フェラーリ360モデナ

この価格帯で360を探し出すためには左ハンドル・モデルか多走行車を許容する必要があり、恐らくできの悪い6速セミATしか選択できないだろう。

しかし雄叫びをあげる406ps 3.6ℓV8と素晴らしいハンドリングは魅力的な選択肢ではある。

ユーズド・アウディは新車のジャガーと似たプライスを掲げるが、倍のシリンダー数とより大きな馬力を得る事ができる。