先発フル出場した岩渕が、試合終盤に決勝点を奪って勝利に導いた。写真●茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1選手権]日本 3-2 韓国/12月8日/フクアリ

 10代から度重なる怪我に苦しんできた岩渕真奈が、復活を印象付けるゴールを叩き込んだ。勝負どころの試合終盤に決め、しかもフル出場――。高倉麻子監督から「90分計算が立つようになれば、日本の財産」とまで言わしめた。
 
 なでしこジャパンは4-4-2のシステムを採用し、岩渕は田中美南との2トップで先発。アップダウンを繰り返してボールを引き出し、小気味良いターンから前線へ顔を出しチャンスを作る。セットプレーのキッカーも任されるなど、まさに背番号8がなでしこの攻撃をリードしていた。
 
 日本がリードするとすぐに追いつかれるシード―ゲームは、2-2の同点のまま試合終盤に突入。どちらに勝敗が転ぶか分からない状況下で、2点目を決めていた中島依美の強烈なミドルがクロスバーを直撃。そのこぼれ球に反応して、冷静にシュートを叩き込んだのが岩渕だった。
 
「たまたまっていうの気持ちも強いですが(笑)。ただチーム全体でこぼれ球を狙っていこうという話はしていました。あそこでシュートを打てるのが(中島)依美の良さなので、まさに狙いどおりに行きました。」
 
 岩渕は嬉しそうにゴールシーンを振り返った。そのゴールが決勝点になり、しかもフル出場。先日の中東遠征でのヨルダン戦に続いて2試合連続フル出場を果たした。
 
「怪我の不安はもうありません」
 
 しかも彼女自身のゴールで勝てたとあって、岩渕は少なからず満足していた。一方で、客観的な視点にも立つ。
 
「自分の怪我がどうこうというより、こうして日本で開催されて注目されるなかで、勝つか、負けるかは大きな差になる。内容は正直良くはなかったが、このチームは成長していけると感じました」
 
 24歳の岩渕はそのように語り、芽生え出した中心選手として自覚を感じさせた。
 
「(今年4月にドイツから)日本に帰ってきて怪我からのスタートでしたけれど、いろんなことをイチからやり直した結果、ある程度のところまでは来れたのかなと思います。まだまだ上に行かなければいけないですけど」
 
 そして高倉監督は試合後の記者会見で、岩渕に対して次のように期待を寄せていた。
 
「若い頃から嘱望されながら怪我に苦しみジョーカー的な使われ方が多かった。ボールを持った時の非凡さを徐々に発揮し始め、ヨルダン遠征でも戦う姿勢を示し、思うようにプレーできてきました。90分間計算が立つようになれば、日本の財産になる」
 
 度重なる膝の負傷を乗り越えてきた岩渕は、怖がらずに思い切ってチャレンジできる喜びをピッチで表現していた。何よりサッカーを楽しんでいた。そして「大事な初戦を勝ててよかったです。優勝したいです」という言葉にぐっと力を込めた。

取材・文●塚越 始(スポーツライター)