日本代表のDF昌子源【写真:Getty Images】

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守備陣のリーダー役担うべき昌子源

 9日に行われるE-1選手権初戦で日本代表は北朝鮮代表と対戦する。欧州組、クラブW杯に出場している浦和からはメンバーを選べないため、今大会は国内組のみでチームを編成。その中でもコンスタントに代表招集を受けている昌子源はDFの要として注目を集める。欧州遠征では出番がなかった昌子とっては自身の成長とともに、真価が問われる重要な大会になりそうだ。(取材・文:元川悦子)

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 2018年ロシアワールドカップへの生き残りを賭けた国内組のラストアピールの場となるE-1選手権が9日の北朝鮮戦でいよいよ幕を開ける。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は8日夕方、決戦の地となる東京・味の素スタジアムで最終調整を実施。非公開で戦術確認や紅白戦などを行ったと見られる。

 ノルウェー人のヨルン・アンデルセン監督率いる北朝鮮はアン・ビョンジュン(熊本)、キム・ソンギ(町田)、リ・ヨンジ(讃岐)のJリーグ所属3人を含んだチーム構成。2年前の2015年中国・武漢大会の初戦で1-2の黒星を喫した一戦では、長身FWにロングボールを蹴り込んでくるスタイルを仕掛けてきたが、同大会にも参戦している倉田秋(G大阪)は「映像を見たら、意外とつなぐ意識も出てきてるチームかなと思った」と発言。今回は蹴るところとつなぐところのメリハリをつけた戦い方をしてくると見られる。

 守備陣のリーダー・昌子源(鹿島)も「試合の中で情報を得ながら戦わないといけない。特に入りを気にしないと案外、アッサリと失点してしまうかもしれない」と警戒心を募らせていた。

 その昌子はロシアワールドカップ出場を決めた8月の最終予選・オーストラリア戦(埼玉)にフル出場している通り、日本代表DFラインのレギュラーに極めて近い選手の1人。今回の代表は植田直通(鹿島)、三浦弦太(G大阪)を筆頭に国際Aマッチ未経験者が大半を占めるだけに、彼がリーダーシップを発揮しなければならない場面は少なくない。

「僕は長いことハリルさんに呼んでいただいてますし、谷口(彰悟=川崎)選手よりも多く呼ばれている。ナオ(植田)と弦太も年下なんで、僕から積極的にコミュニケーションを取ろうとしている。自分もそういうふうに意識して行動してます」と本人も強い自覚を抱いている様子だ。

E-1は「悔しさ」をぶつける舞台に

 北朝鮮戦の予想メンバーは、GK中村航輔(柏)、DF室屋成(FC東京)、三浦と守備陣の3人が初キャップ。左サイドバックに車屋紳太郎(川崎)、ボランチに国際Aマッチ90試合の今野泰幸と2017年ハリルジャパン8試合出場の井手口陽介のガンバ大阪コンビ、前線に金崎夢生(鹿島)と小林悠(川崎)と倉田秋(G大阪)という年長者たちが陣取ってはいるものの、彼らを効果的に動かすのも昌子の統率力と指示力による部分が大だ。24歳のセンターバックの一挙手一投足が日本の命運を左右すると言っても過言ではない。

 とはいえ、一時は吉田麻也(サウサンプトン)のパートナー筆頭と位置付けられていた彼も、10月のニュージーランド(豊田)・ハイチ(横浜)2連戦で槙野智章(浦和)の猛烈な巻き返しにあい、11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブリュッセル)2連戦はまさかの出番なしに終わった。「2試合のうち1試合は昌子を先発させるだろう」という周囲の見方も多かっただけに、本人もショックが大きかったに違いない。

 だからこそ、その悔しさをE-1選手権にぶつけ、日本をタイトルへと導ける大黒柱に飛躍を遂げなければならない。彼自身もその自覚は人一倍強い。

「自分がいいプレーをしようと思って入るとうまいこといかない。鹿島で試合に出始めの時もそうやったけど、チームがまず勝つことを考えたら自然といいプレーができる。個人の評価ばかり考えてチームが負けたら、それこそ評価もくそもない。

 3つ勝って優勝することが一番大事。それを意識した時にそれぞれがいいプレーをしてチームを勝利に導けると思います」と昌子はフォア・ザ・チームを第一に考えていくという。

 ディフェンスリーダーにとって最大のチーム貢献は、相手を無失点に抑えること。「失点をゼロに抑えれば負けない」と彼もコメントしていた。そのためには、対峙する相手を確実に止め、スピーディーな攻撃につながるインターセプトを可能な限

槙野のプレーを見て刺激を受けた欧州遠征

 ブラジル・ベルギー2連戦で勇敢に戦った槙野の姿を見ながら、昌子は自分の進むべき道を思い巡らせたという。

「マキ君はかなりスライディングが多いと思う。そのほとんどが成功しているけど、その前にインターセプトも狙っていて、相手とすごい駆け引きしてる。ファイターのイメージが強いけど、そういう駆け引きのうまさでボールを取ってるんです。

 麻也君もそうけど、あの2人からいいヒントを得ることはできたし、欧州から帰ってきてからの自分のパフォーマンスも上がっている。実際、(柏)レイソル戦も、ジュビロ(磐田)戦も無失点でしたからね」と背番号3をつける男は少なからず前進への手ごたえをのぞかせた。

 その成長ぶりをアジアの強敵と相まみえるE-1選手権でも実証できれば、ロシア行きにより一層近づく。同時に、槙野から再びセンターバックの定位置を奪回できる可能性も広がってくるのだ。

 兵庫県サッカー協会技術委員長を務める昌子の父・力さん(関西大学1部・姫路獨協大学監督)も「源はDFとしては背が高くないんで判断力を磨いていくしかない。最近は味方がピンチに陥ってると思えば自分のマークを放っても1〜2歩速くカバーに行く場面が増えてきたが、その経験値を高めていくしか彼の生きる道はない」と冷静に分析していた。

 今回のE-1選手権はまさにその判断力が問われる大舞台。吉田や槙野ら年長の選手たちのサポートがない状況だからこそ、より彼の真価が問われることになる。

 鹿島でも植田や三竿健斗といった年下の選手とコンビを組むことが少なくないが、背後に曽ケ端準、左右のサイドバックには西大伍や山本脩斗といった経験豊富な選手が陣取っているから、精神的にリラックスしてやれるはず。

 だが、この北朝鮮戦は本当に彼が強い責任感を持って守備に当たらなければならない。これまでとは一味違った昌子源の姿を、見る者の目に色濃く焼き付けてもらいたい。

(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子