日本と中国の偶発的な軍事衝突を回避する「海空連絡メカニズム」が、ようやく構築に向けて動きだす見通しとなった。最近の日中関係改善ムードを反映したとみられるが、焦点は沖縄県・尖閣諸島の扱いだ。資料写真。

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2017年12月8日、日本と中国の東シナ海などでの偶発的な軍事衝突を回避する「海空連絡メカニズム」が構築に向けてようやく動きだす見通しとなった。中国メディアは「協議で進展があった」と報道。最近の日中関係改善ムードが協議に反映したとみられるが、焦点は中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の扱いだ。

連絡メカニズムは、海上や上空で艦船や航空機による不測の軍事衝突が起きるのを防ぐため、防衛当局間で緊急時に連絡を取り合う枠組み。現場の当事者が直接、連絡を取る方法を決めたり、政府や防衛当局間で複数のホットラインを設けたりするのが一般的とされる。

日本は1993年10月にロシアとの間で同じような「海上事故防止協定」を締結。中国とは2007年4月、第一次政権時代の安倍晋三首相と温家宝首相(当時)の間でメカニズムづくりの協議開始が決まった。翌年4月に北京で第1回協議が開かれ、12年6月の第3回協議で大枠について合意した。

しかし、12年9月の日本政府による尖閣諸島国有化に中国が激しく反発して日中関係が悪化。協議は暗礁に乗り上げていたが、14年11月の安倍首相と中国の習近平国家主席の日中首脳会談で、連絡メカニズムの早期運用開始に向けて協議を進める方針を確認し、15年1月から協議を再開していた。

日本の外務省は5、6日に中国・上海で開かれた第8回日中高級事務レベル海洋協議で、「双方は防衛当局間の海空連絡メカニズムの構築および運用開始について前向きな進展を得た」と発表。防衛当局間の交流を強化し,相互信頼を増進していくことでも一致した。

中国国営新華社通信は6日、メカニズム協議について「前向きな進展があった」と強調。小野寺五典防衛相も「まだ細目調整することが残っているから、一日も早い締結へ努力していきたい。そんなに大きな壁が残っているとは思えない」と語った。

メカニズム構築と早期運用のカギとなるのは、尖閣諸島周辺を適用範囲とするかどうかだ。中国側が尖閣諸島周辺の日本領海と領空も含めるよう求めたため、日本側は日本領海への公船の侵入を繰り返している中国にはメカニズムを通じて領有権主張を強める意図があるとみて警戒している。

この点について、日本メディアは「尖閣諸島はあえて明記しない形で日中双方は折り合ったようだ」と報道。「日本の主権を害することはないことを確認できたとの感触があった」と伝えているが、尖閣諸島をめぐって両国の主張は大きく異なる。今後、首脳レベルの正式合意を経てメカニズムの運用が始まるまでには曲折も予想されそうだ。(編集/日向)