トレーニングは冒頭の15分のみが公開された。写真:李仁守

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 E-1選手権の初戦で、ハリルジャパンと対戦する朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)代表。中国・北京を経由して5日に入国し、東京で最終調整に入っているが、その実態はベールに包まれている。
 
 7日に味の素スタジアムで行なわれた公開練習も取材したが、冒頭の15分で報道陣はシャットアウト。ストレッチやボール回しの練習などを撮影しただけで退散を余儀なくされた。メディア控室に戻ると、韓国から来た記者たちも「インタビューできないかな?」「無理だろうね」と悔しがっていた。代表チームの関係者によれば、今後、大会中の取材はさらに制限される可能性もあるという。
 
 ただ、北朝鮮代表の戦い方については、大方の予想はできる。在日本朝鮮蹴球協会理事長で同国サッカー協会副書記長の李康弘氏に話を聞いたところ、同国代表のサッカースタイルは、“攻撃的”かつ“ポゼッション重視”だという。
 
「アンデルセン監督は、ボールを支配しながら相手ゴールに迫る戦術を好んでいます。攻守のバランスもとっていますが、大きく見れば攻撃的。現役時代はFWとしてプレーしていたことも、サッカースタイルに関係しているのかもしれませんね」
 
 昨年5月から北朝鮮代表を率いるのは、元ノルウェー代表のヨルン・アンデルセン監督。現役時代にはブンデスリーガのフランクフルトでプレーし、外国人選手として初めて得点王に輝いたこともある人物だ。同国が外国人監督を招聘するのは25年ぶりのことで、ノルウェー人監督の攻撃サッカーは日本にとって脅威になるかもしれない。
 
 また、選手の実力も気になるところだ。李理事長は、チームのキーマンは海外組だと話す。
 
「やはり海外組は、国内組と比べて頭ひとつ出ています。現在、代表でプレーしているのは、ハン・グァンソン(ペルージャ/イタリア)、チョン・イルグァン(FCルツェルン/スイス)、パク・クァンリョン(SKNザンクトペルテン/オーストリア)の3人。E-1選手権に招集されたのはチョン・イルグァンだけですが、彼は日本がもっとも警戒すべき選手だと言えるでしょう」
 振り返ればチョン・イルグァンは、2010年のU-19アジア選手権では大会MVPに輝き、同年にはAFC年間最優秀ユース選手賞も受賞している。早くから才能を発揮し、A代表でも頭角を現しているわけだ。7日の公開練習でも、スイスでプレーする25歳にファインダーを向けるカメラマンは多かった。
 
 もっとも、国内組にも注目すべき選手はいるようだ。李理事長は語る。
 
「ひとりは、FWのキム・ユソン。個人技が光るドリブラーです。11月13日に行なわれたアジアカップ最終予選のマレーシア戦ではハットトリックを決め、“マン・オブ・ザ・マッチ”にも選ばれました。
 
 攻撃陣で言えば、ミョン・チャヒョンにも注目してほしいですね。ヘディングが強くてパワープレーが得意な点取り屋です。プレースタイルもパク・クァンリョンに似ているので、海外組が抜けた穴を埋めてくれると期待しています。
 
 それから、MFのパク・ソンチョルもうまい。経験豊富なゲームメイカーで、中盤でよくボールに絡んでいる。FKも彼が蹴っていますよ。タイプ的には、梁勇基(ベガルタ仙台)に近いかな」
 
 アンデルセン監督は、7日の記者会見で、「(北朝鮮が)優勝候補でないことはよく知っている。日本戦はすごく難しい試合になるだろう」と分析していたが、北朝鮮代表の本当の実力は未知数だ。ましてハリルジャパンは、2015年に同大会で北朝鮮と対戦し、1-2で敗れている。ハリルホジッチ監督体制では初の黒星だった。今回の日朝戦も気が抜けない戦いになるだろう。

取材・文●李仁守(ピッチコミュニケーションズ)