自分のためにも赤ちゃんのためにも食生活の見直しを!
若い「やせ」女性が異常に多い日本、女性ホルモンが減ってさまざまな障害が、赤ちゃんの成人後にも悪影響。

20代女性の3割が痩せている

日本の20代女性の約3割は、BMI(体格指数=体重kg÷身長m÷身長m)でみると「やせ」であり、それと符合するように同じく約3割が「朝食抜き」の食生活であることが、厚生労働省の「平成22年国民健康・栄養調査」でわかりました。女性は「やせ」=「美しい」、と考える風潮が背景にあるのでしょうが、過剰な「やせ」志向は本人の健康だけでなく、出産した場合に赤ちゃんの将来の健康にも悪影響を及ぼすことが懸念されています。

厚労省の調査結果をみると、20代女性の「やせ」(BMIが18.5未満)の割合は29.0%で前年の22.3%より大幅に増えました。他の世代と比べても突出した高さで、この割合は平成17年以降ずっと増加傾向にあります。このような若い女性に「やせ」が多い状況は、先進国のなかでは例をみないことのようです。また、「朝食抜き」の割合も28.6%と前年23.2%より大きく増加して他の世代より飛び抜けて高く、これも平成17年からずっと増加傾向が続いています。

『やせ』の健康リスクとは?

女性が、いき過ぎたダイエットなどをしてやせ過ぎが続くと、体は生命を維持するのに必要な内臓の働きを優先させ、女性ホルモンの分泌などを減らそうとします。この結果、月経不順や無月経になることがあり不妊の原因になりかねません。のぼせやめまい、情緒不安定などの症状が起こる若年性更年期障害の要因にもなる、という指摘もあります。

また、女性ホルモンのエストロゲンはカルシウムの吸収を助ける働きがあるので、その分泌が減れば骨代謝に悪影響が出てきます。女性の10〜30代は骨量を高め維持していかなければならない大事な時期なのに、逆に骨量が減っていけば早いうちから骨粗しょう症になる危険が高くなってしまいます。

30年と比べて出生体重が低下

さらに、若い女性のやせ過ぎに医師や研究者ら専門家が心配しているのは、生まれてくる赤ちゃんへの悪影響です。厚労省の「乳幼児身体発育調査」(平成22年)の結果をみると、男児の出生時体重は平均2980g、女児は平均2910gで、最も体重が多かった30年前の昭和55年に比べると、ともに250gも少なくなっています。
この背景として指摘されているのが、若い女性の「やせ」志向。もともとやせていたり、妊娠中でも十分な量の食事をとらないと、胎児が健康的に発育するための栄養が補給されないため、体重の少ない赤ちゃんが生まれてしまうというのです。

出生体重の低い赤ちゃんが罹りやすくなる病気

出生時の体重が少ないと、成人になってからさまざまな病気にかかりやすいことが、多くの研究から明らかになっています。関連が指摘されている主な病気は、高血圧、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、脂質異常症、虚血性心疾患、脳梗塞など。お母さんの胎内で栄養が足りないと、胎児の体の中ではそれに対応しようとする仕組みができ、それが成長して栄養摂取が十分な状態になったときに、さまざまな不都合が生じてくるのではないかと考えられています。

妊娠中の体重増加の目安

妊婦のなかには、産後の肥満を気にして食事を制限する人もいるようですが、妊娠後には適度な体重の増加は必要なこと。妊娠前と比べた出産直前の体重増加の目安として厚労省の「妊産婦のための食生活指針」では、妊婦のBMIごとに以下のように示しています。
・BMI 18.5未満(やせ)の人は9〜12kg
・BMI 18.5以上25.0未満(普通)の人は7〜12kg
・BMI 25.0以上(肥満)の人は5kg

この指針では、妊娠前からの健康な体づくりや、主食をしっかりとる、ビタミン・ミネラルも副菜でたっぷりとることなども提唱しています。自分自身だけでなく将来生まれてくるわが子のためにも、「やせ」=「美しい」という考え方にとらわれ過ぎず、栄養バランスのよい食事を3食きちんととっていただきたいものです。

(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2012年9月に配信された記事です