三重県伊賀市にある伊賀焼の窯元「長谷園(ながたにえん)」と白物家電メーカーの「siroca」が共同開発した、昔ながらのかまど炊きを再現する電気土鍋炊飯器『長谷園 × siroca かまどさん電気SR-E111』(以下、かまどさん電気)が発表された。土鍋部分のベースになったのは長谷園の直火炊飯土鍋『かまどさん』で、こちらは予約6か月待ちの人気商品なのだそう。

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家電メーカーの技術で土鍋炊飯をもっと手軽に





8代続く窯元の伝統技術と家電メーカーであるsirocaが持つデジタル技術の融合により誕生した『かまどさん電気』。俗に「はじめちょろちょろなかぱっぱ」などと言われるように、コツが必要で難しいとされていた土鍋炊飯を自動化。誰でもおいしい土鍋ごはんを食べられるようにとの狙いで開発された。



ちなみに長谷園ではかつてIH対応の「かまどさん」を作ったこともあったが、直火にはかなわないと悟って撤退したという経緯があるのだそう。



『かまどさん電気』では土鍋の底にセンサーを内蔵。直火で仕様できる汎用性をあえて捨て、加熱を行うシーズヒーター部についても、あくまで炊飯に使うことだけを想定した仕様になっている。これはすなわち、両社の“おいしい土鍋炊飯”にかける意気込みの強さが表れたものなのだろう。



土鍋といえば、洗った後の乾燥なといった手入れが不可欠だが、この製品ではスイッチを入れるだけで土鍋を乾かす「乾燥モード」を実装。炊飯の自動化はもとより、メンテナンスの手間も軽減してくれている。

土が勝手においしく調理してくれる。働き者の“伊賀の土”



耐火性に優れる陶土を使った陶器で1300年の歴史を持つ伊賀焼の特長は「呼吸をする土」とも言われる無数の孔による調湿性。緩やかな熱伝導と高い蓄熱性で「土が勝手においしく調理してくれる、伊賀の土は働き者だ」と語るのは、185年続く長谷園の七代目当主にして会長・長谷優磁氏。



同氏は「作り手は真の使い手であれ。伝統にあぐらをかかず、生活者がどんなものを求めているのか考えなければ。プロの料理人でなく家庭の主婦にかわいがってもらうには、吹きこぼれずに誰でもおいしく炊ける便利さが必要だ」とも話し、今回の製品については「これは齢78歳にして作った新しい我が子だ。死ぬまで次のもの作りに挑戦する」と満面の表情で笑う好々爺だ。

新たな製造ラインで2018年3月発売。価格は7万9800円





調理家電として量産するにあたっては、土鍋の個体差を解消する製法の確立、ヒーター機構の熱問題などから開発には4年もの歳月がかかり、試作は実に500個、使われた米はなんと3トンにもなったという『かまどさん電気』。炊飯器としてのサイズは三合炊きで、発売日は2018年3月9日、販売価格は税抜7万9800円になる予定だという。

また、注文から6か月待ちの状態が続く直火土鍋の『かまどさん』生産に影響を与えないよう、『かまどさん電気』用の土鍋は新たに専用ラインを作っての生産になる。



同じ釜の飯を食う、みんなで食卓を囲む、ということの大切さを説く、先の長谷優磁氏いわく「僕の生んだ新しいこの道具で、ひとりでも多くの人がまたうまい飯を食ってくれたら嬉しい」とのことだ。こうした強い思いが込められ、伝統とテクノロジーが融合したこの製品、市場にどのように受け入れられるのか、注目したいところだ。

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かまどさん電気(シロカ株式会社)

text渡辺 "d." 大輔(編集部)