<記者コラム:オトゴト>
 今年の新語・流行語大賞に「忖度」と「インスタ映え」が選ばれた。その年を象徴する言葉ともあって、この年、どういったことがあったのかがうかがえる。なかでも「インスタ映え」は“いま”を象徴していると感じる。

 ユーキャン新語・流行語大賞の公式サイトにある、「インスタ映え」の説明文に「テキストよりも大事なのは画像。SNSでの『いいね!』を獲得するために、誰もがビジュアルを競い合う」という一文があった。

 以前から、テキストは読まれなくなりつつあると言われていたが、それを超えた画像の“見栄え”を重視するのは、やはり今のご時世だろうか。

 記事でも、長文は毛嫌いされることがある。それは読者の声を聞いて実感するところだ。ただ、それは見せ方の問題でもある気がする。

 紙の場合、記事の終わりが一目でわかる。そして、読まなくても、前文いわゆるリード文や、本文の冒頭で記事の伝えたいことがわかるように構成されている。特に新聞は。

 ただ、ネットの場合は、それができない。表示されるスクロールバーの幅を見たり、ページ数あるいは文字数で判断するしかない。終わりが見えないものを読むのはなかなかつらいところもある。

 また、新聞などと違ってネットは、紙面を割く領域で、記事の重要性を判断するというものがなかなかできない。プログラムでそうした仕組みもできないことはないが、それを的確にするアルゴリズムの設定が難しいだろう。今、多く用いられているのは、決められた枠内での表示だ。そのなかで見出し、いわゆるタイトルと写真が載る。どの記事も横一列だ。そうしたなかで、より読んでもらおうとするには、引きの強いタイトルや写真が要になる。

 そう、とりどめのないことを考えていると、写真を重視する現代は、テキストが軽視されているのではなくて、読む環境(パソコンやスマホ)に適していないのではないかと思えてくる。

 当然「インスタ映え」の背景には、携帯端末の高度化、スマホの登場によって、気軽に写真が撮れるようになったことが大きい。その一方で、手っ取り早く情報を得る手段としてテキストよりも写真が重視されていることも確かだ。

 インスタント。そういう言葉が浮かぶ。良くも悪くも手軽に撮れて、手軽に“デコ”ができて、手軽に情報を得る。そういう時代なのだと「インスタ映え」から思うのである。【木村陽仁】