InterBEE2017、今年も過去最大コマ数を誇り、絶好調なBlackmagic Design社グラント・ペティCEOが来日しているということで、夏のインタビューに続いて再度インタビューする機会をいただいた。どうしても未来のブラックマジックデザインの展望をそして経営者としてのグラントCEOのお話しを聞くために再度ご登場願った。めまぐるしく変わり続けるブラックマジックデザインの片鱗を少しでも追えればと我々はグラントCEOを直撃した。

グラント・ペティCEOにBlackmagic Designの気になることを再度直撃!

――日本の放送業界は高解像度である4K/8Kへと向かっています。この状況についてどう思われますか?

グラントCEO:ディスプレイが高精細化し、業界の技術や導入が進化する事は自然な流れではないでしょうか?8Kについては、2つの側面があると思います。ひとつはワークフローなど完全に技術的な面。もうひとつはクリエイティビティという面。

8Kのクリエイティビティをいかに推し進めるのか?我々も興味をもっています。Blackmagic Designは、お客様のクリエイティビティをどのように活かし、サポートしていくか?いつも考えています。

製品に関しては、価格を抑えています。かつては安価な放送機器は粗悪なもの多かったですが、今では私たちの製品も含め、実際に現場で活かしていただいています。例えばDeckLink 8K Pro。4Kボードよりも安い販売価格であることをご存知ですか?

DeckLink 8K Pro。会場には8K60p編集カラーグレーディングシステムの展示もあった

グラントCEO:そのコアには、クリエイティビティをいかに広げていくか?というこだわりがあるのです。クリエイティビティのないテクノロジー先行の状態は、いわば魂がないのと同じで、全く意味がないんですね。やはりエモーションの部分がとても大事です。テクノロジーよりも感情やクリエイティビティのほうが大事です。

8Kという難しい課題に挑戦達成し、ただ単にお金儲けに走るということではありません。コアにある感情ですとかクリエイティビティが何か?という部分をみつけて、それにあった価格で提供したいと考えています。

この業界は、テクノロジー重視で、クリエイティビティが後回しとなることが多々有ります。我々はその状況を変化させたいと思いますし、少しは変化したのではないかと自負しています。理想は、クリエイティビティ先行で補完するようにテクノロジーがあるという考え方なのです。

テレビ業界では、難しいのかもしれませんが、その中にもクリエイティブな人は必ずいらっしゃいます。そういった方に、私たちは訴えかけていきたいですね。広いレンジでハイエンドや放送局の方から、若くて個人で動画制作するクリエイターの方まで、すべてのクリエイティブな人が私たちの対象です。

――そういう意味でも、 Micro Converter SDI to HDMI をUS$45で提供するのはまさにこのポリシーを体現していますね。
写真はMicro Converter SDI to HDMI。日本国内では税別5,980円で購入可能。ちなみにMicro Converter HDMI to SDIは税別4,980円

グラントCEO:そうですね。民生用機材のみだったクリエイターが業務用規格で高品質なSDIに触れるきっかけになればと思っています。舞台裏では価格交渉など難航しましたが、我々もクリエイティビティを駆使して、なんとかリリースできました。

以前私は、テレビ業界にいました。この業界が長時間労働であることも知っています。たくさんの方が頑張っておられます。そこで私たちも頑張り、業界の方々に応える製品をリリースしたいと思っています。我々がよい製品を作れば、必ずお客様が、驚くような使い方をしてくれます。最大の喜びはそこにありますから。

――いよいよBlackmagic Design製品で映像製作が完結できるラインナップとなりました。考えられている次の一手はなんでしょうか?Blackmagic Design社の未来をお聞かせください。

グラントCEO:すごく難しい質問ですね。ワークフロー全体の製品ラインナップを考えていたわけではないのです。もしこの質問に答えるなら、今お客様が抱えている問題に対して提示する解決策が次の一手となります。そうやって問題を解決すると、今度はお客様の方に製品が行って、逆にお客様が製品を使って驚かせてくれるというサイクルができ良い循環ができます。

現在ハリウッドでは、映画俳優がテレビに出演したり、テレビ俳優が映画に出演するなど垣根がなくなっています。同じく映像制作にも言えます。これまでのワークフローは、高価な機材を使用していたために、映画とテレビ業界は分断されていました。

DaVinci Resolveのインタフェース

グラントCEO:映画及びテレビ業界でもDaVinci Resolveでグレーディングを行う場合もあり、そこの技術的な格差が次第になくなってきたのは確かです。DaVinci Resolveは、広い色域で調整して作品を完成させるわけですが、当時広色域のカメラの存在は少なく、であればカメラも作るか!ということでリリースしました。

結果カラーグレーディングを行う人が増えていきました。DaVinci Resolveを買収して、そのままカメラをリリースするという流れは、予想もつかない展開でした(笑)。

Duplicator 4K。あれはNAB2016で発表させていただきましたが、実はIBC2015で発表する予定で展示までしていました。ワークフローに問題があり発表を見送ったのですが、ギリギリまで本当にわからないのです。これまで先に製品発表を行い、その後にリリースをしていたのですが、ポリシーを変更し、完成後を製品発表するというスタイルに変更しました。

――12G-SDIはコンセプトを先に発表し、その後スタンダードになりましたね。先見性がありゲームチェンジャーだと思います。その会社のコアはなんだと思われますか?

グラントCEO:ありがとうございます。嬉しいですね。一つだけ他の機材メーカと違うのは、私がテレビ業界で働いていたことでしょうか?当時はSonyを崇拝していて、彼らの製品群が好きでしたが、放送業界製品の問題は高価なために手の届かないことでした。そこをなんとか変えたい、業界ごと変えたい思いがやはりコアにはあります。その経験が今の企業姿勢にいかされていると思います。

本当のクリエイティブな人にその機器が行き届くように業界の姿勢を変えたいと思い起業しました。以前は(テレビ局にいた時は)他人のために働いていたのですが、今は自分が指揮をとって働いているので自分のやりたいことができる。自分の目標に向かって進んでいくことで学ぶことがあるし、どんどん進んで行くことができる。

私のモットーとしていることは、人生の最後の日に一番賢くなりたい。どんどん賢くなって、一番最後の日に一番賢いといえる人生を送りたい。そういうふうに学び続けるというのは非常に大事です。

――日本の市場もあわせて、日本のユーザーにメッセージをいただけますか?

グラントCEO:2つあります。一つ目は、Blackmagic Designのお客様に対して、いつも製品をご利用頂きましてありがとうございます。非常に光栄です。

二つ目は、日本文化、特にクリエイティブ分野は洗練されています。それを担うクリエイターの方には、安住せずに、どんどん世界に出て欲しいです。海外で活躍する日本人、ではなく、海外で活躍するクリエイティブな人間を目指してください。

人生というプレイグラウンド(遊び場)で、可能性を追求してください。我々はそれを応援してまいります。他の業界とかでは実際に進んでいるんですけれども、映像業界でも日本の方々に世界で活躍してほしいと考えています。