アストロズのホセ・アルトゥーベ【写真:Getty Images】

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「スポーツ界の名珍場面総集編」…10月のMLB優勝決定シリーズで起きた“ミラクル走塁”

 2017年のスポーツ界を沸かせた名シーンを連日にわたって振り返る「名珍場面2017」。今回は10月に米大リーグのリーグ優勝決定シリーズで起きた「小さな巨人の“9.9秒の神走塁”」だ。アストロズがヤンキースに2-1でサヨナラ勝ちした第2戦。劇勝を呼んだのは「小さな巨人」と呼ばれる韋駄天のミラクル走塁だった。米FOXスポーツが決定的瞬間を公式ツイッターに動画付きで紹介し、ファンに衝撃が広がった。

 暴走寸前の走塁がミラクルを呼んだ――。1-1で迎えた9回裏だった。アストロズはヤンキース守護神チャプマンを攻め、1死一塁の好機。4番コレアが右中間にはじき返した。ここで、驚異の韋駄天を発揮したのが、一塁走者アルトゥーベだった。

 打球が落ちたのを見ると、一気に加速。二塁を蹴ってグングン飛ばし、三塁へ向かった。しかし、セオリー通りに長打警戒で深めのシフトを敷いていた右中間を破れず、右翼手ジャッジが打球に追いついた。二塁手に向かってボールを中継する投げた頃、アルトゥーベはまだ三塁手前。しかし、165センチの小兵はなんと、三塁も蹴ったのだ。

 二塁手から本塁へ転送。暴走か――。誰もがそう思った瞬間、ヘルメットを飛ばし、さらに加速。ホームに滑り込むと、捕手サンチェスがボールをこぼし、タッチされることなく、歓喜のホームに滑り込んだ。熱狂に包まれたスタジアム。歓喜の輪ができ上がった中で打ったコレアも走ったアルトゥーベも歓喜を爆発させた。

予期していなかったヤンキース守備陣、果敢な積極性が生んだ守備のほころび

 打者が打ってから、アルトゥーベの本塁生還まで、わずか9.9秒。劇的なシーンをFOXスポーツも「なんて結末なんだ」などと公式ツイッターにつづり、動画付きで紹介。VTRでアルトゥーベの走塁を振り返ると、常識的にいえば、長打警戒している外野陣形で一塁走者が本塁を狙うのは無謀に思えるが、三塁コーチャーも迷わず腕を回している。

 このチャレンジはヤンキースも予期していなかったのだろう。二塁手は打者走者のアウトを狙って二塁ベースに中継に入っていた。結果的に捕球した右翼手ジャッジから本塁まで直線的な中継プレーにならず、二塁手は慌てて本塁に送球。そして、タイミングはアウトにも思われたが、捕手サンチェスがボールをこぼすというミスも生まれた。

 今見ても鳥肌モノの幕切れ。アルトゥーベは今季、右打者ながら打ってからの一塁到達3秒33の驚異の“MLB記録”を打ち立てるなど、メジャーNO1クラスの俊足として知られている。この1勝で2連勝と勢いに乗ったアストロズは同シリーズを4勝3敗で突破。さらにワールドシリーズでもダルビッシュらを擁するドジャースを4勝3敗で破り、初の世界一に輝いた。

 アルトゥーベは今季、打率.346で2年連続首位打者を獲得し、24本塁打、91打点をマーク。初のリーグMVPを受賞するなど、輝かしい一年となった。走攻守、どれをとっても超一流の「小さな巨人」から、目が離せそうにない。