「公務員就職者が多い大学」ランキングトップ10

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昨年に引き続き日本大学公務員就職者数でトップに。写真は日本大学の三島キャンパス(編集部撮影)

大学生の「公務員」人気はまだまだ高いようだ。今年の公務員就職者トップ200校を、昨年の上位200校の人数と比べると、1705人、4.5%増えている。

今年大学を4年で卒業した学生の入学は2013年。2008年秋に起きたリーマンショックによる不況を中高生のときに経験している。こういった経験は少なからず職業選択に影響していると見られる。

また、卒業生が大学受験のときはまだまだ不況の影響が残っており、理系学部の人気は高く、文系学部の人気は低かった。今とは逆の“理高文低”の状況であり、理系学部の卒業生の就職は比較的堅調な反面、文系学部の卒業生は厳しい時代だった。

リーマンショックを経験、好況でも公務員志向


入学時には、就職氷河期と同様に就職率が落ち込んでいたものの、卒業時には景気が回復し、文系学部卒業生の就職は好調になっている。大学通信の調べでは、「実就職率」(就職者数÷<卒業生数―大学院進学者>×100で算出)は、2012年の76.1%から今年は87.6%にまでアップ。そんな中でも公務員就職者が増えているのは、やはりそれまでの経験も影響しているのではないだろうか。”安定”を求めているのが人気の理由だろう。

それだけではない。受験時に強かった”地元”志向もある。「大学進学で地元の大学を選んだのだから就職も地元で」と考える大学生は少なくない。地元での就職を考えるにしても、安定を望む大学生に受け皿となる企業は少ない。文系大学生に人気の地方銀行も、再編の波にのまれ、先行きが不透明なところがある。その点、地方自治体は安定しており、人気の就職先だ。

ちなみに現在の入試でも、地元の大学進学志向は強い。大手予備校の入試担当者は「東京、大阪、名古屋など、大都市圏の受験生は大都市間を移動しますが、地方の受験生は基本的に地元の大学進学を望んでいる。大都市圏にある大学への進学は、地元に選択肢がなく、仕方なく進学している傾向があります」と言う。親の経済的事情で都会の大学に出せない問題もある。大都市間で受験生が移動しているのは、大都市には大手企業がたくさんあり、就職で支店や営業所など、地元の事業所に戻って来ることができると考えているからだろう。

さらには親に「子どもを手元に置いておきたい」考えが強いこともある。昔は子どもがたくさんいて、長子が家を継ぎ、他の子どもは都会に働きに出た。今は長子しかいない家庭も増え、都会に出ていく兄弟姉妹がいなくなっていることも、地元志向が強まっている理由とみられる。

合格者で見ると、この10年間で東京大学は、1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)からの合格者が47.4%から54%にアップ。一橋大学も51.2%から68.6%にまで増えている。早稲田大学、慶應義塾大学も6割から7割に増えている。地元志向の高まり、地元就職を望んでいることから、公務員人気がアップしていると見られる。

地方公務員は地元の有力な就職先だ

ランキングは、各大学が発表した、今年、「公務員就職者数」が多かった大学を並べた。「公務員実就職率」は、公務員就職者数を、卒業生数から大学院進学者数を引いた数で除した割合だ。さらに国家公務員と地方公務員の内訳も入れた。公務員には病院、非常勤講師、教員なども含む。

トップは日本大学で1028人だ。学生数が多いということもあるが、2位以下に大差をつけている。昨年の920人から108人の増加で4桁の大台に乗った。特に地方公務員922人は断トツの就職者数である。公務員に強い大学と言えるだろう。

2位は早稲田大学の638人。早稲田大は国家公務員就職者が150人で、その内訳は総合職が34人、一般職が57人だ。国家公務員試験は2012年度から、かつてのキャリア官僚を目指す国家公務員擬鏤邯海総合職試験に替わり、脅鏤邯海一般職試験に替わった。

実は公務員人気といっても、国家公務員の人気は下がっており、地方公務員を志望する学生が増えている。早稲田大の地方公務員の就職先は、東京都職員砧爐95人で、これは企業を含めた大学の就職者先のトップ3に入る。特別区(東京23区)職員も45人と多い。

3位は北海道教育大学の633人。国立大学ではトップで、公務員実就職率は56.4%と、5割を超える。小学校教員、中学校教員の順に多い。団塊の世代の大量退職で、大都市圏では教員不足がまだまだ続いており、教員採用が活発なことが影響している。

4位は金沢大学の630人だ。国家公務員就職者が193人で、地方公務員が437人。伝統的に公務員に強い。

国家公務員というと、東京大学が頭に浮かぶ。その東京大は公務員就職者数363人で28位。国家公務員と地方公務員の内訳については判明しなかったが、今年の省庁への就職者数を見ると215人で、金沢大の国家公務員就職者数を上回る。就職先を見ると、国土交通省29人、総務省22人、経済産業省21人、農林水産省20人、厚生労働省19人、財務省18人などとなっている。

5位は新潟大学広島大学の612人。地方の国立大学は、もともと地方公務員の就職に強いが、教員養成系の学部があることも大きい。7位は立命館大学、8位は愛知教育大学と続く。

10位に文教大学が入っているが、教員養成に定評がある私立大学だ。教員就職者数が全国4位と高く、私立大ではトップの実績。教員養成に強いことが結果として公務員就職者が多いことにつながっている。13位の国士舘大学は473人だが、警察官が150人、消防官はトップの100人で、この2つで公務員就職者の半数以上を占めている。ちなみに警察官トップは日本大の158人である。

教員や保育士、警察官に強い大学は

女子大学では30位の武庫川女子大学が326人でトップ、次いで52位の京都女子大学、54位の聖徳大学と続く。いずれも教員に強く、なかでも聖徳大は幼稚園教諭、保育士に強い。

次に公務員実就職率を見てみよう。200位以内に入っている大学のトップは、114位の上越教育大学の85%、次いで105位の兵庫教育大学の82.6%となった。この2校は、国家公務員就職者数がゼロだった一方、卒業生の5人に4人以上が地方公務員になっている。次いで8位の愛知教育大学の70.6%、23位の福岡教育大学の65.1%の順。いずれも国立の教育大で単科大である。教員は形を変えた地方公務員人気の表れともいえよう。

私立大トップは131位の日本文化大学で53.8%だった。法学部の単科大で警察官に強いことで知られる。今年も81人が就職しており、卒業生の4割以上が警察官になっている。近年、警察官は都道府県内での勤務になるため人気が高く、国立大をはじめ多くの大学から就職している。

地元就職を望む今の学生にとって、公務員とりわけ地方公務員は人気だ。大都市と地方との経済格差が広がる中、この傾向は変わらないと見られる。大学も公務員希望者のため、さまざまな試験対策講座を設けており、今後もサポートを求められそうだ。