いつものことながら、現時点で可能性は50パーセントである。4か国のうち2か国が、グループリーグを突破できるからだ。

 来年6月開幕のロシアW杯で、日本はポーランド、セネガル、コロンビアと対戦することになった。W杯優勝経験のある国は含まれていないが、だからといって幸運に恵まれたとは思えない。ドイツ、メキシコ、スウェーデンと同居した韓国が、気の毒だとも感じない。どのグループに振り分けられても、2位以内の確保は難しい。それが、W杯における日本の立場だ。
 
 98年のフランスW杯が思い起こされる。
 
 日本が初戦で対戦したアルゼンチンには、バディことガブリエル・バティスゥータがいた。第2戦で対戦したクロアチアには、ダボル・スーケルがいた。
 
 世界最高峰のふたりのストライカーに、日本の守備陣は粘り強く対峙した。数多くのチャンスは与えていない。
 
 しかし、日本は敗れる。スコアは0対1だった。アルゼンチン戦でもクロアチア戦でも、もっとも警戒をしていた相手のエースにゴールを許した。
 
 上位進出を想定する実力国は、グループリーグをトップギアで走り続けない。相手の良さを消しながら、少ないチャンスを生かして勝点3をつかむ。体力的なロスの少ない戦略を実現させるのが、決定機を逃さないストライカーだ。
 
 ロシアで相対する国も、ハイレベルなストライカーがいる。
 
 ポーランドのレバンドフスキを、日本はどうやって止めるのか。バイエルンで全盛期を過ごすこの29歳は、欧州予選で最多の16ゴールを叩き出している。
 
 ブワシュチコフスキとグロシツキの両ウイングに、チャンスメイクを許さないことができるのか。サイドアタックから主砲を生かすポーランドの得点パターンは、ユーロ16や欧州予選を経て磨きがかかっている。
 
 コロンビアにはファルカオがいる。モナコで復活と遂げたストライカーは、複数の得点パターンを持つ。長身ではないものの、ヘディングシュートも得意だ。4年前のW杯にケガで出場できなかった悔しさも、31歳の彼を駆り立てている。
 
 ハメス・ロドリゲスも健在だ。バイエルン移籍でプレー時間が伸びており、トップフォームに近づいている。南米予選では13試合出場でチーム最多の6ゴールをあげており、代表での存在感は4年前と同じように高い。右サイドを疾駆するクアドラードも、持ち前の突破力で対戦相手を苦しめる。
 
 セネガルはアフリカ屈指のタレント集団だ。とりわけ、リバプールのサディオ・マネ、モナコのケイタ・バルデの両ウイングは強烈である。
 
 世界有数の「個」を擁する3か国を、日本はどのように抑えるのか。前からハメていくのか。ブロックを敷くのか。
 
 そもそも、自分たちの良さをぶつけていくのか。相手の長所を消すことを第一義とするのか──。
 
 世界における現在地から判断すると、相手の良さを塗り潰すことに力を注がざるを得ない。14年のブラジルではなく、10年の南アフリカの戦いかたに近くなる。
 
 絶好調時のスペインならともかく、1試合を通じて主導権を握るのはどの国でも難しい。相手にボールを保持される時間帯はあり、ポゼッションからもカウンターからも崩せる二段構えが、現代サッカーの基本的戦略だ。ブラジルを見れば分かりやすい。
 
 そうはいっても、ロシアW杯までの半年強の時間で、日本がポゼッションからの崩しを世界レベルへ引き上げるのは無理がある。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任当初に掲げた──最近はあまり聞かれないが──タテに速いサッカーの追求が、ひとまず現実的な対応だ。
 
 そのうえで、ロシアW杯後も見据えていかなければならない。攻撃的か守備的か、ポゼッションかカウンターか、といった二者択一の議論を、W杯のたびにするのはそろそろ終わりにしたい。W杯開幕を控えたいまから、日本独自のスタイルについて考えていくべきである。