わたしのねがいごと。が語る、2017年の活動で得た成長 「今の気持ちをそのまま歌にしたかった」

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 女性3人組ユニット、わたしのねがいごと。が新作ミニアルバム『きこえる』を完成させた。2014年、大学の軽音部をきっかけに、ろみ(Vo)とひかる(Gt/Cho)の2人で結成、翌年にちほこ(Key)を迎え、現在の体制に。今年3月に発売した初の全国流通盤『あめつぶ』では、オーガニックなサウンドと、ろみの優しい歌声が中心となった、まさに“癒し”の音楽を奏でていたが、今作はシンセや弦楽器の音色が印象的に響き、わたしのねがいごと。の遊び心やポップな側面がこれまで以上にはっきりと示された作品に仕上がった。

 2017年は、『あめつぶ』『きこえる』と2枚の作品をリリース、サポートメンバーを迎えたバンド編成でのライブ、そして12月10日には代官山・晴れたら空に豆まいてでのワンマンが控えるなど、これまで以上に積極的な活動が続いた1年だった。『きこえる』の制作過程をもとに、この1年における音楽に向き合う姿勢の変化など、3人に話を聞いた。(編集部)

■「今後の活動にも繋がっていくような1枚になった」(ちほこ)

――リード曲の「きこえる?」はじめ、ミニアルバム『きこえる』全体が、前作までと比べてかなり明るくポップになった印象でした。まず、作ってみての手応えを教えてください。

ひかる:「きこえる?」は、るなっこ(これまでも、わたしのねがいごと。に度々楽曲提供している)が書いてくれた曲で、彼女が作って聞かせてくれた時と、その仕上がりがかなり変わったんですね。最初はシックな大人っぽい印象で、デモはピアノだけで作られてましたね。そこにシンセや鉄琴の音を足して、私たちの曲の中でもかなり明るい曲に仕上がりました。わたしのねがいごと。の新しい一面としてポップな部分を見せられたと思います。

ろみ:今までのわたしのねがいごと。は、静かで癒しな曲調が多かったんですけど、私自身はもっとポップなのもやりたい、もっといろんな音楽に挑戦したいという願望がありました。なので、このアルバム全体も本当に好きに作っていけたというか、「わたしのねがいごと。ってこういう音楽だから」というルールみたいなものは考えずに、好きなことをできたなと。私は収録曲5曲中3曲を書いたんですけど、その3曲のために30曲近く書きました。

――そうなんですね。そのなかから選りすぐりで良い曲を選んでいったんですか?

ろみ:そうですね。毎日曲を書いてはメンバーに送って書いて送って……と繰り返していました。歌詞もメロディも「いいものにしよう」という意志が強かったです。はじめから最後まで妥協しないで全力で楽しんで作れたなという1枚になったので、自信作になっています。

ちほこ:今までのわたしのねがいごと。とは全く違ったものに仕上がったと思っています。作曲者も、ろみ、るなっこ、それからアレンジャーもしているArata Marutaさんと3人の曲があって、これまで以上にチャレンジの幅が広がりました。私自身も初めてコーラスで曲に参加したり、わたしのねがいごと。の今後の活動にも繋がっていくような1枚にしようと、全曲全力で取り組みました。

ーーこれまでのわたしのねがいごと。のイメージをいい意味で裏切ってくれる作品になりましたね。

ろみ:わたしのねがいごと。のイメージは、これまでが淡い色だったとすると、もっとビビットな色の作品を作りたいっていうのはずっと思っていたことですね。こういうこともしたいと思っていたものを実際に曲にしていって、自分たちの現在地や意志を提示することができました。

――「きこえる?」を最初に聞いた時はどんな感想を持ちましたか?

ひかる:まず、サビの<きこえる きこえる>という繰り返しがキャッチーで、ずっと耳に残るというか、何度も聞きたくなる曲だなと思いました。私たちの「夜の月」という曲の印象的なフレーズも入っているんですよね。わたしのねがいごと。らしさも残しつつ、でも新しいテイストもしっかり入っている曲です。

――どういう過程を経て、シンセや鉄琴の音を足していくことになったんですか?

ろみ:もともと、るなっこが制作している時からこういうアコースティックな音も入りながら、シンセとか可愛い音の入ったイメージはあったみたいで。その話を聞いた時に、私たち3人もその感じいいねとなって、アレンジャーの方とやりとりしながら完成形が見えてきました。

ーー「きこえる?」のMVも3人の個性がよく出てるなと思いました。

ひかる:今までのMVはあまり演奏シーンなどはなかったのですが、今回は3人それぞれにフィーチャーしようと。ちほこは青、ろみはピンク、私が黄色や緑と、色の担当を決めて、楽曲の世界観を映像でも表現しました。

■「新しい歌い方を見つけた」(ろみ)

――なるほど。「終電間際」もまた新境地な楽曲ですね。

ひかる:だいぶがらっと変わりますよね(笑)。

ろみ:もっといろんな歌を歌いたいなという思いが最近はずっと強くて。この曲も特別大人っぽい歌を作りたかったってわけではないんですけど、結果的にそういう曲になりましたね。「わたしのねがいごと。に今までなかった曲をやりたいんだよね」と、ちほこと話しながら先にコード作っていって。そのタイミングで「終電間際」という言葉が浮かんで、あっこの言葉だな、と思ってタイトルも「終電間際」でいこうと。

――ストーリー性のある楽曲になっていますよね。楽曲も歌謡曲風で新鮮でした。

ろみ:歌詞もぱっとインスピレーションが湧いてとんとん拍子に書いていきました。「終電間際」「恋の瀬戸際」と言葉をつないで、じゃあイメージとしてはこんな感じかな? って、シチュエーションは夜で、主人公の女の子はお酒で酔ってて、片思いの相手がいて、その気持ちは相手も気付いてるだろうけど言えない、みたいな。

ーーディテールまで作り込んだ曲なんですね。ろみさんの歌も豊かになった印象でした。<ねぇ 帰らないで!>の部分は、感情を思いっきりぶつけていたり。

ろみ:曲調も今までにない仕上がりになったので、歌においても新しいことがやりたいなと。シャウトまではいかなくても、高音でぐさっと刺さるような歌を歌ってみたり。もともとそういうことに挑戦したい思いはあったんですけど、それをわたしのねがいごと。の音楽とどう掛け合わせるか、ずっと模索していたところで。今回は、それを上手く落とし込められたかなと思っています。

――作品全体を通してろみさんの歌がより自由になった印象がありました。前回までは、癒しとか優しさがテーマではあったけど、今回はパワフルな歌い方もありますし、いろんな感情が出ていますよね。

ろみ:歌い方はかなり変わったと思います。最近はライブのリハも、この3人だけではなく、サポートのドラムとベースを招いてバンドでやることがほとんどで。もっとドラムと一緒に歌いたいとかそういう願望が強くなってきて、もっとノリノリで体を動かしながら歌う曲を増やしていきたいなと。

ひかる:今まで3人でしか練習をしてこなかったので、ろみの歌、ちほこのキーボード、私のギターの3つを軸にした作り方でした。でも今回はドラムのどの音に、自分のリズムと音を合わせるかとか、ひとつずつ考えていきました。自分の音にも気を遣うようになったし、3人の時とはバンドでの見せ方も全然違うので、意識も変わってきました。

ろみ:私も、ベースとドラムで音が増えたのでそれに負けないように歌わないといけないっていう意識が生まれましたね。リズムを取ってくれる人たちが入ってくれたから、もっと歌に集中できるようになりました。

――確かにフェイクで歌っている部分もあったり、グルーヴの感じる歌い方になっていますね。「キャンプファイヤー」は、るなっこさん以外からの初めての提供曲になります。

ひかる:この曲は3人ではじめてコーラスを入れた曲で、Marutaさんから提供してもらったけど、3人で1曲を作るという意識がありました。サビの部分は、わたしのねがいごと。を前面に出せるように工夫してもらったので、私たちらしさも残っていますし。

ろみ:3人らしさが強調されていますね。

――他の人から楽曲を書いてもらう体験を通して学んだことはありましたか?

ひかる:これまでと違うアプローチが多くあったので、「自分たちがこういうこともできるんだ」という発見がありましたね。「キャンプファイヤー」以外にもMarutaさんからは何曲か出してもらったんですけど、どの曲もテイストが変わっていて、この曲はちょっとポップにしてみようとか、しっとりさせてみようとか、いろんな挑戦ができました。今まで自分たちで作る時は、コードから入れてバッキングでどう見せるかという部分を重要視していたんですけど、今回はベースやドラム、キーボードと掛け合わせてどうするか勉強できました。

ろみ:私も、新しい歌い方を見つけた感覚はありましたね。自分の書く曲は、たぶん無意識のうちに歌いやすいメロディを選んで作っていて。るなっこの曲も、私の声質や声域に対する彼女なりの解釈があって、これまでも何曲も作ってもらっているから、私も歌いやすいんですけど、Marutaさんの曲は常に新しい音域や歌い方も試すことができたので、面白かったです。

■「自分たちがもっと変わらなきゃ」(ひかる)

――ろみさんの書いた「あおいうた」は、メランコリックな曲ですね。

ろみ:この曲は、わたしのねがいごと。らしさを入れようと思って作った曲で、淡い印象を残したいなと思いました。歌い方も、今までの曲に近いんじゃないかなと。

――<変わっていくよ もう 怖くはない>など、歌詞では、変わっていくことが歌われていて、それはラストナンバーの「ダンス」にも共通しているなと思いました。

ろみ:「ダンス」は、私自身の歌というか、今のわたしのねがいごと。が出ている曲ですね。今年に入ってバンドやっていても、自分が傷つかないために、何か思っていることがあっても相手に伝えないとかがあって。それは、この人のことを思ってるからこそ言わない、だと思っていたんですけど、結局自分が傷つきたくないから言ってないだけだなと気付いたんです。それで、お互いに傷ついたとしても自分が言いたいことをちゃんと言わないと誰のためにもならないなってことを気付いて「ダンス」を書いたんです。もっとよくなっていくためには絶対傷ついていかないと駄目だし、自分も言うの嫌だし、相手も嫌かもしれないけど、もっと互いによくなっていくために傷ついていこうよ、と。たとえ嫌いになっちゃったとしても、きっとまた仲直りできると思って信じているから<愛を受け取る準備はできてる>っていう歌詞が生まれて。でも、<なみだ>とか<泣きたい夜も寂しい夜も 恋しい夜もあるけど>という言葉もあるんですけど、暗い曲にはしたくなくて、<ダンス ダンス ダンス>というフレーズをサビで使いました。

――冒頭から突き抜けるような明るさもあって、わたしのねがいごと。の曲でこういうのは初めてですよね。

ろみ:そうですね。私たちの思いが強く出ている曲なので、頭からしっかり歌いたいと思って歌始まりの曲になりました。

――<ぼくらはもう無敵さ>とか<乱暴なまでに輝く>というフレーズも印象的です。

ろみ:バンドやったり音楽続けること自体、やっぱり楽しいだけじゃないんですよね。特に2017年は、わたしのねがいごと。としてもたくさん曲を作ったり毎月何本もライブもやったりと、活動が大きく動いた1年だったんです。そのなかで、3人でもっとこうしていこうよと意見を交換しあったんですよ。私たち、音楽を楽しく続けていくためなら何でも努力するっていう衝動も、今乱暴なぐらいあって。そういう今の気持ちをそのまま歌にしたくて、それが<無敵>とか<乱暴>という歌詞につながったのかなと思います。

ちほこ:前のワンマン(6月17日の青山・月見ル君想フ)が終わってから、次どうやって活動していこう? というモードになって、一度立ち止まってこれから何をしていけばいいのか多分3人それぞれが考えていたんですよね。すごい悩んで必死にもがいていたと思うんです。だから、ろみからこの曲を渡された時は、「あ、わたしのねがいごと。のことだな」と思って、「ろみは今こういう風に思っているんだな」って伝わったし、それは3人でも共有していた感情です。

――ライブの本数が増えたりバンドで固定メンバーでやるようになって、音楽により注力するようになって、変化が生まれたんですね。

ひかる:そうですね。今のメンバーで最初にスタジオに入ったのが今年の8月くらいで。ライブを重ねる度に、バンドでのやり方を考えるようになって、3人では見えなかったものが見えてきたなという実感はあります。その中で、やっぱり自分たちがもっと変わらなきゃっていう意志が強くなっていきました。

ろみ:音楽をつくる上で関わってくれる人たちも増えていく中で、自分たちが今後どうなりたいかっていうことを考えた時期で、もがいた結果のゴールとして、まずはこの『きこえる』が完成しました。今まで聞いてくれた人たちは、「わたしのねがいごと。、変わったね」ってまずはじめに思うかもしれないけど、その過程はこの作品を聞いてもらえたら伝わるんじゃないかなと思います。

(取材・文=若田悠希)