他社の不正公表会見を真似する、典型的な「前例主義」の日本産業界にあって、名門企業・東レのカミングアウトは、新たな「前例」になってしまった Photo:Reuters/AFLO

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「内々に処理するつもりだったが、ネット掲示板の書き込みがあったので公表することに」――経団連会長の出身企業・東レの正直すぎるカミングアウトに注目が集まっている。ネット書き込みからの不正公表がスタンダードにならざるを得ないほか、内部告発も増えるのではないかと考えられるからだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

ネットの書き込みが発端だった!
東レ不祥事が注目を集める理由

「うちの会社のヤバい話もネットに書き込んでやれ」なんて人が、これから増えていくのではないだろうか――。

 神戸製鋼、三菱マテリアルに続いて、品質データの改ざんが発覚した東レ。当初は社内で内々に処理をしようとしていたのが、一転して公表に踏み切ったのは、ネット掲示板の書き込みのせいだと会見で明かしたことが話題を呼んでいる。

「不正ドミノ」というものは、しょっぱなにバレた企業が一番壊滅的なダメージを負い、2番目、3番目と後出しした企業は傷が浅くなっていくというのが、企業不祥事のセオリーだ。

 たとえば、4年前に世間が大騒ぎした食品の産地偽装問題は、発端の阪急阪神ホテルズでは社長が辞任に追い込まれるなど厳しいバッシングにあったが、それから雨後のタケノコのように同様の不正が発覚した外食企業の名を、もはや世間は覚えていないだろう。三菱自動車を日産子会社にした燃費不正問題に関しても、次に発覚したスズキへの風当たりはぐっと軽く、自動車業界の人間でなければ「ああ、そういえばそんなことあったね」という印象だろう。

 にもかかわらず、東レは三菱マテリアルよりも注目を集めている。その背景には「ネット掲示板の書き込みにビビって公表なんて漫画みたいな話、本当にあるんだな」という世間の驚きもさることながら、危機管理を生業としているコンサルタントなどからは、「東レのカミングアウトによって、今回の『改ざんドミノ』とはまた別の新しい『ドミノ』が始まるのでは」、と危惧する声が上がっていることがあるのだ。

 それは、「ネット告発ドミノ」である。

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